「このがん治療でいいのか?」と悩んでいる人のための本
読むセカンドオピニオン
著:佐藤 典宏
内容紹介
現代は二人にひとりががんを患い、三人にひとりががんで亡くなる時代を迎えました。
一方で、治療技術の進歩により、がんによっては5年生存率は6割を超え、がんは治る病気、一生付き合っていく病気とも言われています。
そんな時代を迎えたいまでも、がんと告知された患者さんは、さまざまな問題に直面します。
どうやって病院を選ぶか?
どういう医師が担当医としてふさわしいのか?
どの治療法を選択すべきか?
いかに手術のダメージを減らすか?
どうやって抗がん剤治療を乗り切るか?
代替医療には意味があるのか?
がん治療をサポートするために、自分でできることはあるのか?
これらは、がんを克服する上で重大な問題であり、正確な情報に基づいて適切な選択ができるかどうかで生死が分かれるといっても過言ではないのです。
がん治療は「情報戦」である
みなさんは、どうやってがんについての情報を集めていますか?
おそらく多くの人が、インターネットや本、雑誌などから、がんに関する情報を集めていることでしょう。
しかし、よく言われることですが、巷にあふれるがんについての情報は、まさに玉石(ぎょくせき)混淆(こんこう)です。なかには、エビデンスのまったくない間違った情報や、高額な民間療法へと誘導する「がんビジネス」もあります。
例を挙げればキリがないのですが、
「抗がん剤はすべて毒で、死期を早めるだけ」
「手術は死亡リスクの高い危険な治療」
「がんが消える食事法」
「末期がんでも奇跡的に回復した免疫治療」
などです。
このようなウソや偏ったがん情報が氾濫するなか、信頼できる情報だけを探し当てることは非常に難しい問題です。
特に、がんの告知を受けて動揺している患者さんは、「楽に治る」といった心地よい情報を信じてしまう傾向にあります。その結果、まったく効果のない治療を選択してしまい、後悔することもあるのです。私はそういう患者さんをたくさん見てきました。
私は、がん治療は情報戦であると考えています。
つまり、「がんについての正しい情報を持っている人の方が、がんを克服できる可能性が高い」ということです。
そこで、手術、抗がん剤治療、さらに生活習慣、セルフケアも含めたその他の治療について、多くのがん患者さんが遭遇する問題をピックアップし、最新の研究データ(いわゆるエビデンス)に基づいて詳しく解説しました。
がんの治療を受ける上でとても重要な問題を取り上げましたが、実際には多くの人が知らないことばかりだと思います。
がんと告知され、手術や抗がん剤治療について悩んでいる患者さんや家族の方に役に立つ情報であると思います。
本書を参考にして、がん治療についての正しい情報を知り、賢くがん治療を受けていただければ幸いです。
目次
治療編
〈手術〉
遠くても手術数の多い病院/手術日による生存率/「切らない」という選択肢/執刀医の性別や年齢による手術後死亡率/専門性の高さの重要性/術後の痛み
〈化学療法〉
抗がん剤治療開始時の免疫細胞の量/抗がん剤の副作用/抗がん剤治療によるダウンステージング/免疫チェックポイント阻害剤
〈放射線治療〉
手術の前後の抗がん剤治療や放射線治療/第一選択としての放射線治療
生活指導編
〈食事〉
抗がん剤治療中の魚介生もの、外出/抗がん剤の副作用の吐き気を軽くする食べ物/本当にがんに効く食べ物はあるのか/がん治療のカギを握る腸内細菌
〈運動〉
運動ががん治療に必要な理由/手術前の握力や歩く速度/抗がん剤治療と筋肉量の関係性
〈その他〉
がん診断後の生活習慣/がん手術前のたばことお酒/手術前の歯みがきと合併症/心理的苦痛(つらい気持ち)と死亡率/抗がん剤治療中のインフルエンザ予防接種
ほかコラム数本