出版社を探す

万国博覧会と人間の歴史

編:佐野 真由子

紙版

内容紹介

 万博から、人間の歴史が見える!
 万国博覧会。それは、1851年のロンドンで始まり、今日まで連綿と続いてきた。
 1970年大阪万博が日本社会に一時代を画した例をひくまでもなく、近代以降の人間社会のあゆみを語る上で、万国博覧会は決して見過ごすことのできない対象である。多くの人びとを魅了する万博には厚い研究蓄積があるが、自国への関心の集中、現場の視点の欠如など、偏りもあった。
 本書は従来の研究の枠組みを超え、多様な領域の研究者のほか、万博をつくり、支える立場の政府関係者、業界関係者が集い、さらにアジア各国の研究者を迎えて、ともに議論を重ねた共同研究の成果である。

目次

はじめに―本書について―(佐野真由子)

  Ⅰ 博覧会の人
万博の人、ラザフォード・オールコック(佐野真由子)
―1851、1862、1878、1886―

岩倉使節団の見たウィーンとウィーン万博(芳賀 徹)

1878年パリ万国博覧会における前田正名の役割(寺本敬子)
―ジャポニスム流行の立役者―

「隠者の国」朝鮮士大夫のアメリカ文明見聞録(ユク・ヨンス)
―出品事務大員鄭敬源と1893年シカゴ・コロンビア万国博覧会―

並河靖之と万国博覧会(武藤夕佳里)
―並河七宝と巴里庭をめぐる人びと―

建築家劉既漂と中国における「新建築」の誕生(青木信夫)
―パリ万博から西湖博覧会へ―

万国博覧会と藤田嗣治(林 洋子)
―1900年パリ、1937年パリ、そして1940年東京―


  Ⅱ 博覧会の場所
景福宮から朝鮮博覧会場への空間変貌 (ウィーベ・カウテルト)

幻の博覧都市計画 (増山一成)
―東京月島・日本万国博覧会―

中空構造で解く千里ニュータウンと大阪万博(中牧弘允)

南紀熊野体験博と熊野の表象(神田孝治)

  
  Ⅲ 博覧会と仕事・社会
資料から見るランカイ屋と装飾業の歴史(石川敦子)

コンパニオンが女看守とよばれたころ (井上章一)
―博覧会場における女性接遇員の成立と展開―

博覧と衆智 (瀧井一博)
―渡辺洪基と萬年会の目指したもの―

万国博覧会を飾った日本の革と紙(鵜飼敦子)
―ジャポニスムを越えて―

都市の電化と博覧会(橋爪紳也)

愛知万博前夜 (澤田裕二)
―博覧会の企画制作現場から―

上海万博・麗水万博日本館から見た日本の博覧会行政 (岩田 泰)


  Ⅳ 博覧会の形成と展開
近代パリ万物博の軌跡 1855~1900(市川文彦)
―その〈万有理念〉が顕すもの―

万国博覧会とオスマン帝国(ジラルデッリ青木美由紀)
―「美術」とオスマン宮廷の日本趣味受容―

オリエンタリズムとナショナリズム(徐 蘇斌)
―中国の万国博覧会参加をめぐる権力の変容―

南洋勧業会をめぐる日中関係(武藤秀太郎)
―上海万博との対比から―

戦後日本が夢見た世界(川口幸也)
―万国博美術展、原始美術、太陽の塔―

都市化をテーマとした上海万博(江原規由)
―万博をめぐる中国の過去と未来―

中国における博覧会ブームの誕生(曹 建南)


おわりに/研究会の記録/執筆者紹介

ISBN:9784784218196
出版社:思文閣出版
判型:A5
ページ数:730ページ
定価:9200円(本体)
発行年月日:2015年10月
発売日:2015年10月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN