煩悶青年と女学生の文学誌
「西洋」を読み替えて
著:平石 典子
内容紹介
◆「新しい男」「新しい女」はいかに誕生したか◆
日露戦争が始まる前年の明治三六年、一東大生が「人生は不可解なり」との遺書を残して華厳の滝から投身自殺をしました。以来、「煩悶」と自殺がブームになり、若者の望みは立身出世から煩悶青年にシフトしたのです。女子の高等教育の必要も叫ばれ、「女学生」も誕生しましたが、そこには「良妻賢母」から「堕落女学生」「宿命の女」など、様々の「女学生神話」が形成されました。森田草平と平塚らいてうの心中未遂事件もありました。本書は、これら「新しい男」「新しい女」のイメージの形成を文学作品のなかに探ったものですが、特に、西洋文学の翻訳を通して、そのイメージがどのように読み替えられていったかをたどります。そこには現在の若者像の萌芽がいたるところに見られます。ユニークな視点からの若者論です。著者は筑波大学准教授。
目次
◆「新しい男」「新しい女」はいかに誕生したか◆
日露戦争が始まる前年の明治三六年、一東大生が「人生は不可解なり」との遺書を残して華厳の滝から投身自殺をしました。以来、「煩悶」と自殺がブームになり、若者の望みは立身出世から煩悶青年にシフトしたのです。女子の高等教育の必要も叫ばれ、「女学生」も誕生しましたが、そこには「良妻賢母」から「堕落女学生」「宿命の女」など、様々の「女学生神話」が形成されました。森田草平と平塚らいてうの心中未遂事件もありました。本書は、これら「新しい男」「新しい女」のイメージの形成を文学作品のなかに探ったものですが、特に、西洋文学の翻訳を通して、そのイメージがどのように読み替えられていったかをたどります。そこには現在の若者像の萌芽がいたるところに見られます。ユニークな視点からの若者論です。著者は筑波大学准教授。