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希少神経難病・知的障害の成人移行支援の手引き―遺伝性白質疾患も含めて

編:厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班

紙版

内容紹介

近年の医療の進歩により小児期から疾患があっても成人になる人は増えており,小児科から成人診療科への移行が重要な課題です.本書では,知的障害・運動障害をもつ方の移行医療についてまとめました.移行開始年齢や移行外来,患者・家族向けの情報,移行を成立させるための要因などについて解説し,特に知的障害をもつ患者の協働意思決定についても詳しく説明しています.事例を豊富に収載しより具体的に移行医療を考えられます.

目次

希少神経難病・知的障害の成人移行支援の手引き
─遺伝性白質疾患も含めて

目次

刊行にあたって
序 文
移行についての10年を考える
執筆者一覧

1 移行開始年齢
 Q1 成人移行支援は何歳から開始すべきか?
 Q2 何歳までに移行すべきか?
 Column 1 小児科で診療継続した成人患者が入院を必要とするときの問題
 Q3 成人移行しない選択肢はないのか?
 Q4 知的障害のある患者の移行年齢は?
 Column 2 事例:死ぬまで診る
 Column 3 事例:知的障害児の移行
 Q5 知的障害と運動障害が重度である場合の移行年齢は?
 Column 4 事例:移行難渋例

2 移行外来について
 Q1 移行外来は国内にどれくらいあるか?
 Q2 移行外来ではどのようなことをするのか?
 Q3 移行外来受診はどのようなタイミングがよいか?
 Column 5 海外の移行外来の報告
 Q4 てんかんの移行外来とはどのようなものか?

3 移行にかかわる多職種
 Q1 成人移行支援にはどのような職種がかかわるのか?
 Q2 どのような場合に多職種のサポートが必要か?
 Q3 患者・家族と多職種,多職種間の調整役は誰か?
 Column 6 移行期医療支援センター・移行期医療支援コーディネーターとは何か?
 Q4 進学や就職の相談はどうしたらよいか?
 Q5 多職種が連携する医療・ケアチームはどのように形成されるか?
 Column 7 事例:患者・家族が大切にしていることを忘れずに─「どうしても譲れない」母親の思いから移行が保留になった事例からの学び
 Column 8 事例:相談支援専門員の介入が効果的だった例

4 患者・家族向けの情報
 Q1 患者・家族にとっての移行医療の現状は?
 Q2 患者・家族の情報収集の場とは?
 Q3 具体的な患者会に属していない場合は?
 Q4 情報更新とフィードバックはどのようにするか?
 Column 9 事例:移行にまつわる不安「どうしたらいいの?」─道標は身近なところに
 Column 10 事例:情報も支援もあれど

5 移行において必要な情報は何か
―患者・成人診療科・小児診療科それぞれの立場から
 Q1 患者にとって移行において医療的に必要な情報とは?
 Q2 患者にとっての移行医療についての相談先があるか?
 Q3 患者にとって移行時に必要な医療費助成制度の手続き
 Q4 患者にとって移行時に必要な医療費助成制度以外の手続き
 Column 11 事例:学校で将来の話を聞いて成人診療科に受診した例
 Q5 成人診療科にとって移行時に必要な情報は?―患者情報,救急時の対応等
 Q6 成人診療科にとって移行時に必要な情報は?―疾患概要,診断手引き
 Column 12 アメリカにおけるDravet症候群の移行
 Q7 小児科にとって移行時に必要な情報は?
 Column 13 先を見越した治療
 Column 14 事例:施設入所に伴い成人診療科に移行したが小児科に戻った希少難病例
 Column 15 各種情報サイト

6 移行医療の成立を左右する要因は何か
 Q1 ケアの方針をどうするか?
 Q2 成人診療と小児診療の違いをどのように埋めるか?
 Q3 移行のコーディネートをどのようにするか?
 Column 16 事例:大脳白質形成不全症の施設への移行

7 精神科にどのようなときにお願いするのか
 Q1 どのような患者において精神科との連携が望まれるのか?
 Q2 知的障害を有する患者ではどのような精神医学的問題が生じるのか?
 Column 17 小児科から精神科に紹介するときのコツ―小児神経科の経験より
 Q3 特定の疾患や症候群で生じやすい精神症状があるのか?
 Q4 精神症状や行動の問題に対してどのようなアプローチが必要となるのか?
 Q5 移行のプロセスにおける同意能力における精神科医療や心理的介入の有用性はあるのか?
 Column 18 判断能力・同意能力
 Column 19 「倒れるわけにはいかない」親―精神科医の経験より

8 小児科と成人診療科の共同作業
 Q1 小児科・成人診療科が共同で行うべきことは何か?
 Q2 移行チームはどのようなメンバーで構成されるとよいか?
 Q3 移行カンファレンスで話し合う内容にはどのようなものがあるか?
 Q4 移行チームの結成や移行カンファレンスの実施が困難な場合に,有効な手段はあるか?
 Column 20 事例:阿吽の呼吸ではうまくいかない―30 歳女性,進行性大脳白質変性症

9 患者教育、職員教育
 Q1 患者教育はなぜ必要か?
 Q2 移行医療についての患者教育とはどのようなものか?
 Q3 患者・家族に対する移行の計画,タイムラインについての情報提供
 Q4 移行医療についての医師への教育はどのようなものがあるか?
 Column 21 事例:家族教育,協働意思決定,地域医療連携が医療的ケアに効果的
だった1 例―喉頭閉鎖術を実施したTORCH 症候群
 Q5 医師以外の職種への移行医療に関しての教育はどうなっているか?

10 移行医療における協働意思決定(SDM)とは何か
 Q1 協働意思決定(SDM)とは?
 Q2 SDM の利点は何か?
 Q3 SDM にかかわる人は?
 Q4 SDM に必要なステップは何か?
 Q5 複雑な医療的な状態を有する子ども(CMC)の医療にSDMは有用か?
 Q6 小児-成人移行医療においてのSDM のメリットは何か?
 Q7 知的障害を有する神経難病患者の移行医療においてSDMはどのようなものか?
 Column 22 療養介護病棟での親族不在成人例への協働意思決定
 Column 23 事例:親・親族等の代弁者がいない患者の救命のための緊急転院
 Column 24 事例:親・親族等の代弁者がいない成人患者の療養方針の検討

11 ACPに取り組んでみる
 Q1 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)で何をするのか?
 Q2 どのようなことからはじめるとよいのか?
 Q3 医療の同意はどのように行われるのか?
 Q4 移行医療でなぜACP が必要なのか?

12 移行において医療的ケアに関連して配慮すべきこと
 Q1 医療的ケアの内容について気を付けることは何か?
 Column 25 医療的ケアとは
 Column 26 事例:小児科で診療継続した医療的ケア者が入院を必要とするときの問題
 Q2 在宅医療にかかわる衛生材料についての注意点は何か?
 Column 27 高額な物品について
 Column 28 事例:新たに医療的ケアが必要になった40歳代例

13 移行の評価
 Q1 介入としての移行医療のアウトカムには何があるか?
 Q2 移行医療のquality indicator はあるか?

あとがき
索 引

ISBN:9784787826374
出版社:診断と治療社
判型:A5
ページ数:88ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ