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模型のメディア論

時空間を媒介する「モノ」

著:松井 広志

紙版

内容紹介

模型を作ることは、モノと向き合いながら同時に、それを通して向こうの「実物」に思いを馳せることでもある。このとき、模型という「モノ」は、ある種の「メディア」になっている。日本社会のなかの模型について、歴史・現在・理論の3つの側面から解き明かす。

目次

はじめに

序章 模型というモノ/メディア
 1 本書の背景
 2 モノとメディア
 3 模型という分析対象──「実物との関係」と「物質的なモノ」
 4 先行研究
 5 メディア考古学という方法
 6 本書の構成

第1部 歴史

第1章 日本の近代化と科学模型
 1 江戸期における模型の起源
 2 近代化と科学模型
 3 木製・金属製模型と工業化
 4 未来の機能を実現するメディア

第2章 帝国日本の戦争と兵器模型
 1 模型航空教育と啓蒙
 2 兵器模型と戦争
 3 物資不足と代用材
 4 現在の理念を体現するメディア

第3章 戦後社会とスケールモデル/プラスチックモデル
 1 占領期における模型
 2 スケールモデルと「趣味」
 3 プラスチックモデルと高度経済成長
 4 過去の形状を再現するメディア

第2部 現在

第4章 情報消費社会とキャラクターモデル/ガレージキット
 1 情報消費社会と模型
 2 キャラクターモデルとガンプラブーム
 3 ガレージキットとアマチュアリズム
 4 虚構の解釈を表現するメディア

第5章 グローバル化・デジタル化と拡散する模型
 1 グローバル化・デジタル化と模型
 2 フィギュアブームと中国の工業化
 3 実物大模型と疑似アウラ
 4 記憶と物体のメディア

第3部 理論

第6章 ポピュラー文化における「モノ」──記号・物質・記憶
 1 記号
 2 物質
 3 記憶
 4 時空間を媒介するモノ

第7章 「モノ」のメディア論──メッセージ・ネットワーク・オブジェクト
 1 メッセージ
 2 ネットワーク
 3 オブジェクト
 4 モノのメディア論

終章 模型のメディア論
 1 模型のメディア考古学
 2 断絶する時空間と媒介するモノ
 3 ポスト・デジタル化社会におけるモノとメディア

おわりに

著者略歴

著:松井 広志
1983年、大阪府生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(文学)。愛知淑徳大学講師。専攻はメディア論、文化社会学。共著に『動員のメディアミックス(仮題)』(思文閣出版、近刊)、論文に「メディアの物質性と媒介性」(「マス・コミュニケーション研究」第87号)、「ポピュラーカルチャーにおけるモノ」(「社会学評論」第63巻第4号)など。

ISBN:9784787234223
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:242ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2017年08月
発売日:2017年08月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TBC