出版社を探す

継続する植民地主義

ジェンダー/民族/人種/階級

編著:岩崎 稔
編著:大川 正彦
編著:中野 敏男

紙版

内容紹介

総力戦体制の戦後への連続と再編──。「動員」「分断」「ジェンダー」「民族」などの視角から、戦中から戦後までを貫く東アジアの植民地主義と総動員体制の変容を見定め、輻輳した「戦後」という時空間を解きほぐす。戦後責任に正面から応答する試み。

目次

はじめに──「継続する植民地主義」の再審のために 李孝徳

1 東アジアの「戦後」を問う
東アジアで「戦後」を問うこと──植民地主義の継続を把捉する問題構成とは 中野敏男

2 分断の原史
占領支配の構造とその変容 荒 敬
顕現する「国境」──沖縄与那国島の密貿易終息の背景 屋嘉比 収
占領軍への有害な行動──敗戦後日本における移民管理と在日朝鮮人 テッサ・モーリス‐スズキ/辛島理人 訳
「反革命」秩序の形成と在日朝鮮人 崔徳孝
コラム 沖縄の人々と在日朝鮮人を繋ぐもの 崔真碩

3 「戦後」を構成する暴力
「戦後」を構成する暴力 米山リサ/金富子/李孝徳

4 植民地主義の継続とジェンダー
植民地期・解放直後の朝鮮における公娼認識──女性の身体をめぐるナショナリズムとジェンダー 金富子
基地村の発生と展開──ユングミ事件が突きつけること 尹京順
忘れられた小説『灰色の丘』のこと──「引揚げ」体験とジェンダー 成田龍一
密航・民族・ジェンダー──「在日朝鮮人文学」にみる《人流》 高和政
暴力の表象と沖縄文学の「戦後」──一九五〇年代をめぐって 宮城公子
在日朝鮮人女性とは誰か 宋連玉
コラム 映像とジェンダー──映画のなかの恋愛と自己同一性の流動性 酒井直樹

5 戦後理解と植民地主義
植民地支配責任を定立するために 板垣竜太
戦後詩と戦後歴史学──一九五〇年代の叙事詩的渇望の史学史的文脈 岩崎 稔
怪物の影──「小松川事件」と表象の暴力 徐京植
コラム なぜ、この問いが可能になったのか──沈黙を強いる構造的権力の変容との関連で 土佐弘之
コラム 権力の輻輳はいかに理解されたか──異論として 朴裕河
コラム 異論として──東アジアの「西側」から 鄭栄桓

おわりに──編者のひとりとして、最初の読者のひとりとして 大川正彦

著者略歴

編著:岩崎 稔
1956年生まれ。東京外国語大学外国語学部助教授。専攻は哲学、政治思想史。共著に「ポイエーシス的メタ主体の欲望──三木清の技術哲学」(山之内靖/ヴィクター・コシュマン/成田龍一編『総力戦と現代化』所収、柏書房)。共訳書にマリタ・スターケン『アメリカという記憶──ベトナム戦争、エイズ、記念碑的表象』(未来社)など。
編著:大川 正彦
1965年生まれ。東京外国語大学外国語学部助教授。専攻は政治思想史、政治理論。著書に『マルクス──いま、コミュニズムを生きるとは?』(日本放送出版協会)、『正義』(岩波書店)。共著に「親密圏とニーズ──生きている場、死なれた他者、死なせた他者」(齋藤純一編『親密圏のポリティクス』所収、ナカニシヤ出版)など。
編著:中野 敏男
1950年生まれ。東京外国語大学外国語学部教授。専攻は社会理論、社会思想。著書に『大塚久雄と丸山眞男──動員、主体、戦争責任』(青土社)、『近代法システムと批判──ウェーバーからルーマンを超えて』(弘文堂)、『マックス・ウェーバーと現代──〈比較文化史的視座〉と〈物象化としての合理化〉』(三一書房)など。

ISBN:9784787232403
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:380ページ
定価:3400円(本体)
発行年月日:2005年02月
発売日:2005年02月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF