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紀伊の霊場と近世社会

著:佐藤 顕

紙版

内容紹介

本書は、紀伊国(和歌山県全域と三重県南部)の霊場へ参詣した民衆や受け入れた霊場の動向、民衆の思想・日常生活、藩権力の宗教政策を把握することにより、近世の霊場とそれを取り巻く社会の様相を解明する。寺社や信仰対象のほか立地する地域社会に注目し、その参詣者の祈願、その結果としての諸経費収入がその対象存在を経営的に支えているという新しい視点から近世社会の本質を捉える。

目次

序 章 本書の目的と方法
先行研究/課題と方法/本書の構成

一部 民衆の日常生活と信仰・霊場参詣

一章 民衆の世界観と信仰――紀伊国名草郡岩橋村湯橋長泰を事例に
はじめに/地士の身上り運動/湯橋長泰の世界観/湯橋長泰の信仰/おわりに

二章 高野山麓の日常生活と信仰――紀伊国伊都郡慈尊院村中橋英元を事例に
はじめに/年中行事にみる村の生活/中橋英元の教養と自意識/中橋英元の信仰/中橋英元の参詣/おわりに

三章 高野参詣の様相と変容――相模国を中心に
はじめに/高野参詣の様相/参詣者数の推移/参詣の変容/変容の要因/おわりに

四章 高野山における供養の展開――相模西部を事例に
はじめに/位牌供養の概要/供養数の推移/供養の変容/「先祖代々」供養の展開/おわりに

五章 高野山塔頭の勧進と民衆――相模国三浦郡を事例に
はじめに/勧進の特徴/文化期の勧進/勧進への対策とその実態/おわりに

二部 旅行者と地方寺社・地域社会

六章 道中日記に見る紀伊の旅
はじめに/西国三十三所観音巡礼/高野山から加太を経て四国へ渡海する行程/おわりに

七章 西国巡礼と地域社会――紀伊国伊都郡慈尊院村を事例に
はじめに/西国巡礼と慈尊院村/無銭渡の様相/無銭渡の目的/神流川の無銭渡/おわりに

八章 地方神社の宗教活動――紀伊国海部郡加太浦淡嶋神社を事例に
はじめに/淡嶋神社と紀伊/各地への勧請/江戸紀伊藩邸への勧請と出開帳/近世後期の淡嶋神社参詣/おわりに

三部 藩権力と霊場

九章 紀伊藩の寺社序列と教団組織――天台宗を事例に
はじめに/儀礼にみる近世後期の寺社序列/天台宗の序列形成過程/道成寺と紀伊藩/おわりに

十章 高野山の再建活動と紀伊藩
はじめに/幕府・紀伊藩への嘆願/和歌山での嘆願/江戸での嘆願/おわりに

十一章 紀伊藩における修験者の他領宗教者取締
はじめに/近世後期における取締/一八世紀における勧進宗教者の取締/化政期以降の修験の動向/おわりに

終 章

著者略歴

著:佐藤 顕
佐藤 顕(さとう あきら)……1979年神奈川県生まれ 明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(史学) 現在、和歌山市立博物館学芸員

ISBN:9784792414443
出版社:清文堂出版
判型:A5
ページ数:341ページ
定価:8200円(本体)
発行年月日:2019年09月
発売日:2019年08月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QRVS