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改訂・新版 はじめてのHACCP工場

編著:宇井加美
編著:本間忠雄
他著:野々村和英

紙版

内容紹介

2007年に出版された「はじめてのHACCP工場」は、1995年の「総合衛生管理製造過程」の法律に基づき、新しく工場を立ち上げる時に、どのような考えで進め、何を考慮しなければならないのかを、業種を超えた工場の要素をまとめることで、施主・施工者のインターフェースとして活用してもらうことを目的に発行されました。
 爾来15年、HACCPを支える一般衛生管理の重要性の認識の深まり、Codex HACCPとの整合性、ISO22000の登場からFSSCに代表されるGFSI承認の食品安全規格、農業分野からはグローバルGAPが加わり、Farm to Tableの食品安全が名実ともに整えられてきた時間であったかと思われます。そして、2022年6月に日本においてHACCPが義務化となりました。
 この間、食品会社はもちろん建築設備関係会社にも、「食品工場はHACCP対応が当たり前」、ということが定着してきました。ただ、食品の分野へは引き続き新規参入があり既存工場のリニューアルを考えられている会社も多くあります。また流通分野から食品加工へ事業拡張をされるところなどもあり、基本的な建築・設備の原則や考え方を記述した本書の内容が、依然としてご利用いただけると思われます。
 こうした状況を踏まえて「はじめてのHACCP工場」を従来の原則的な考え方を確かなものとして継承し、新たに「外乱」「省エネ」「気流方向の維持管理」「DX導入」など新規の内容も加え、次世代に引き継ぐものとしてリニューアルしました。
主な目次は以下の通りです。
◆プロローグ-求められる食品工場のHACCP手法の導入
第1章 HACCP対応工場の新設・改善のために予め考えておくこと
第2章 HACCP対応工場の生産概要によって決まる建屋新築・改装の手順
第3章 HACCP工場建設における外乱と省エネ
第4章 食品工場のGMPと動線計画
第5章 HACCP工場の気流方向の維持管理
第6章 品質管理面から見る人・物・空気の動線計画に沿った望ましい設備
第7章 品質管理面から見る具体的な製造作業室立ち上げ準備
第8章 HACCP 対応工場の設計・施工に役立つ実務
第9章 HACCP工場の製造・衛生管理とDX

目次

プロローグ―求められる食品工場の HACCP 手法の導入
1. 消費者の要求と HACCP 導入の制度化
2. HACCP 手法システム導入の必要性
3. HACCP 手法導入のメリット
4. ねらい通りの新設、改善をするために
5. HACCP の前提条件と ISO22000 の前提条件プログラム(PRP)

第 1 章 HACCP 対応工場の新設・改善のために予め考えておくこと
1.1 法令遵守の工場を目指す
1.2 会社としてしっかりとしたコンセプトを持つ
1.3 工場の新設・改善を現状の生産量と将来構想の中で位置付ける
1.4 生産工程の流れの把握
1.5 生産設備の配置の決定
1.6 製造に必要なスペースと建物規模
1.7 建屋の立地について
1.8 建 物 の 配 置
1.9 将 来 計 画
1.10 予算の立て方

第 2 章 HACCP 対応工場の生産概要によって決まる建屋新築・改装の手順
2.1 生産設備の基本概要の決定
2.2 原材料等の搬入(input)、製品や廃棄物などの搬出(output)の流れ(インフラ仕様)を決定する
2.3 ユーティリティ(用役)を把握する
2.4 建屋構造と基本構想の決定
2.5 階層と階高の確定
2.6 各階の床荷重の決定
2.7 床についての検討
2.8 床 仕 様
2.9 窓についての検討
2.10 内 壁
2.11 天 井
2.12 生産作業用設備
2.13 排 水 系 統
2.14 廃 棄 物 の 処 理

第 3 章 HACCP 工場建設における外乱と省エネ
3.1 外乱とは何か
3.2 外乱を緩和する対策
3.3 食品工場における省エネ機器の積極的導入

第 4 章 食品工場の GMP と動線計画
4.1 HACCP 対応工場とは
4.2 作業フローとゾーニング
4.3 動 線 計 画
4.4 GMP に基づくレイアウト(ゾーニング)例

第 5 章 HACCP 工場の気流方向の維持管理
5.1 作業区分の考え方
5.2 気流と室間差圧
5.3 気流方向の計画(フローダイアグラム)
5.4 過度な室間差圧による悪影響
5.5 清浄度以外の気流管理
5.6 食品工場の気流管理
まとめ

第 6 章 品質管理面からみる人・物・空気の動線計画に沿った望ましい設備
6.1 原材料搬入に必要な設備
6.2 原 材 料 置 場
6.3 原材料搬入・加工から製品出荷までのフローシートの作成
6.4 ゾーン(エリア)区分
6.5 包装材料搬入経路
6.6 人の入室設備・出勤から製造室作業者入口まで
6.7 階段・トイレ・衛生設備
6.8 原料下処理室、洗浄室の考え方
6.9 空 調 設 備
6.10 防 虫 対 策
6.11 異 物 混 入 対 策
6.12 品 質 検 査 室
6.13 エレベーター荷役設備
6.14 更 衣 室
6.15 社員食堂 / 休憩室など
6.16 セキュリティ対策(見学者対策を含む)

第 7 章 品質管理面から見る具体的な製造作業室と立ち上げ準備
7.1 入荷方法はどうするか
7.2 秤量小分けはどうするか
7.3 仕込み調理はどうするか
7.4 仕 掛 品 の 保 管
7.5 加工充填作業はどうするか
7.6 殺菌作業の準備
7.7 包装作業の準備
7.8 出荷方法をどうするのか
7.9 異常時の対応と作業標準
7.10 不適合の製品が出たときはどうするのか
7.11 清掃、洗浄、消毒作業の準備
7.12 アレルゲン含有製品製造からのライン切り替え時の洗浄
7.13 製造作業室以外の付帯作業室の準備
7.14 廃棄物対応の準備
7.15 品質管理の準備
7.16 日付表示の間違いをしないための工夫 ・ 機器の導入について
7.17 作 業 者 教 育

第 8 章 HACCP 対応工場の設計・施工に役立つ実務
8.1 建設業界の仕組み
8.2 エンジニアリング業界の仕組み
8.3 設計事務所の役割
8.4 どのような建設プロジェクトにするか
8.5 土 地 の 選 び 方
8.6 工場の設計計画を立てる
8.7 スケジュール表の作成と役割分担
8.8 建築設計者に伝えること
8.9 施工会社を選定する視点
8.10 設計・施工の法的基準
8.11 工事施工に当たって施工会社に伝える HACCP 対応など
8.12 建設スケジュールと製造スケジュール
8.13 予 算 計 画
8.14 移 転 計 画
8.15 生産機械と建築環境
8.16 エネルギー源と省エネルギー
8.17 工場のタイプを把握しよう
8.18 コンセプトの決め方
8.19 建築の構造は何がよいか
8.20 柱 と 梁 と 広 さ
8.21 規模(平面の大きさ)の決め方 8.22 高さの決め方(建築と室内高さ)
8.23 生産主目的諸室と支援諸室(気が付きにくい部屋)
8.24 生産ラインと建築平面計画
8.25 ゾーニングの落とし穴
8.26 空間の立体的活用
8.27 動 線 の 考 え 方
8.28 建築材料と使用材料
8.29 異物混入と建築
8.30 カ ビ 対 策
8.31 建築環境と空調設備
8.32 水の種類と活用
8.33 冷却塔についての注意
8.34 廃棄物の考え方
8.35 排水についての検討
8.36 温湿度の環境と設備システム
8.37 クリーンルームの考え方
8.38 使用する要素装置・機器
8.39 色 彩 計 画
8.40 照明と食品工場
8.41 防災と食品工場
8.42 非常時の電源対応
8.43 冷凍冷蔵庫の設置と管理
8.44 衛 生 器 具
8.45 機器の振動・騒音
8.46 臭 気 対 策
8.47 情 報 と 連 絡
8.48 サ イ ン 計 画
8.49 HACCP エンジニアリング
8.50 新設工場でのロボット導入の考え方

第 9 章 HACCP 工場の製造・衛生管理と DX
はじめに
9.1 DX とは?
9.2 食品製造業の現状と課題
9.3 食品製造業における DX の例
ま と め

付 録:HACCP工場計画(案)の為のチェックシート(例)
索 引

著者略歴

編著:宇井加美
宇井加美:NPO 法人 HACCP 実践研究会 副理事長/事務局長 :デザイン事務所 CRAFT54 所長 技術士(衛生工学部門) CRAFT54 HACCP コンサル、アドバイスを実施。HACCP についてはアメリカ視察など早くから関 心を持ち、HACCP 手法を生かす活動を推進。 武蔵工業大学(現 東京都市大学)を卒業後、㈱フジタに入社 エンジニアリング設計部門(30 年)、 ㈱荏原製作所㈱水 ing にて新規事業立ち上げ及び医薬・食品系エンジニアリング・プロジェクトマネー ジメント(15 年)、医薬・食品施設の計画・運営に携わり、計画段階から顧客のニーズを理解し設計 計画に映。 『はじめての HACCP 工場』(幸書房) 共著、月刊 食品工場長 (日本食糧新聞)他、執筆多数。 趣味は絵画 水彩(HACCP カレンダー制作)油彩(美術団体 : 大調和会会員)。 本書では、8 章を担当。
編著:本間忠雄
本間忠雄:NPO 法人 HACCP 実践研究会 副理事長/副会長 :東京都立工業短期大学機械設計課を卒業し、明治製菓㈱入社。元 同社 食料生産技術部部長。菓子、 食品の製造、薬品の製剤製造、培養などのハザード設備等の、工事・施設のエンジニアリングを一貫 して担当し多数の工場の建設に携わり、退社後現職に至る。趣味はビデオ編集、ゴルフ、旅行。 本書では、プロローグ、1、2、6、7 章を担当。
他著:野々村和英
野々村和英:K2D&M 株式会社 代表取締役/技術士(経営工学部門): 茨城大学工学部機械工学科卒業。新菱冷熱工業㈱入社 高速増殖炉もんじゅの換気空調設備の設計を 手掛け、その後冷凍機セットメーカーでヒートポンプ設計、キリンエンジニアリング㈱で物流施設・ 食品工場設計・施工、日系コンサルティングファームを経て、中央設備エンジニアリング㈱(現:中 設エンジ㈱)入社。 食品工場・物流施設の設計・施工に携わり、執行役員エンジニアリング本部長として統括管理・後進 の育成を行う。2021 年に退任・退職し、会社設立。食品工場のコンサルタントとして、技術・建設 マネジメントを提供。第一種冷凍空調技士、食品冷凍技士、一級惣菜管理士、HACCP 上級コーディネー ター。趣味は、民俗行事撮影と美術鑑賞。 本書では第 3 章を担当

ISBN:9784782104781
出版社:幸書房
判型:B5
ページ数:196ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年04月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TDCT