出版書誌データベース

本書は、大学初年級程度の解析学と力学の予備知識で理解できるように書かれた入門的教科書である。実験と理論との関わりにも配慮され、また、星の重力平衡・中性子星・重力崩壊・重力波や宇宙論の問題等も広く取り入れ、相対性理論の今日的な物理的側面も強調された内容となっている。

1．特殊相対性理論の基礎
　1.1　ガリレイ変換と物理法則
　1.2　マイケルソン‐モーレーの実験
　1.3　ローレンツ変換
　1.4　ミンコフスキー空間
　演習問題

2．特殊相対論的力学および電磁気学
　2.1　相対論的な運動方程式
　2.2　質点のエネルギー
　2.3　電磁気学の相対論的定式化
　2.4　電磁場中での荷電粒子の運動
　2.5　電磁場のエネルギーと運動量
　演習問題

3．一般相対性理論の基礎
　3.1　一般共変性の要請
　3.2　等価原理
　3.3　エトベッシュの実験と等価原理の検証
　3.4　重力場による赤方偏移および光線の湾曲
　演習問題

4．リーマン幾何学
　4.1　曲がった空間の幾何学
　4.2　スカラー，ベクトル，テンソル
　4.3　共変微分と接続係数
　4.4　測地座標系
　4.5　平行移動
　4.6　測地線
　4.7　曲率
　4.8　簡単な例
　演習問題

5．重力場の方程式
　5.1　重力場中での質点の運動＝測地線
　5.2　アインシュタイン方程式＝重力場の方程式
　5.3　アインシュタイン‐ヒルベルトの作用原理
　5.4　シュバルツシルドの解＝静的中心対称の重力場
　5.5　事象地平面
　5.6　回転座標系
　演習問題

6．一般相対性理論の実験的検証
　6.1　水星の近日点前進
　6.2　光線の湾曲
　6.3　スペクトル線の赤方偏移，時間の遅れ
　6.4　レーダーによる時空構造の探索
　6.5　ジャイロスコープの歳差運動
　演習問題

7．星の重力平衡
　7.1　高密度星の重力平衡
　7.2　白色矮星＝非相対論的重力平衡
　7.3　TOV方程式＝中性子星の重力平衡
　7.4　シュバルツシルドの内部解＝密度一定の球対称な星の内部
　7.5　星の重力崩壊
　演習問題

8．重力波
　8.1　弱い重力
　8.2　平面波
　8.3　重力波のエネルギーと運動量＝保存則再考
　8.4　四重極放射
　8.5　連星パルサー
　8.6　重力波の観測実験
　演習問題

9．膨張宇宙
　9.1　宇宙の姿
　9.2　FRW計量
　9.3　レッドシフト
　9.4　フリードマン方程式と宇宙論モデル
　9.5　宇宙の年齢
　演習問題

著：窪田　高弘
大阪大学名誉教授、理学博士。1952年 兵庫県に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院博士課程修了。大阪大学助手・助教授・教授などを歴任。

著：佐々木　隆
元 京都大学准教授、理学博士。1948年 東京都に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院博士課程修了。広島大学助教授、京都大学准教授などを歴任。