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植物生理学

生化学反応を中心に

著:加藤 美砂子

紙版

内容紹介

 植物生理学は最近、ますます面白くなってきた。なぜならば、科学技術の進歩により、植物生理学の研究にもゲノム解析を初めとする新しい手法が怒濤のように押し寄せ、分子レベルでの新しい発見が相次いでいるからである。
 本書は、植物が生きていくためのしくみを知るという植物生理学の本質を、多数の図を示しながら、大学の初学者向けにわかりやすく解説したものである。さらに、植物生理学の研究の先には何があるのか、研究の社会実装という観点から、バイオテクノロジーの技術や藻類を用いた有用物質生産についても紹介した。
 植物生理学を学ぶこと、研究することは、やがて私たちの社会に還元されていく。本書により、その基礎をしっかりと身につけていただきたい。

目次

1.植物生理学を学ぶための基礎知識
 1.1 植物を構成する物質
 1.2 植物の系統
 1.3 植物の組織と器官
 1.4 モデル植物

2.植物の細胞
 2.1 植物細胞の基本構造
 2.2 細胞壁
 2.3 膜の構造と細胞膜
 2.4 オルガネラ

3.光合成
 3.1 光合成色素
 3.2 光化学系
 3.3 ATP合成
 3.4 カルビン・ベンソン回路
 3.5 光呼吸
 3.6 C4光合成とCAM型光合成

4.呼 吸
 4.1 植物における呼吸の概略
 4.2 解糖系
 4.3 TCA回路
 4.4 酸化的リン酸化
 4.5 ペントースリン酸経路


5.糖質の代謝
 5.1 糖の構造
 5.2 スクロース
 5.3 デンプン

6.脂質の代謝
 6.1 脂肪酸の合成
 6.2 膜を構成する脂質
 6.3 貯蔵脂質
 6.4 植物の身を守る脂質

7.無機栄養の代謝
 7.1 植物と無機栄養
 7.2 窒素代謝
 7.3 硫黄同化
 7.4 リンの吸収

8.二次代謝
 8.1 二次代謝の基本経路
 8.2 テルペノイド
 8.3 フェニルプロパノイド
 8.4 フラボノイド
 8.5 アルカロイド
 8.6 二次代謝産物の機能

9.代謝産物の輸送
 9.1 篩管輸送
 9.2 道管輸送
 9.3 細胞内輸送

10.植物ホルモン
 10.1 オーキシン
 10.2 ジベレリン
 10.3 サイトカイニン
 10.4 エチレン
 10.5 アブシシン酸
 10.6 ブラシノステロイド
 10.7 ジャスモン酸
 10.8 サリチル酸
 10.9 ストリゴラクトン
 10.10 ペプチドホルモン

11.成長の調節
 11.1 受精と発生
 11.2 植物の一生
 11.3 環境応答

12.植物生理学は未来を拓く:バイオテクノロジー
 12.1 植物の形質転換
 12.2 分子育種とその応用
 12.3 ファイトレメディエーション
 12.4 藻類を用いた有用物質生産

著者略歴

著:加藤 美砂子
お茶の水女子大学教授、理学博士。1983年 お茶の水女子大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得満期退学。海洋バイオテクノロジー研究所研究員、お茶の水女子大学助手・助教授を経て現職。専門は植物生理学、とくに脂質代謝、二次代謝、微細藻類を用いた有用物質生産。主な著書・訳書に『マリンバイオの未来』(共著、裳華房)、『生化学』(分担執筆、東京化学同人)、『代謝と生合成30講』(共著、朝倉書店)、『植物生理学』(分担翻訳、丸善出版)などがある。

ISBN:9784785352394
出版社:裳華房
判型:B5
ページ数:192ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PST