【本書「序文」より】
……問題にしているのは、中国の「自分たちが必要とする外国の技術を選び出して特定し、考えられるあらゆる方法を使ってそれを入手し、それを兵器や競争力のある製品に変えるための、入念に作り上げられた国ぐるみのシステム」のことだ。…このシステムは一三億の人口を持つ国にふさわしく巨大なもので、中国の科学技術事業そのものよりはるかに大きな規模で運営されている。そのことについては秘密などほとんどない。この大計画は、中国政府の政策として公文書に詳細に記されているし、中国ではメディアも取り上げており…情報機関による産業スパイも行なわれてはいるが、規模はそれほど大きくない。 中国の台頭については至るところで語られているが、不思議なことに、その台頭と、中国が外国の技術や才能を盗用していることとの関係についてはほとんど研究が行なわれていない。
目次
第1章 中国は昔から西洋の技術に依存してきた
その本質は〝中体西用〟/〝自強運動〟と言い西洋から学ぶ/混乱の時代に欧米に助けられる/日本にも大勢が留学した/共産革命後はソ連から学んだ/ソ連に〝見捨てられた〟のち、文化大革命が起きた/文化大革命の後、国の再建が始まった/今も続く「中体西用」の遺産
第2章 国をあげてオープンソース情報を収集
オープンソース情報収集システム構築の始まり/ポスト毛沢東の時代に急拡大/二〇〇〇年前後からウェブを使った近代化が進んだ/オープンソース情報収集の〝ガイドブック〟/オープンソース情報収集にかかわる中国の国家機関/プロ化している中国のオープンソース情報収集/〝インフォメーション〟と〝インテリジェンス〟の違い
第3章 外国企業の研究開発施設を誘致
外国企業の製品を組み立てて輸出する経済からの脱却を目指す/二〇〇〇年代に外国企業の研究開発施設が急増/外国企業の研究施設が増えた理由/多国籍企業が中国で研究開発施設を運営することへの賛否
第4章 中国にある外国技術移転組織
海外の人材をリクルートする国家組織/中国科学技術部による情報収集活動/その他の国家レベルの組織による情報収集活動/省や市の技術移転組織の活動/技術移転センターとは何か/NGOと主張する技術移転組織/インターネット上のネットワーク/本章の終わりに
第5章 アメリカにある中国の技術移転組織
アメリカから中国に通じる複数のルート/中国政府の外交施設/民間会社とNGO/大学同窓会/在米中国人の科学技術協会/カリフォルニアの技術移転団体/特殊なグループおよび台湾系の団体
第6章 アメリカの中国人留学生
中国のアメリカ留学政策/アメリカに押し寄せる中国人留学生/増えている不正入学/中国人留学生の学生協会と北京政府の関係/卒業後もアメリカにとどまる中国人留学生/彼らはなぜ帰らないのか/帰国を促す中国政府の政策/潜在的な懸念
第7章 外国の技術を中国に〝持ち帰る〟
海外在住中国人専門家を利用する政策を決定(一九九六年)/その政策をさらに推し進めることを決定(二〇〇一年)/海外在住中国人学者を使う大作戦を開始(二〇〇六年)/〝二つの基地〟から貢献せよ/〝サイエンスタウン〟と帰国学者パーク/【高新技術創業服務中心(ハイテク・イノベーション・サービスセンター)】/彼らはなぜ模倣ばかりするのか/帰国学者創業園の拡大/帰国学者創業園の果たす役割
第8章 情報機関による産業スパイ
中国の情報機関による産業スパイ作戦の規模/中国の諜報活動全般への誤解/〝千粒の砂〟の喩えは正しいか/「秘密を盗むのではなく、うまく誘導してしゃべらせる」は事実か/中国が情報提供者にするのは中国系の人間だけか/「中国は通常のスパイの手口を使わない」は事実か/「中国は善意の人からのみ情報を集める」は正しいか/中国の情報機関は産業スパイにどの程度かかわっているのか
第9章 中国のサイバースパイ
そのスケールはどれほどか/中国のサイバースパイは国力を誇示する手段(アメリカは秘密主義)/サイバースパイがやることとは/中国政府は否定/中国のサイバースパイ能力はどれほどか
第10章 産業スパイで国は変わるか
その他の技術移転メカニズム/中国に寄付しているほかの国……日本やヨーロッパも事情は同じ/抜け目のない戦略か、それとも病的な性格なのか?/アメリカよ、目を覚ませ