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認知科学のススメ 10

選択と誘導の認知科学

監:日本認知科学会
著:山田 歩
監:内村 直之

紙版

内容紹介

 洗剤選びから政治的立場の決定まで、人の選択には無自覚に方向性を決める「癖」がある。選択結果を誘導する認知的環境や選択肢の設計はいかなるものか。誘導技術は善用できないのか。人の情報処理の仕組みを解明し、さらなる考察へと誘う入門書。

目次

選択と誘導の認知科学 目次

まえがき 

1章 物理的環境と選択の関係を考える
――選択に働きかける 1

 街中の看板と貼り紙によるメッセージ
 ファストフード店での滞在時間を決めるもの
 電車のシートへの座り方
 公園のベンチは誰が使うのか
 街中の花壇の役目
 なぜ看板や貼り紙がうまくいかないのか
  Box 心理的リアクタンス
 なぜ物理的環境がうまくいくのか
 看板・貼り紙vs.物理的環境
 まとめ――認知的環境と選択
  Box 対応バイアス


2章 デフォルトの効果――選択に働きかける 2

 「選択」に働きかける
 デフォルト① 「質問」でのの有無は何を生むか
 「オプトイン」と「オプトアウト」
 デフォルト② 受診手続きと受診率
 デフォルト③ 自動車保険を選ぶ
 デフォルト④ エネルギーを選ぶ
 デフォルト⑤ 臓器を提供するかしないか
 デフォルト⑥ お金を運用する
 なぜデフォルトの選択肢は選択されやすいのか
 不幸になりたい人などいない
 「選択アーキテクチャ」という考え方
 原因と対処
 自動システムと熟慮システム
 興味や関心を刺激する働きかけと比較する
 ミシュランのグルメガイドブックの起源は?
 フォルクスワーゲンの「ファン・セオリー」
 興味や関心を刺激する働きかけとの違い
 まとめ


3章 選択肢を分割する効果――選択に働きかける 3
 
 オバマ政権は支持されていたか
 分割の効果① 自動車が動かない原因を考える
 分割の効果② デート相手を選ぶ
 分割の効果③ ホテルを選ぶ
 分割の効果④ ワインを選ぶ
 分割の効果⑤ 防衛政策を判断する
 選択肢の操作で世論は変わるか
 まとめ


4章 よい働きかけとはどういうものか
――選択に働きかける 4

 選択アーキテクチャにはさまざまな問題がある
 「する」と「しない」は同じか
 「する」が満足に与える効果
「する」と「しない」から行為者の意図を読み取る
「する」は心理的な関与を高める
デフォルトは規範を変える
選択と自律
一般人の反応
まとめ


5章 「理由」は選択を正しくあらわしているか
――選択を説明する 1 

 選択とそのための理由 
 経路実験――どうやって「経路」を選ぶか
 ストッキング実験――置く位置か品
 「理由」はあてにならない
 条件づけ――良いものと一緒にされると好きになる 
 単純接触効果――見るほどに好きになる
 サブリミナル効果――見えない刺激の力
 働きかけに抵抗する人もいる
 洗剤実験――選択の根拠は効能か反復か
 まとめ


6章 「差別していない」は本音か言い訳か
――選択を説明する 2

 「オートコンプリートの真実」
 「母親 無職」と「父親 無職」に続くのは?
 性別役割分担意識
 ドクター・スミス課題
 性別役割分担意識とステレオタイプ
 職業と性差別
 客観性の幻想
 差別と曖昧さ
 まとめ


7章 無理に理由を考えるとどうなるか
――選択を説明する 3

 絵画実験――「2つの絵画について答えてください」
 好かれも嫌われもする作品
 好悪の理由を分析するのは難しい
 難しくても,無理に理由を分析すると何が起こるか
 「不自然な理由」が作り出される
 目隠しテストで芸能人を格付けチェック
 テイスティング方法と評価の関係は?
 「ペプシ・パラドクス」現象
 「ペプシ・パラドクス」を考え直す
 ペプシ・コーラとコカ・コーラの味の「違い」とは
 「ペプシ・パラドクス実験」もう一度
 「ペプシ・パラドクス実験」のまとめ
 まとめ――「もっともらしい理由」を作って決める判断とは


あとがき

文献一覧
索引
                          装幀=荒川伸生
                          イラスト=大橋慶子

ISBN:9784788516182
出版社:新曜社
判型:4-6
ページ数:192ページ
価格:1800円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年04月03日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP