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チーズを科学する

著:チーズプロフェッショナル協会

紙版

内容紹介

本書は読者として,チーズ工房や乳業メーカーにてチーズの製造や研究開発に携わっている方々,チーズショップや企業においてチーズの販売やマーケティングを担当されている方々,レストランや料理学校でチーズを使った料理を提供・開発している方々,大学やチーズ教室で教鞭をとっている,あるいは勉強している方々,そして何よりチーズが好きでチーズの魅力にとりつかれてしまった方々など,チーズに関わる全ての人を対象としている.
読者層の幅が広いことを考慮して,第1 章では乳やチーズの基礎となるたんぱく質,および脂肪の簡単な説明をした.分かっている方々は読み飛ばしていただいて構わない.専門用語や分かりにくい内容については,本文中にて,あるいは脚注やコラムを利用して説明するよう心がけた.第2 章にて乳成分,特にカゼインミセルの安定性と不安定性の関係を理解するための考え方を説明した.この両者の力関係こそがカード生成の原点になっている.また,哺乳類における乳の役割や機能を理解するために,乳の進化についても説明した.第3 章はチーズ製造に不可欠な乳酸菌やカビの基礎を解説し,製造現場にてしばしば問題となるファージ汚染への対処について説明した.微生物をいかに利用し,制御するかを理解していただきたい.第4 章は凝固についてである.凝固はカゼインミセルを不安定化させた結果であり,チーズ製造の基本である.凝固のメカニズムについて説明するとともに,カゼインミセルを不安定化させる凝乳酵素について解説を加えた.第5 章はナチュラルチーズおよびプロセスチーズの製造方法を解説した.「チーズの教本」にも製造法は説明してあるが,製造現場で生じる現象についても説明した.基本的な製造原理を理解してもらえるはずである.第6 章はチーズの組織や風味形成を決定づける熟成中のたんぱく質や脂肪の変化について説明した.チーズの不思議さと魅力は熟成によって決まる.熟成中に静かに進行する,複雑で神秘的な化学反応に驚愕するであろう.第7 章はチーズの凝固や熟成過程を電子顕微鏡で観察するとどう観えるのか.筆者の豊富な経験に基づいた独自のチーズ観が躍動している.第8 章はチーズの栄養と健康機能について解説した.巷間には乳・乳製品が人々に及ぼす役割について消費者に誤解を与える書籍が販売されている.しかし,私たちは消費者に正しい情報を伝えなければならない.そこで,本章では最新の科学的根拠に基づいた情報を紹介した.第9 章は容器包装についてである.最終商品のおいしさ,栄養健康,安全安心を維持するために容器包装は極めて重要で,かつ多面的に取り組む必要があることを説明した.
本書を読んだ読者の方々が,チーズの魅力をより深く理解し,それを日々の業務やお客様とのコミュニケーションに活用することで,チーズの普及に役立つことを願ってやまない.

目次

第 1 章 チーズの科学の基礎
1.1 は じ め に
1.2 たんぱく質の基礎
1.3 脂 肪 の 基 礎
第 2 章 チーズの成分
2.1 各種動物乳の成分
2.2 カゼインの性質
2.3 カゼインミセル
2.4 乳たんぱく質に及ぼす加熱の影響
2.5 乳・乳成分の進化
第 3 章 チーズと微生物
3.1 乳酸菌と乳酸発酵
3.2 チーズ製造に使用される微生物
3.3 乳酸菌以外のスターターの特徴
3.4 エメンタールチーズのチーズアイ
3.5 乳酸菌ファージとファージ対策
3.6 汚染菌
第 4 章 乳の凝固
4.1 乳の凝固の基礎
4.2 チーズ製造に使われる凝乳酵素
4.3 レンネットの使用状況
第 5 章 チーズの製造法
5.1 ナチュラルチーズの製造法
5.2 プロセスチーズの製造法
第 6 章 チーズの熟成
6.1 チーズの熟成成分
6.2 チーズのたんぱく質分解
6.3 チーズの脂肪分解
6.4 チーズの揮発性風味と苦味
第 7 章 電子顕微鏡で観るチーズ
7.1 乳たんぱく質の構造
7.2 カ ー ド 形 成
7.3 カ マ ン ベ ー ル
7.4 繊維状チーズの構造
7.5 プロセスチーズの構造
7.6 電子顕微鏡の観察手法の解説
第 8 章 チーズの機能性
8.1 チ ー ズ の 栄 養
8.2 チーズの健康効果
第 9 章 チーズと包装技術の関わり
9.1 食品包装の役割
9.2 チ ー ズ と 包 装
9.3 保存技術と包装
9.4 売り場・家庭と安全・衛生と包装
■ 索 引

ISBN:9784782104095
出版社:幸書房
判型:B5
ページ数:220ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2016年11月
発売日:2016年11月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TVHF