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青弓社ルネサンス

マックス・ウェーバーと現代

増補版

著:中野 敏男

紙版

内容紹介

他者の行為はなぜ理解できるのか――政治・社会・文化のあらゆる領域で知識が断片化する今日、近代人の行為の根底からこの時代を問い続けたウェーバー理解社会学の方法原理に内在して思考を紡ぎ、時代の意味への問いをドラスティックに復権させる。

目次

凡例

第1部 マックス・ウェーバーと現代――〈比較文化史的視座〉と〈物象化としての合理化〉

まえがき

序 章 〈比較文化史的視座〉とウェーバー〈物象化〉論

第1章 解明的理解の論理構造と〈人格性〉の原像
 1 解明可能性をめぐる問題状況
 2 因果的解明の論理的基礎について
 3 価値分析としての解明と因果的解明
 4 文化科学と解明的理解の意義
 5 文化人による文化人の理解――〈人格性〉と〈比較文化史的視座〉

第2章 ウェーバー行為類型論と〈物象化としての合理化〉
 1 考察対象としての行為類型論
 2 行為の合理性と自由
 3 〈価値〉と〈行為〉
 4 行為類型論の図式構成と四類型の位置価
 [補論]『理解社会学のカテゴリー』と『社会学の基礎概念』の概念構成の差異について
 5 基本的諸概念の構成――〈物象化〉の始源
 6 〈Betrieb〉――〈物象化〉の展開
 7 〈官僚制的支配〉――〈物象化〉の帰結
 8 文化人の運命と行為類型論

終 章 〈比較文化史的視座〉と主体としての〈文化人〉

あとがき

現下の思想状況と本書の意義 折原 浩

第2部 ウェーバー理解社会学の可能性

第1章 ウェーバー社会学の基本モチーフの解読
 1 ウェーバー研究における統一的視座の設定に向けて
 2 ヴェルトフライハイト再考――〈秩序形成の文化意義〉という問いへ
 3 「一一―一三年草稿」への展開――社会的秩序形成の自律性
 4 『宗教社会学』と『法社会学』との論述構成の相似性

第2章 マックス・ヴェーバーの変貌とそれを読む位置
 1 戦後社会の自己理解を照らす鏡としてのヴェーバー
 2 第一次大戦を前後して変貌するヴェーバー
 3 世界戦争という経験と社会理論の転換
 4 自己革新のプロセスとしてヴェーバーを読むこと

第3章 ヴェーバー社会理論のジェンダー論的射程
 1 ヴェーバーにおける「男らしさ」の担い手
 2 ベトリープ資本主義論にジェンダーを読み取る
 3 家計とベトリープの分離――それはジェンダー関係の何を変えたのか
 4 ヴェーバーの史的ジェンダー理論が開示したこと/しないこと――「欠如」する主婦、階級、植民地

著者解説――マックス・ヴェーバーの新しい読みと活用のために

初出一覧

解説にかえて 中野敏男という意志 熊野純彦

著者略歴

著:中野 敏男
1950年生まれ。東京外国語大学教員。専攻は社会理論、社会思想。著書に『詩歌と戦争』(NHK出版)、『大塚久雄と丸山眞男』(青土社)、『近代法システムと批判』(弘文堂)、共編著に『歴史と責任』『沖縄の占領と日本の復興』『継続する植民地主義』(いずれも青弓社)、共訳書にマックス・ウェーバー『理解社会学のカテゴリー』(未来社)など。

ISBN:9784787210500
出版社:青弓社
判型:A5
ページ数:360ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2013年04月
発売日:2013年04月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB