序 章 産業遺産と向き合うために ベルナール・トマン
第1部 産業遺産とは何か
第1章 産業遺産の文化的・観光的プロモーション――ルワルド鉱山歴史センター カリーヌ・スプリモン[矢後和彦訳]
1 デロワ坑からルワルド鉱山歴史センターへ
2 ルワルド鉱山歴史センターの成功の理由
3 ネットワークの中心にあるルワルド鉱山歴史センター――常に進化しつづける産業遺跡
第2章 産業遺産概念の展開と建造物の用・強・美 伊東 孝
1 産業遺産概念――誕生と展開
2 建造物の用・強・美
第3章 産業景観――見捨てられた遺産から地域再開発のベクトルとしての遺産へ:ロレーヌの事例 シモン・エーデルブルッテ[矢後和彦訳]
1 産業景観とは何か
2 魅惑、拒絶、再発見
3 伝統、遺産、地域再開発――景観の重要な役割
第2部 地域の経済・社会活性化と産業遺産
第4章 産業遺産とエコロジー的な移行プロセス ジャン゠フランソワ・カロン[矢後和彦訳]
1 搾取された土地から世界遺産へ
2 移行のプロセス――文化的アプローチ
第5章 なぜ保存するのか――観光のパラドクスと保存の論理 堀川三郎
1 小樽運河保存問題とは何か
2 保存とは変化すること――保存運動の到達点
3 観光開発のパラドクス
第6章 世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」――SOYEUX DESTINS 絹が結ぶ縁 稲塚広美
1 世界遺産について
2 現在の富岡製糸場
3 フランスからの技術移転
4 富岡市の日仏交流
第3部 人類学・社会学・歴史学と産業遺産
第7章 石炭産業の最終局面での労働者・家族・地域――社会学研究の源泉としての産業遺産 嶋﨑尚子
1 石炭産業への関心と多様な産業遺産
2 産業の衰退期・最終局面への接近:1――炭鉱離職者の行方
3 産業の衰退期・最終局面への接近:2――最終局面での炭鉱労働とコミュニティー
4 旧産炭地の産業遺産の活用――多種多様な遺産の活用と構築
第8章 鉄道記念物と産業遺産――文化財保護をめぐる企業の社会的責任を中心に 中村尚史
1 鉄道記念物制度の制定と運用
2 文化財としての鉄道遺産
3 鉄道遺産をめぐる鉄道事業者=企業の対応
第9章 産業遺産と遺産化プロセスへの歴史的接近――フランスの鉱山の事例 マリオン・フォンテーヌ[矢後和彦訳]
1 再工業化の課題に立ち向かう産業遺産
2 「価値付与」と「リフレーミング」の狭間での産業遺産の「ポスト産業化」的転回
3 結論
終 章 アーカイブの窓から考える産業遺産 武田晴人
1 リアルな歴史像を伝える遺産群
2 産業遺産との向き合い方
3 産業遺産と地域活性化の課題
4 地域住民の視点
5 産業遺産継承の努力
6 産業遺産化を阻むもの
7 直面する危機を乗り越える「物語」の創造
あとがき 矢後和彦