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族の系譜学

ユース・サブカルチャーズの戦後史

著:難波 功士

紙版

内容紹介

太陽族からみゆき族、暴走族、アンノン族、クリスタル族などの「族」の系譜をたどり、オタク、渋谷系、コギャル、裏原系へという「族から系への転換」を見定めて、若者文化の戦後史を描き出す。「族」や「系」を光源として日本社会を照射する若者論の力作。

目次

はじめに

第1部 「ユース・サブカルチャーズ」へのアプローチ

第1章 研究の系譜
 1 「カルチャー」とは
 2 「サブカルチャー」とは
 3 「ユース・サブカルチャーズ」とは
 4 日本での研究の現状

第2章 諸状況としてのユース・サブカルチャーズ
 1 アーヴィン・ゴフマンの視点から
 2 ユース・サブカルチャーズへの五つの視角
 3 言説のなかの状況、状況のなかの言説

第2部 戦後ユース・サブカルチャーズ史

第3章 太陽族の季節
 1 十代とプロト太陽族
 2 メディエイテッド太陽族
 3 モラル・パニックとしての太陽族
 4 太陽族その後

第4章 みゆき族というストリート・カルチャー
 1 みゆき族の生成・消滅
 2 「平凡パンチ」とみゆき族
 3 フォーク・デヴィルとしてのみゆき族
 4 銀座のトポロジー

第5章 ‘Youthquake’とフーテン族
 1 大都市に集住する団塊
 2 一九六七年、フーテン族の夏
 3 フーテン族とは誰か
 4 拡散する若者文化情況

第6章 旅するアイデンティティ、アンノン族
 1 急成長する女性誌
 2 カニ族からアンノン族へ
 3 ディスカヴァーされる日本
 4 ジェンダー・トラブルか、従順な消費者か

第7章 暴走族──モビリティとローカリティ
 1 暴走族前史
 2 「暴走族」の構築
 3 階級、マスキュリニティ、ローカリティ
 4 メディアというギャラリー
 [補論] 「ヤンキー」スタイルの消費へ

第8章 クリスタル族──クラスとテイストのセクト
 1 二十五年後の太陽族
 2 消費するアイデンティティ
 3 世代としての「新人類」
 4 カタログ化する都市空間へ

第9章 おたく族からオタクへ
 1 おたく族とメディア、おたく族のメディア
 2 ユースフォビアとしてのおたく族
 3 おたくとジェンダー
 4 世代のなかのおたく、おたくのなかの世代

第10章 族の末裔としての渋カジ
 1 「渋谷の後背地=山の手」の拡張
 2 「東京二世=団塊Jr.」への期待
 3 煽るメディア、鎮めるメディア
 4 チーマーと‘-er’の浮上

第11章 渋谷系というテイスト・ジャンル
 1 渋谷系の誕生
 2 音楽ジャンルであり、ユース・サブカルチャーであること
 3 渋谷系とアキバ系
 4 渋谷の変容と渋谷からの離脱

第12章 コギャル、ジェンダー・(アン)トラブルド
 1 「コギャル」の生成過程
 2 コギャルに発情するメディア
 3 メディアと共振する女子高生
 4 (コ)ギャルとギャル男(ルビ:お)

第13章 裏原系という居場所
 1 「裏原(宿)」の生成過程
 2 上京者の居場所としての裏原
 3 ストリート系男性誌の族生
 4 ホモソーシャルな男性性と裏原系女子

第3部 結語

あとがき

著者略歴

著:難波 功士
1961年、大阪府生まれ。関西学院大学社会学部教授。専攻は広告論、メディア史、ユース・サブカルチャーズ史。著書に『「広告」への社会学』(世界思想社)、『「撃ちてし止まむ」──太平洋戦争と広告の技術者たち』(講談社)、共編著に『メディア文化を読み解く技法──カルチュラル・スタディーズ・ジャパン』(世界思想社)、共著に『メディア史を学ぶ人のために』(世界思想社)、『一九三〇年代のメディアと身体』(青弓社)など。

ISBN:9784787232731
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:404ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2007年06月
発売日:2007年06月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS