マルクス、エンゲルスの国家論
著:大藪龍介
内容紹介
マルクス主義理論研究の道を拓かせた論集。
21世紀の世界と日本の現状況は、貧富の格差の凄まじい拡大、民主主義の更なる形骸化、強(大)国による弱肉強食の横行、人心操作イデオロギーの氾濫、地球環境の未曽有の破壊、等々、経済的、社会的、政治的、文化的危機を打開し変革するための新たな人間解放理論が緊切に要請されている。マルクス主義は、「マルクス・レーニン主義」と決裂するのみならず、「マルクス・エンゲルス問題」(マルクスとエンゲルスの理論的異同)や「カール・マルクス問題」(初期・中期・後期のマルクスの理論的変遷)を吟味し、更には“本当のマルクス”にも所在する限界や過誤を掴み取って、マルクス理論をも超え出る形での新規開拓を求められている。
マルクス主義と対面する若い世代の活動家や研究者が、旧来の伝習から離れ、マルクスやエンゲルスの古典的な理論の意義と限界を検分する基礎作業の足場の一つとして、『マルクス、エンゲルスの国家論』が役立つことを願っている。 (「再刊にあたって」より)
目次
『マルクス、エンゲルスの国家論」再刊にあたって
第一章 若きマルクスの国家観の転回
一 出発点としてのヘーゲル国家哲学批判
二 政治哲学的考究の諸相
三 ヘーゲル法哲学からの離陸
第二章 唯物史観としての国家観の形成
一 マルクスのフランス国家考と〝国家批判プラン〟
二 エンゲルスのイギリス国家考
三 『ドイツ・イデオロギー』における国家論
四 唯物史観としての国家観の展開
第三章 『資本論』における国家と法
一 ベンサムとヘーゲル
二 国家と法 社会規範と法規範
三 所有イデオロギー批判の方法的論理
第四章 マルクス、エンゲルスのイギリス国家論
一 ブルジョア国家の成立と展開
二 ブルジョア国家の確立と成熟
三 イギリス国家構造の理論的分析
第五章 マルクスの第二帝制・ボナパルティズム論
一 革命の幻想とルイ・ナポレオン支配体制論
二 フランス現状分析論の転換
三 第二帝制・ボナパルティズム論の到達
四 残されている問題
第六章 マルクス、エンゲルスのドイツ国家論
一 革命と反革命の構図とその修正
二 ドイツ・ボナパルティズム論の展開
三 上からの革命の概念的把握
四 ドイツ・ブルジョア国家形成の特質について
第七章 後期エンゲルスの国家論
一 ボナパルティズム論
二 国家論の方法
三 国家一般論
あとがき