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「渦中」の心理学へ

往復書簡 心理学を語りなおす

著:浜田 寿美男
著:伊藤 哲司

紙版

内容紹介

◆人間の現実に攻め入るために

人は誰もが与えられた条件を背負いながら、自分の「生きるかたち」を模索していくしかありません。科学としての「心理学」は、これまでそういった人間の現実を捉えてきたでしょうか? いま、人の生きる「渦中」に寄り添いながら、生活世界の問題と切り結ぶ「もうひとつの心理学」が求められているのではないでしょうか? 本書は、既存の心理学への違和感から独自のフィールドを開拓してきた二人の心理学者が、虚偽自白、フィールドワーク、臨床心理学、発達支援などをめぐって対話しながら心理学者としての生き方を振り返り、研究や学問、社会のあり方にまで考察を深めていく知的刺激に満ちた一冊です。

目次

「渦中」の心理学へ*目次

序章 心理学を語りなおす

第1便 「語りなおす」ということ ●伊藤哲司
第2便 心理学と私の生い立ち ●浜田寿美男

第1章 心理学との出会い

第3便 人間の普遍性について ●伊藤哲司
第4便 裁判の渦中から ●浜田寿美男
第5便 「科学的」な方法論 ●伊藤哲司
第6便 「生きるかたち」は選べない ●浜田寿美男
第7便 就職とベトナムと ●伊藤哲司
第8便 「実験文化」の時代に ●浜田寿美男

第2章 社会と制度の中の「心理学」

第9便 「動きながら、関わりながら」 ●伊藤哲司
第10便 「三里塚」と「学会闘争」 ●浜田寿美男
第11便 「制度化」の功罪 ●伊藤哲司
第12便 研究志向から現場志向へ ●浜田寿美男
第13便 「心理学」という名の下に ●伊藤哲司
第14便 「虚偽自白」の心理学 ●浜田寿美男

第3章 心理学は「生きるかたち」をどこまで語れるか

第15便 「専門家」の落とし穴 ●伊藤哲司
第16便 犯罪捜査と人間の心理 ●浜田寿美男
第17便 「心理学の言葉」を考える ●伊藤哲司
第18便 なぜ心理学に希望がないのか ●浜田寿美男
第19便 「人の心」は割り切れない ●伊藤哲司
第20便 「一次的経験」の大切さ ●浜田寿美男

第4章 「心の時代」を問いなおす

第21便 他者と出会い自分を知る ●伊藤哲司
第22便 「心」を状況に合わせる手法 ●浜田寿美男
第23便 「心」に特化する心理学 ●伊藤哲司
第24便 愛のみにて生きるにあらず ●浜田寿美男
第25便 心を知るにはフィールドへ ●伊藤哲司
第26便 「生きづらさ」から生まれた悲劇 ●浜田寿美男

第5章 「観客」の心理学から「渦中」の心理学へ

第27便 調査という営みの中で ●伊藤哲司
第28便 恣意性を超えて ●浜田寿美男
第29便 「個人的な体験」を出発点に ●伊藤哲司
第30便 未練と希望を「渦中」から描く ●浜田寿美男
窮屈な心理学をちょっとはみ出しながら―あとがきにかえて 伊藤哲司
追伸―もうひとつのあとがき 浜田寿美男
索引

ISBN:9784788512139
出版社:新曜社
判型:4-6
ページ数:272ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2010年12月
発売日:2010年12月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP