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人はどこまで合理的か 上

著:スティーブン・ピンカー
訳:橘 明美

紙版

内容紹介

人間はこんなに賢いのにもかかわらず、なぜこんなに愚かなのか?
ハーバード大学の人気講義が教える、理性の働かせ方!

陰謀論やフェイクニュースを信じ、党派的な議論や認知バイアスに陥って、結論を誤る原因とは?

21世紀に入り、人類はこれまでにない知的な高みへと到達した。
わずか1年足らずで新型コロナウイルスのワクチンを開発できたことも、その成果のひとつだ。
その一方で、フェイクニュースや陰謀論の蔓延、党派的な議論の横行を多くの人が嘆くようになっている。

じつは、人の非合理性には、ある種の理由やパターンがある。
フェイクニュースや陰謀論、党派的な議論、将来への蓄えをしないこと、
国同士が凄惨な消耗戦に陥ることには、理由がある。
損を取り返そうと無茶な賭けをしたり、わずかな損のリスクを過大評価して
有利な取引を辞退したりするのには、パターンがある。

これら過ちの理由やパターンを解説し、その落とし穴に陥らないための、強力な合理的思考ツール群を紹介。
理性の力で間違いを減らし、人生と世界を豊かにする方法を示す。

目次

序文

第1章 人間という動物はどのくらい合理的か
■狩猟採集民は驚くほど合理的である
■「なぜ人間は時に非合理になるか」は研究されている
■人間の非合理さを露呈させる簡単な数学の問題
■人間の非合理さを露呈させる簡単な論理学の問題
■人間の非合理さを露呈させる簡単な確率の問題
■人間の非合理さを露呈させる簡単な予測の問題
■認知的錯覚と「目の錯覚」の類似点

第2章 合理性と非合理性の意外な関係
■「理性に従う」ことはかっこ悪いのか
■理性なしにはあらゆる議論が不可能
■理性は妥当かつ必要だと考えられる理由
■理性は情念の奴隷? 情念が理性の奴隷?
■自分の中にある複数の目的間の葛藤
■今の自分と未来の自分とのあいだの葛藤
■あえて無知でいるほうが合理的な場合もある
■無能や非合理でいることが合理的な場合
■考えることや訊ねることがタブーとされる場合
■道徳は合理的な根拠をもちうるか
■理性の誤りも理性で正すことができる

第3章 論理の強さと限界はどこにあるか
■論理の力で論争は解決できるか
■「もし」や「または」の論理学上の意味は通常と異なる
■形式論理のよくある誤用の例
■論理の飛躍や誤謬に気づく方法「形式的再構成」
■非形式的誤謬のさまざまなバリエーション
■論理が万能でない理由―論より証拠
■論理が万能でない理由―文脈や予備知識の無視
■論理が万能でない理由―家族的類似性
■ニューラルネットワークで家族的類似性を扱う
■人間の理性は家族的類似性も論理も扱える

第4章 ランダム性と確率にまつわる間違い
■偶然と不確実にどう向き合うべきか
■ランダム性とは何か。それはどこからくるのか
■「確率」の意味は複数あり混乱の元になっている
■利用可能性バイアスで確率の見積もりを誤る
■「大衆の怒り」はバイアスだけでは説明不能
■ジャーナリズムがバイアスを増幅させる理由
■連言確率、選言確率、条件付き確率の混同
■確率にまつわる誤謬は専門家でも気づきにくい
■〈AまたはB〉の確率と〈Aでない〉確率の計算
■条件付き確率の計算は混乱しやすいが重要
■〈AのときのB〉の確率と〈BのときのA〉の確率
■後知恵確率を事前確率と取り違える誤謬
■人間の「かたまり」を見つける能力が誤謬を生む
■それでも人は幸運の連鎖に魅了される

第5章 信念と証拠に基づく判断=ベイズ推論
■ベイズ推論は全人類が学ぶべき理性の道具
■基準率無視と代表性ヒューリスティック
■基準率無視が科学の再現性危機の根源
■基準率を無視するほうが合理的である場合
■ベイズ推論を直観的に使えるようにするには

原注

著者略歴

著:スティーブン・ピンカー
スティーブン・ピンカー(Steven Pinker)
ハーバード大学心理学教授。スタンフォード大学とマサチューセッツ工科大学でも教鞭をとっている。認知科学者、実験心理学者として視覚認知、心理言語学、人間関係について研究している。進化心理学の第一人者。主著に『言語を生みだす本能』、『心の仕組み』、『人間の本性を考える』、『思考する言語』(以上NHKブックス)、『暴力の人類史』(青土社)、『21世紀の啓蒙』(草思社)などがある。その研究と教育の業績、ならびに著書により、数々の受賞歴がある。米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」、フォーリンポリシー誌の「知識人トップ100人」、ヒューマニスト・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。米国科学アカデミー会員。
訳:橘 明美
橘 明美(たちばな・あけみ)
英語・フランス語翻訳家。お茶の水女子大学卒。訳書にスティーブン・ピンカー『21世紀の啓蒙』(草思社、共訳)、ジェイミー・A・デイヴィス『人体はこうしてつくられる』(紀伊國屋書店)、フランソワ・ヌーデルマン『ピアノを弾く哲学者』(太田出版)ほか。

ISBN:9784794225894
出版社:草思社
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JM
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JMH
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:VS
国際分類コード【Thema(シーマ)】 4:PB