◆第一句集
青梅雨や白の小皿に金の継
完璧な美が欠けることで生じる金継ぎのような複雑な美もある。この句集には、実
生活と美意識の両面において、金繕いのような味わいを湛えた句も多い。
(序・松尾隆信)
◆自選十句
踊子の帯の濡るるや西馬音内
足音と思ひしが風さねかづら
朝市の海鼠突つきて何も買はず
ちろちろと水あるところ恋蛙
タラップを降りるたちまち雪女郎
青梅雨や白の小皿に金の継
さはさはとキャベツの渦を刻みけり
魚みじろがぬまま水澄みに澄む
霰来る跳人の童のやうに来る
大都会の灯は狐火かも知れぬ