田中克彦セレクション II
国やぶれてもことばあり
言語学と言語学史篇
著:田中 克彦
内容紹介
これまで埋もれていた半世紀にわたる執筆作品を自身でセレクトし、整理・編集した著作集の2冊目であるセレクシヨンⅡには、1963年~1998年の言語学に関する小篇、論文、講演録など32篇を収めた。
ここに収めた田中克彦の論考を通して、戦後日本の言語学の変遷を読み取ることができる。
特に日本語ではなく、国語と称されるに至った経緯やピジン・クレオール語、民族語についての論考は、現代の終わりの見えない民族対立について考えるきっかけになるだろう。
目次
セレクシヨンⅡへのまえがき
第一部 一九六〇年代~一九七〇年代
日本語を考える
戦後日本における言語学の状況
言語観の再検討を
論理学に対する現代言語学の立場 ―山田広行『論理学』をめぐって―
言語学と言語学的現実
恥の日本語
「読む」ことと「見る」こと 現代詩への一考察
地域と言語
「エッタ」を私はこう読んだ
第二部 一九八〇年代
言語批判の視点 『国語の将来』『国語史』『標準語と方言』その他
国語愛と教育のことば
支配の装置としての学術語 社会科学用語のジャルゴン性を撃つ
エスペラントを包囲する 言語学イデオロギー
《本から本へ》クレオール くずれたフランス語の学び方
ヨーロッパと言語イデオロギー
《講演録》社会言語学的にみた日本文化の気質
《百科問答》外国語における「差別語」は?
エスペラント百年に思う
言語・エトノス・国家
「影響」の影響力
《講演録》「国際」の政治意味論
第三部 クレオールと多言語主義
ピジン、クレオールが語る言語の本質
書くことは自由か
《講演録》ことばとエコロジー
《講演録》明治日本における「国語」の発見
《講演録》一言語主義から多言語主義へ――フランス語の未来
国語の形成
《講演録》二一世紀の世界における日本語
世界・日本・ローマ字
人間にとってことばとは何か
国語と国家語
《講演録》ことばの環境と経済