言葉の達人イエスの〝魂の叫び〟
第1部 イエス、〝愛〟を語る
1 マリヤよ、懼(おそ)るな、其(そ)の名をイエスと名づくべし
2 幼児(おさなご)のその母マリヤと偕(とも)に在(いま)すを見、平伏(ひれふ)して拝し
3 地には平和、主の悦び給ふ人にあれ
4 なんぢら悔改(くいあらた)めよ、天国(てんこく)は近づきたり
5 神はその独子(ひとりご)を賜ふほどに世を愛し給へり
6 人の生(い)くるはパンのみに由(よ)るにあらず
7 懼(おそ)るな、なんぢ今よりのち人を漁(すなど)らん
8 幸福(さいわい)なるかな、心の貧しき者。天国はその人のものなり
9 汝らは地の塩なり、汝らは世の光なり
10 色情を懐(いだ)きて女を見るものは、既に心のうち姦淫したるなり
11 人もし汝の右の頰をうたば、左をも向けよ
12 汝らの仇(あた)を愛し、汝らを責(せ)むる者のために祈れ
13 汝は施済(ほどこし)をなすとき、右の手のなすことを左の手に知らすな
14 我らの日用の糧(かて)を今日もあたへ給へ
15 なんぢら己(おの)がために財宝(たから)を天に積め
16 空の鳥を見よ、播(ま)かず、刈らず、倉に収めず
17 何を食(くら)ひ、何を飲み、何を著(き)んとて思ひ煩ふな
18 一日の苦労は一日にて足れり
19 真珠を豚の前に投(な)ぐな
20 求めよ、さらば与へられん
21 狭き門より入(い)れ
22 それ心に満つるより、口は物言ふなり
23 我(わ)がこれらの言(ことば)をききて行ふ者を、磐(いわ)の上に家をたてたる慧(さと)き人に擬(なずら)へん
24 我は正しき者を招かんとにあらで、罪人(つみびと)を招かんとて来(きた)れり
25 収穫(かりいれ)はおほく労動人(はたらき)びとはすくなし
26 蛇のごとく慧(さと)く、鴿(はと)のごとく素直なれ
27 凡(すべ)て労する者・重荷を負ふ者、われに来(きた)れ、われ汝らを休ません
28 きく耳ある者は聴くべし
29 天国は一粒の芥種(からしだね)のごとし、天国はパンだねのごとし
30 幼児(おさなご)のごとく己(おのれ)を卑(ひく)うする者は、これ天国にて大(おおい)なる者なり
31 富める者の神の国に入(い)るよりは、駱駝(らくだ)の針の孔(あな)を通るかた(反 かえ)って易し
32 後なる者は先に、先なる者は後になるべし
33 凡(すべ)て祈りて願ふ事は、すでに得たりと信ぜよ
34 汝らは白く塗りたる墓に似たり
35 此(こ)の三人のうち、孰(いずれ)か強盗にあひし者の隣となりしぞ
36 この女の我が体に香油(においあぶら)を注ぎしは、わが葬りの備(そなえ)をなせるなり
37 一匹を失はば、九十九(くじゅうく)匹を野におき、往(ゆ)きて失せたる者を見出す
38 死にて復(また)生き、失せて復得られ
39 なんぢ癒(い)えんことを願ふか。起きよ、床(とこ)を取りあげて歩め
40 真理は汝らに自由を得さすべし
41 一粒の麦、もし死なば、多くの果(み)を結ぶべし
42 光の子とならんために、光のある間(ま)に光を信ぜよ
43 汝らも互(たがい)に足を洗ふべきなり
44 なんぢが為(な)すことを速かに為せ
45 我を見し者は父を見しなり
46 我は葡萄(ぶどう)の樹(き)、なんぢらは枝なり
47 なんぢらの心よろこぶべし、その喜悦(よろこび)を奪ふ者なし
48 なんぢら世にありては患難(なやみ)あり、されど雄々(おお)しかれ
49 パンを取れ、これは我(わ)が体なり
50 今日この夜(よ)、鶏ふたたび鳴く前に、なんぢ三たび我を否(いな)むべし
51 なんぢの剣(つるぎ)をもとに収めよ、すべて剣をとる者は剣にて亡ぶるなり
52 われは汝らの言ふ其(そ)の人を知らず
53 十字架につけよ、十字架につけよ
54 わが神、わが神、なんぞ我を見棄て給ひし
55 われ渇く
56 彼は此処(ここ)に在(いま)さず、甦(よみが)へり給へり
第2部 弟子たち、〝イエスの教え〟を語り継ぐ
57 主よ、この罪を彼らに負はせ給ふな
58 サウロ、サウロ、何(なん)ぞ我を迫害するか
59 彼の目より鱗(うろこ)のごときもの落ちて見ることを得
60 与ふるは受くるよりも幸福(さいわい)なり
61 心安(やす)かれ、汝等のうち一人だに生命(いのち)をうしなふ者なし
62 患難(かんなん)は忍耐を生じ、忍耐は練達を生じ、練達は希望を生ず
63 喜ぶ者と共によろこび、泣く者と共になけ
64 われら強き者はおのれを喜ばせずして、力なき者の弱(よわき)を負ふべし
65 我が走るは目標(めあて)なきが如きにあらず
66 汝らを耐へ忍ぶこと能(あた)はぬほどの試煉(こころみ)に遭(あ)はせ給はず
67 もし全身、眼ならば、聴くところ何(いず)れか
68 愛なくば鳴る鐘や響く鐃鈸(にょうはち)の如し
69 愛は長久(いつ)までも絶ゆることなし
70 我らが外なる人は壊(やぶ)るれども、内なる人は日々に新(あらた)なり
71 大(おおい)に喜びて我が微弱(よわき)を誇らん
72 なんぢら互(たがい)に重(おもき)を負へ
73 二つのものを一つとなし、怨(うらみ)なる隔(へだて)の中籬(なかがき)を毀(こぼ)ち給へり
74 なんぢら呟(つぶや)かず疑(うたが)はずして、凡(すべ)ての事をおこなへ
75 汝ら常に主にありて喜べ、我また言ふ、なんぢら喜べ
76 愛を加へよ、愛は徳を全(まっと)うする帯なり
77 人もし働くことを欲せずば食すべからず
78 ただ衣食あらば足れりとせん
79 なんぢ自(みずか)ら凡(すべ)ての事につきて善き業(わざ)の模範を示せ
80 われを納(い)るるごとく彼を納れよ
81 衰へたる手、弱りたる膝を強くし
82 聴くことを速かにし、語ることを遅くし、怒ることを遅くせよ
83 讃美と呪詛(のろい)と同じ口より出(い)づ
84 求めてなほ受けざるは慾(よく)のために費(ついや)さんとて妄(みだり)に求むるが故なり
85 柔和、恬静(しずやか)なる霊の朽ちぬ物を飾(かざり)とすべし
86 真理(まこと)に循(したが)ひて歩むことを聞くより大(おおい)なる喜悦(よろこび)はなし
87 或者(あるもの)をその肉に汚(けが)れたる下衣(したぎ)をも厭(いと)ひ、かつ懼(おそ)れつつ憐(あわれ)め
88 我はアルパなり、オメガなり
89 主イエスよ、来(きた)りたまへ
新約聖書の世界──あとがきにかえて