香港秘密行動
「勇武派」10人の証言
著:楊威利修
訳:勇松
内容紹介
香港の自由を守るためには、
「暴力」が必要だった――
香港の民主化をめぐる戦いで、警察との激しい衝突で有名になった
「勇武派」の若者10人に直接インタビューした貴重なルポルタージュ。
中国共産党による力の支配が貫徹する契機となった2019年のデモ当時の内幕を
現在は海外で逃亡生活を送っている当事者たちが包み隠さず語る。
権威主義国家の暴走が世界を揺るがしているいま、必読の一冊!
◇「勇武派」とは――
香港の民主化闘争において火炎瓶やレンガ、その他の武器などを用いて警察部隊を攻撃し、さらには施設の破壊、警官襲撃などもおこなった過激派の若者たちの呼称。
《勝てるはずのない「負け戦」になぜ、多くの若者が人生を賭けて参加したのだろうか。多くの代償を払うこの戦いに身を投じて後悔することはなかったのだろうか。負け戦に果敢に参加した若者たちの青春群像がリアルに、等身大に表現されているのは、本書の最大の魅力である。彼らの戦いに賭けたその思い、仲間への気遣いだけでなく、体を張った行動の息づかいや心音すら感じられるようで、読んでいて正直、胸が痛くなった。》
本書「解説」より
目次
日本の読者へ
序文
第1章 懐かしいのはあのときの自分であり、そのとき僕の心の中にいた彼女なんだ
出境したときは二人、戻ったときは一人/七十九日目の挫折/一転、冬眠生活へと堕落/泣きながら彼女を守る/黒衣のブラックユーモア/マスクを外し、はじめて顔を合わせる/五秒の距離/阿呆と鬼/血の債務が民兵を育てる/連合戦線と頓挫した計画/血縁より深い結びつき/あの日の写真/階級の距離/僕にはわからないし、答案も書けない
第2章 私は「何もない」人間なんかじゃなかった
古い音楽、古い映画/催涙弾の中で羊鍋を食べる/裏山での聯校活動/心の傷/MK妹、火炎瓶を作る/香港理工大学での攻防戦/「また誰か、大学から出てきたよ」/うつ病の再発、望郷の思い
第3章 いつの日か、あのヘルメットをとり戻す機会があるよ
火炎瓶を投げる人間とは/単独行動のメリット/八百香港ドルの大冒険/敵の弾が尽きるまで/必要なのは暴動だった/内部での主導権争い/降伏とは言わない降伏/最後の尊厳
第4章 立ち上がった以上、代償を払うことも覚悟しておくべき
覆面をかぶれば別の男になれる/勇武派はいつ生まれたのか/前線でのファッションショー/スパイ扱いで危機一髪/「水になれ」は役に立ったか/涙が涸れれば静かになる/逃れる理由、残る理由/勇気のない人間が爆弾を作る
第5章 曖昧さゆえに、失敗は運命づけられていた
香港の冬はまだ燃えていない/消去された記憶/たいまつは継承される/風雨もなく晴れもなく
第6章 みんなが生きてさえいれば、それで十分だ
剣を振るい、盟約を絶つ/引き金を引く勇気/押収された爆発物/ロマン主義の代償/香港の「法治」への幻想/香港に欠けているもの
第7章 父親には「戦車にひき殺されたいのか」と言われたけど
物資調達グループに参加/三万三千香港ドルを手渡された日/こんな娘を産んだ覚えはない/「暴徒」たちのメッセージ/中国に帰りたい母親/恋は風塵の如く/物資組を再び始動させる
第8章 不満を発散する道が封鎖されたとき、爆発する土壌が形成される
次の「魚蛋革命」を渇望する日々/立法会八階の民建聯オフィス/レンガを投げるのなら前にこい!/危険なリクルート活動/致命的な戦略のミス/自分の過大評価と、敵へ過小評価/拳銃はどこにあるのか/警察による自作自演説をめぐって/もう何も動かせないよ
第9章 なかったふりをすることと、本当に何もなかったこととは違う
排水溝に逃げ込み、一人戦う道を進む/馬鹿野郎、なんであたしの肩を殴ったんだい?/台湾式のプロセス/暴動鎮圧隊にペンキ卵を投げる/階下にイヌがいる/勇武派はマニキュアを塗ってはいけないのか/忘れっぽい香港人
第10章 僕は少数派になることができてうれしいですよ
ヘラジカの沈黙/必要なのは武力/麻袋襲撃を決行/大棠山の都市伝説/可能性A、可能性B
解説(坂井臣之助)
ISBN:9784794225856
。出版社:草思社
。判型:4-6
。ページ数:288ページ
。定価:2000円(本体)
。発行年月日:2022年07月
。発売日:2022年06月29日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB。