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次の震災について本当のことを話してみよう。

著:福和 伸夫

紙版

目次

まえがき

【序章 見たくないものを見る】

私の東京出張/次の震災は「破滅的」/『シン・ゴジラ』が描いた災害/映画が伝える日本人のメッセージ/「我がこと感」を持つために


【1章 危険な都市、危ないビル】

▼地盤と大都会
「たらい」に浮く大都会/日比谷、丸の内は入り江だった/谷底を走る中央線/危険度世界一/大阪の町は海だった/「石碑に墨を入れるように」/「水田に工場をつくるな」/バス停は正直だ/谷を埋めたところに住むな/ため池と干拓地

▼危うい建物
「プリン」と「お菓子」で分かる建物と地盤/地盤の周期、建物の周期/熊本地震、激震被害の正体/「南向き建物」の弱点/基礎杭の役割/「免震」も万全ではない/「箱っぽい」建物の強さ/コストと安全性/「地域係数」の問題点/「ハンムラビ法典」の教え/遠くの地震で往復3メートルの揺れ/大都市の超高層ビルの心配


【2章 次の大震災の光景】

▼二つの大震災の真実
神戸から聞こえた悲鳴/死者の8割、家の下敷き/専門家が受けた計り知れないショック/役所も消防も機能麻痺/予知から防災へ/「3・11」の混乱と反省/被害は地震の規模では決まらない

▼南海トラフ地震の地獄絵
新幹線走行中の激震/国民の半数が被災者になる/大空襲並みの惨状が各地に/木造密集地の火災は止められない/インフラは連鎖的に麻痺/電気、ガスの途絶も長期化/複雑な通信も命取りに/下水やごみ処理の困難さ/地震保険制度だけに頼って大丈夫?/日本から始まる世界恐慌


【3章 「未曾有」は繰り返す】

▼歴史を変えた地震
真田丸で描かれた二度の地震/「ドラマ」は南海トラフの活動期を描く?/ロシアの戦艦も巻き込んだ津波/災害が幕末の混乱を加速/関東大震災から開かれた大戦への道/戦時中の「隠された地震」/忘れてはいけない戦後の災害と教訓/「災厄なし」で経済大国に

▼「地震の神様」たちの教え
三陸地震と伊達政宗の復興事業/貞観地震と東日本大震災/歴史を軽視した福島第一原発/「稲むらの火」で命救った浜口梧陵/濃尾地震の被害表す「数え歌」/現代に通じる震災予防調査会の6カ条/関東大震災を警告した今村明恒/寺田寅彦のメッセージ


【4章 すぐできる対策とホンキの対策】

▼楽しみながらの防災対策
バッグの中の防災グッズいろいろ/耐震、自立型住宅/形だけの「BCP」がダメな理由/最悪の影響を全部調べる

▼ホンネの会からホンキが生まれた
「西三河の会」であらわになった問題/70組織の「ホンネの会」が始まる/「ダイジョーブ」は大丈夫じゃない/一つ一つ考えると問題ばかり/ちゃんと脅し褒めるとちゃんと動く/危険を逆手にビジネス/「口うるさい人」がいないと進まない/地域の「ホームドクター」になるために


終章 意識を変えれば何でもできる】

「答えをもらう社会」への違和感/「言いっぱなし」はダメ/実感すれば人は変わる/「予知」は完璧でなくていい/修羅場のときこそ優先順位を/100人が1人力を発揮する社会に


あとがき

著者略歴

著:福和 伸夫
1957年生まれ、名古屋市出身。名古屋大学教授・減災連携研究センター長、あいち・なごや強靭化共創センター長、工学博士、日本地震工学会会長、中央防災会議作業部会委員、地震調査研究推進本部政策委員長など。81年3月名古屋大学大学院工学研究科修了。同年大手建設会社入社。91年名古屋大学に異動、12年1月より現職。専門は、建築耐震工学、地震工学、地域防災。早期の耐震化を強く訴え、小泉純一郎政権時代には防災の国民運動作りの原動力となった。「自然災害は防ぐことは出来ないが、その被害を減らすことはできる」という信念のもと、研究のかたわら、耐震教材を多数開発し、全国の小・中・高等学校などで「減災講演」 を続けている。巨大な建物を実際に揺らすことのできる世界に類をみない研究・展示施設、名古屋大学「減災館」はその結集とも言える。

ISBN:9784788715363
出版社:時事通信出版局
判型:4-6
定価:1500円(本体)
発売日:2017年11月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS