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改訂 脂質・酸化脂質分析法入門

他著:山下 慎司
他著:宮澤 大樹
他著:木下 幹朗

紙版

内容紹介

「改訂版 発刊にあたって」より
食品学や栄養学,さらには生命科学などで,脂質はタンパク質や糖質と並び重要な
研究対象のひとつである.水溶性のタンパク質や糖質と異なり,脂溶性であるために
分析に有機溶媒を使用することの多い脂質に関しては,より基本から説明された実験
書が新たに研究を始める人々にはとくに必要であり,最近は学会などの研究発表で
も,市販分析キットを使用したものが多いが,時としてその分析キットの基本的な反
応が理解されていない場合に遭遇する.キットには分析の基本反応が知財の関係で明
らかにされていないものもある.そこで,初心者にも解り易くかみ砕いた説明のある
脂質実験書の必要性を痛感するが,本書は企業研究者や大学などで脂質の第一歩から
実験や研究を始めようとする人たちを念頭に記述され,分析手法とともに,食品素
材,動植物組織・細胞,微生物試料などから脂質を取り出し,その中の脂質クラスと
脂質分子種を知り,それらの化学的な組成,構造,分布,変化などを明らかにする手
段を,順を追ってかつ平明に述べてある.
本書は,2000 年に初刷された「脂質・酸化脂質分析法入門」(藤野泰彦,宮澤陽夫
編著)の改訂版であり,東北大学で宮澤と共に脂質研究に携わってきた同門の山下慎
司先生,宮澤大樹先生,木下幹朗先生に今回の改訂の多大な協力をいただいた.本書
の改訂にあたっては,全国の多くの大学で学生に脂質・油脂実験を担当されている先
生たちから改訂出版のご要望を頂いていたことも考慮した.また,この改訂を強く勧
めてくれた幸書房の夏野雅博氏に深く感謝するものであり,夏野氏のご努力がなけれ
ば本書は日の目をみなかった.ここに記して心からの感謝の意を表する.
2023 年3 月
宮澤 陽夫

目次

I. 脂質というもの
I―1 概  念
(i)定  義
(ii)名  称
a )脂  質
b )油  脂
c )粗脂肪
I―2 種  類
(i)誘導脂質
a )長鎖炭化水素
b )長鎖アルコール
c )長鎖アミノアルコール
d )長鎖アルデヒド
e )長鎖ケトン
f )長鎖酸(脂肪酸)
g )テルペノイド(イソプレノイド)
h )ステロイド
i )カロテノイド
(ii)単純脂質
a )ワックス
b )グリセリド
c )エーテルグリセリド
d )セラミド
(iii)複合脂質
a )リン脂質
b )糖脂質
c )リン糖脂質
d )硫脂質
e )アミノ酸脂質
(iv)過酸化脂質

II. 抽  出
II―1 抽出原理
(i)脂質の結合性
a )疎水結合
b )親水結合
c )共有結合
(ii)脂質の反応性
a )不飽和結合
b )極性基
(iii)非脂質の混入性
a )低分子成分
b )脂質酵素
II―2 抽出操作
(i)基本的方法
a )前処理
b )溶媒抽出
c )精  製
(ii)類別的方法
a )動物材料
b )植物材料
c )微生物材料

III. 一般試験
III―1 物理的測定
(i )乾燥重量(収量)
(ii) 色
a )ロビボンド法
b )ガードナー法
(iii)融  点
(iv)溶解性
III―2 化学的測定
(i)酸  価
a )マクロ法
b )ミクロ法
(ii)ヨウ素価
a )ウイイス法
b )安田法
(iii)ケン化価
(iv)不ケン化物価
a )マクロ法
b )ミクロ法
(v)過酸化度
a )過酸化物価
b )カルボニル価
c )アニシジン価
d )チオバルビツール酸値
e )共役ジエン含量
f )酸化性

IV. 分  画
IV―1 溶媒法
(i)溶媒分画
a )アセトン分画
b )エーテル分画
c )エタノール分画
d )ピリジン分画
e )系統的分画
(ii)溶媒分配
a )石油エーテル―エタノール分配
b )四塩化炭素―メタノール分配
c )ヘキサン―ブタノール分配
IV―2 カラムクロマトグラフィー(カラム法)
( i )あらまし
a )吸着カラムクロマトグラフィー
b )イオン交換カラムクロマトグラフィー
c )分配カラムクロマトグラフィー
(ii)ケイ酸カラムクロマトグラフィー
a )全脂質のケイ酸カラムによる分画
b )単純脂質のケイ酸カラムによる分画
c )リン脂質のケイ酸カラムによる分画
d )糖脂質のケイ酸カラムによる分画
(iii)フロリシルカラムクロマトグラフィー
a )単純脂質のフロリシルカラムによる分画
b )ステロール脂質のフロリシルカラムによる分画
(iv)DEAE―セルロースカラムクロマトグラフィー
a )全脂質のDEAE―セルロースカラムによる分画
b )複合脂質のDEAE―セルロースカラムによる分画
c )リン脂質のDEAE―セルロースカラムによる分画
d )糖脂質のDEAE―セルロースカラムによる分画
(v)DEAE―トヨパールおよびケイ酸カラムクロマトグラフィーによる分画
(vi)セファデックスカラムクロマトグラフィー
a )全脂質のセファデックスカラムによる精製
b )全脂質のセファデックスカラムによる分画
(vii)アルミナカラムクロマトグラフィー
V. 検  出
V―1 薄層クロマトグラフィー
( i )薄層プレート
a )調  製
b )吸着剤
(ii)展開操作
a )着  点
b )展  開
c )展開槽
(iii)溶媒系
a )単純脂質
b )複合脂質
(iv)検出試薬
a )脂質一般
b )リン脂質
c )コリン脂質
d )アミノ脂質
e )アミド脂質
f )糖脂質
g )シアル酸脂質
h )ステロール脂質
i )カルボニル脂質
j )エステル脂質
k )グリコール脂質
l )過酸化脂質
(v)定  量
a )デンシトメトリー
b )水素炎イオン化法
c )かきとり分析法
(vi)分  取
a )抽  出
b )精  製
(vii)脂質の薄層クロマトグラム
a )単純脂質
b )複合脂質
c )脂質の分子種
d )過酸化脂質

VI. 化学分析
VI―1 元  素
(i)リ  ン
a )全リン
b )リン酸―リン
c )ホスホノ―リン
(ii)硫  黄
a )全硫黄
b )エステル―硫黄
VI―2 結  合
(i)エステル結合
(ii)エーテル結合
a )アルケニル
b )アルキル
(iii)グリコール結合
a )全グリコール
b )末端グリコール
VI―3 脂溶成分
(i)脂肪酸
a )遊離脂肪酸
b )全脂肪酸
(ii)ステロール
a )遊離ステロール
b )全ステロール
(iii)長鎖塩基(スフィンゴシン)
VI―4 水溶成分
(i)グリセロール
(ii)糖
a )ヘキソース
b )ヘキソサミン
c )シアル酸
d )ヘキスロン酸
e )イノシトール
(iii)アミン
a )コリン
b )エタノールアミン

VII. 化学反応
VII―1 分  解
(i)酸分解
a )弱酸分解
b )アセトリシス
c )メタノリシス
d )強酸水解
(ii)アルカリ分解
a )弱アルカリ分解
b )やや強いアルカリ分解
(iii)酵素分解
a )リパーゼ
b )ホスホリパーゼ
c )グリコリパーゼ
VII―2 酸化還元
(i)酸  化
a )酸化銀酸化
b )クロム酸酸化
c )過ヨウ素酸酸化
d )四酢酸鉛酸化
e )過マンガン酸酸化
f )オスミウム酸酸化
g )フッ化水素酸化
(ii)還  元
a )水素化反応
b )水素化分解
c )ヒドラジン還元
d )水素化アルミニウムリチウム還元
e )水酸化ホウ素ナトリウム還元
f )スミス分解
(iii)過酸化
a )自動酸化
b )光酸化
c )リポキシゲナーゼ
VII―3 誘  導
( i )メチル化
a )部分メチル化
b )完全メチル化
(ii)アセチル化
a )O―アセチル化
b )N―アセチル化
(iii)トリメチルシリル化
a )O―トリメチルシリル化
b )N―トリメチルシリル化
(iv)ジニトロフェニル化
a )脂溶成分
b )水溶成分
(v)トリフルオロアセチル化
(vi)ベンゾイル化

VIII. 機器分析
VIII―1 紫外分光分析
(i)あらまし
a )原  理
b )装  置
(ii)測定法
a )試  料
b )操  作
c )判  定
(iii)脂質のUV スペクトル
a )共役脂肪酸
b )ステロール
VIII―2 赤外分光分析
(i)あらまし
a )原  理
b )装  置
(ii)測定法
a )試  料
b )操  作
c )判  定
(iii)脂質のIR スペクトル
a )脂肪酸
b )エステル脂質
c )ステロール脂質
d )リン脂質
e )糖脂質
f )硫脂質
VIII―3 核磁気共鳴分光分析
(i)あらまし
a )原  理
b )装  置
(ii)測定法
a )試  料
b )操  作
c )判  定
(iii)脂質の核磁気共鳴スペクトル
a )脂肪酸
b )トリグリセリド
c )リン脂質
d )糖脂質
e )過酸化脂質
VIII―4 高速液体クロマトグラフィー
(i)あらまし
a )原  理
b )装  置
(ii)測定法
a )試  料
b )操  作
c )判  定
(iii)脂質の高速液体クロマトグラム
a )全脂質
b )脂肪酸
c )トリグリセリド
d )複合脂質
e )過酸化脂質
VIII―5 ガスクロマトグラフィー
(i)あらまし
a )原  理
b )装  置
(ii)測定法
a )試  料
b )固定相(充填剤)
c )操  作
d )判  定
(iii)脂質のガスクロマトグラム
a )脂肪酸
b )長鎖アルデヒド
c )長鎖アルコール
d )ステロール
e )グリセリド
f )長鎖塩基
g )糖
h )過酸化脂質
VIII―6 ガスクロマトグラフィー―マススペクトロメトリー
(i)あらまし
a )原  理
b )装  置
(ii)測定法
a )試  料
b )操  作
c )判  定
(iii)脂質の質量スペクトル
a )長鎖炭化水素
b )長鎖アルコール
c )長鎖アルデヒド
d )脂肪酸
e )長鎖塩基
f )ステロール
g )トリグリセリド
h )グリセロ複合脂質
i )スフィンゴ脂質
j )水溶成分
k )過酸化脂質

IX. まとめ
IX―1 全脂質
(i)抽  出
(ii)予備試験
(iii)分  画
a )カラム法
b )溶媒法
c )アルカリ処理
IX―2 単純脂質
(i)脂肪酸
a )直鎖脂肪酸
b )不飽和脂肪酸
c )ヒドロキシ脂肪酸
d )分枝脂肪酸
(ii)ステロール
(iii)グリセリド
a )トリグリセリド
b )部分グリセリド
c )エーテル型グリセリド
IX―3 リン脂質
(i)グリセロリン脂質
a )エステル型
b )エーテル型
c )ホスホノ型
(ii)スフィンゴリン脂質
a )ホスホロ型
b )ホスホノ型
IX―4 糖脂質
(i)グリセロ糖脂質
a )モノグリコシルグリセリド
b )ポリグリコシルグリセリド
(ii)スフィンゴ糖脂質
a )モノグリコシルセラミド(セレブロシド)
b )ポリグリコシルセラミド
(iii)ステロール配糖体
a )グリコシルステロール
b )アシルグリコシルステロール
IX―5 過酸化脂質

文  献
索  引

著者略歴

他著:山下 慎司
山下 慎司
2007 年 東北大学大学院農学研究科博士後期課程修了
2008 年 福島県 研究職員
2014 年 帯広畜産大学畜産学部 助教
2022 年 同上 准教授 現在に至る
他著:宮澤 大樹
宮澤 大樹
2012 年 東北大学大学院農学研究科 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2014 年 東北大学大学院農学研究科博士後期課程 修了
2014 年  米国タフツ大学ヒトの老化・栄養研究所 日本学術振興会海外特別研究員
2016 年 東京医科歯科大学生体材料工学研究所 特任助教
2017 年 東京医科歯科大学生体材料工学研究所 日本学術振興会特別研究員(PD)
2020 年  東北大学未来科学技術共同研究センター 准教授(東北大学大学院農学研究科 兼務)現在に至る
他著:木下 幹朗
木下 幹朗
1995 年 東北大学大学院農学研究科博士後期課程修了
1995 年 科学技術振興事業団科学技術特別研究員(国立循環器病センター研究所)
1998 年 自然科学研究機構基礎生物学研究所 非常勤研究員
1999 年 帯広畜産大学畜産学部 助教
2015 年 帯広畜産大学畜産学部 教授 現在に至る

ISBN:9784782104736
出版社:幸書房
判型:菊判
ページ数:238ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2023年04月
発売日:2023年04月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSB