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バイオテクノロジー

疾患バイオマーカーとしてのマイクロRNAと診断応用

監:落谷孝広
監:松﨑潤太郎

紙版

内容紹介

マイクロRNA(miRNA)はさまざまな疾患の発症・増悪に関与することが判明し,診断バイオマーカーとして応用する動きが加速している。本書ではmiRNAと各種疾患との関連性,およびmiRNA検出技術について最新知見を解説する。

目次

【第Ⅰ編 miRNAと疾病】

<消化器系>

第1章 歯周病とmiRNA

第2章 口腔がん
1 背景
2 危険因子とmiRNA
3 発がんとmiRNA
4 がん促進型miRNA(Onco-miR)
5 がん抑制型miRNA(Suppressor-miR)
6 腫瘍組織中でのmiRNA
7 唾液中でのmiRNA
8 血漿中でのmiRNA
9 血清中でのmiRNA
10 全血中でのmiRNA
11 局所再発とmiRNA
12 予後とmiRNA
13 治療抵抗性とmiRNA
14 バイオマーカーとしてのmiRNA
15 おわりに

第3章 頭頸部扁平上皮癌・マイクロRNA発現プロファイルに基づく,癌抑制型マイクロRNAの探索
1 頭頸部癌について
2 頭頸部扁平上皮癌・マイクロRNA発現プロファイル
3 頭頸部扁平上皮癌・部位型マイクロRNA発現プロファイル
4 頭頸部扁平上皮癌における癌抑制型マイクロRNAの探索
5 新規癌抑制型マイクロRNA(パッセンジャー鎖の同定)
6 おわりに

第4章 食道がん
1 食道がんにおけるmiRNAの異常発現
2 組織
 2.1 食道扁平上皮癌
 2.2 食道腺癌
3 血液
 3.1 食道扁平上皮癌
 3.2 食道腺癌
4 尿・唾液

第5章 大腸がん
1 早期発見のためのバイオマーカー
2 リンパ節転移予測のためのバイオマーカー
3 遠隔転移・長期予後・再発のためのバイオマーカー
4 マイクロRNAを臨床応用する際に考慮すべき事項

第6章 慢性肝疾患におけるmiRNA発現の意義
1 肝臓におけるmiRNAの役割
2 肝疾患に関係する代表的なmiRNAの疾患における役割
 2.1 miR-122
 2.2 miR-194/192
 2.3 miR-223
 2.4 miR-29
 2.5 miR-21
3 循環血中のmiRNAにおける肝疾患診断
4 miRNA/exosomeを用いた核酸創薬の可能性

第7章 膵臓がん・胆道がん
1 膵臓がん・胆道がんの概要
2 膵臓がん・胆道がんの腫瘍マーカー
3 血中マイクロRNAを用いたがん検出検査
4 血中マイクロRNAを用いた膵臓がん・胆道がん診断の現状
5 血清マイクロRNA検査による膵臓がん・胆道がん診断開発への取り組み

<循環器系・生活習慣病>

第8章 不整脈
1 はじめに
2 不整脈基質
3 心房細動
4 心室性不整脈
5 マイクロRNAを不整脈のバイオマーカーとして用いる際の留意点
6 不整脈のリスク評価におけるマイクロRNAの位置づけ
7 結語

第9章 メタボリックシンドローム
1 はじめに
2 肥満とmiRNA
3 脂質異常症とmiRNA
4 高血圧とmiRNA
5 IRとmiRNA
6 おわりに

<呼吸器系>

第10章 肺がん
1 はじめに
2 肺癌におけるmiRNA発現異常
 2.1 TS miRNA
 2.2 Onco-miRNA
 2.3 肺癌の予後に関わるmiRNA
 2.4 肺癌患者の血清およびエクソソームmiRNA
 2.5 肺癌の薬剤耐性および治療標的miRNA
3 miRNAを用いた肺癌治療
4 今後の展望

第11章 気管支喘息
1 はじめに
2 各種疾患とmiRNA
3 喘息バイオマーカーとしてのmiRNAの可能性
4 気道炎症の指標としての喀痰中miRNAの可能性
5 喘息病態形成因子としてのmiRNAsの役割およびそのバイオマーカーとしての可能性
6 miRNAの喘息治療への応用
7 おわりに

<生殖器・泌尿器系>

第12章 腎疾患とmicroRNA
1 はじめに
2 腎線維化を修飾するmicroRNA
3 糖尿病性腎症を修飾するmicroRNA
4 急性腎障害を修飾するmicroRNA
5 おわりに

第13章 microRNAと膀胱がん
1 概要
2 はじめに
3 膀胱がんにおけるリキッドバイオプシー
4 膀胱がんにおけるmiRNAの発現異常
5 膀胱がんの診断と予後におけるエクソソームのmiRNA
6 おわりに

第14章 前立腺がんに対するmiRNA診断薬の開発の現状
1 はじめに
2 miRNAによる悪性化形質制御
3 核酸医薬の開発
4 分泌型miRNAによる機能
5 バイオマーカーとしての分泌型miRNA
6 おわりに

第15章 卵巣がん臨床におけるマイクロRNAバイオマーカー実現への期待
1 卵巣がん検診?
2 がん診療バイオマーカー
 2.1 卵巣がん早期診断を目指した臨床試験
 2.2 遺伝子検査としての体外診断用医薬品の保険承認
3 バイオマーカーとしてのマイクロRNA
 3.1 早期診断として
 3.2 予後予測として
 3.3 治療薬奏効率予測として
4 課題と今後の展望

第16章 子宮内膜症の病態形成におけるマイクロRNAの役割
1 はじめに
2 子宮内膜症におけるマイクロRNAの発現異常
3 子宮内膜症において発現が減少しているマイクロRNAとその意義
4 子宮内膜症において発現が増加しているマイクロRNAとその意義
5 マイクロRNAを標的とする薬剤
6 バイオマーカーとしてのマイクロRNA
7 おわりに

<内分泌器系>

第17章 乳がん
1 乳がんにおけるマイクロRNA
2 マイクロRNAの乳がん診断への応用
3 マイクロRNAの乳がん治療への応用
4 展望

第18章 甲状腺疾患におけるマイクロRNAと臨床応用
1 序論
2 MicroRNAと生体試料
3 甲状腺がんとmicroRNA
 3.1 腫瘍組織におけるmicroRNA解析
 3.2 FNABにおけるmicroRNA解析
 3.3 血液におけるmicroRNA解析
4 自己免疫性甲状腺疾患とmicroRNA
5 まとめ

第19章 副腎疾患とマイクロRNA
1 はじめに
2 副腎ホルモン産生腫瘤とマイクロRNA
 2.1 アルドステロン産生腫瘍
 2.2 コルチゾール
 2.3 アドレナリン
3 副腎悪性疾患とマイクロRNA
 3.1 副腎皮質癌
 3.2 悪性褐色細胞腫
4 バイオマーカーとしての血中マイクロRNA
5 おわりに

<免疫・アレルギー系>

第20章 皮膚疾患
1 乾癬
2 アトピー性皮膚炎
3 薬疹/中毒疹
4 全身強皮症
5 多発筋炎/皮膚筋炎
6 悪性黒色腫
7 有棘細胞癌

第21章 マイクロRNAと炎症性腸疾患
1 はじめに
2 自然免疫制御におけるmiRNAの役割
3 獲得免疫制御におけるmiRNAの役割
4 IBDにおけるmiRNA
5 miRNAの治療応用
6 最後に

<神経・運動器系>

第22章 miRNAと認知症
1 はじめに
2 認知症
3 血液バイオマーカーの探索とレトロスペクティブな発症予測モデルの開発
4 効果的なmiRNAと遺伝子機能アノテーション
5 AD発症・移行を予測するプロスペクティブな予測診断システムの開発
6 データベース構築
7 おわりに

第23章 miRNAと骨代謝
1 はじめに
2 In vivoにおけるmiRNAの骨代謝制御
3 骨粗鬆症
4 転移性骨腫瘍
5 骨折/再生
6 おわりに

第24章 miRNAと筋分化,筋再生,筋萎縮
1 はじめに
2 筋肉に関係する筋肉特異的miRNAと筋肉非特異的miRNA
3 細胞外miRNA
4 老齢の血中で減少する筋分化誘導能をもった細胞外miRNA
5 miR-199-3pの筋分化誘導
6 筋再生におけるmiR-199-3pの効果
7 老齢筋萎縮に対するmiR-199-3pの効果
8 miR-199-3pの筋疾患に対する治療効果
9 おわりに

第25章 老化とmicroRNA
1 細胞老化とは
2 細胞老化に関わる分子とマーカー
3 細胞老化を制御するmiRNA
4 老化制御機構を標的とした治療戦略について

<その他>

第26章 miRNA機能解析技術の進歩
1 miRNAの発現プロファイリング
2 バイオインフォマティクスアルゴリズムによるmiRNAターゲットの予測
3 細胞ベースのレポーターライブラリーアッセイを用いたmiRNAのターゲットスクリーニング
4 CLIPによるmiRNAとターゲットの相互作用

第27章 エクソソームと臓器連関
1 はじめに
2 Exo-miRNA放出器官としての脂肪組織
3 肥満におけるExo-miRNAを介した臓器連関
4 Exo-miRNAによる膵β細胞増殖
5 おわりに

第28章 RNA修飾と疾患
1 はじめに
2 N6-Methyl Adenosine(m6A)修飾酵素と疾患
 2.1 Methyltransferase-Like Protein 3(METTL3)
 2.2 Fat Mass And Obesity-Associated Protein(FTO)
 2.3 Alpha-Ketoglutarate-Dependent Dioxygenase AlkB Homolog 5(ALKBH5)
3 N7-Methyl Guanosine(m7G)修飾酵素と疾患
4 N1-Methyl Guanosine(m1G)修飾酵素と疾患
 4.1 tRNA Methyltransferase 10A(TRMT10A)
 4.2 tRNA Methyltransferase 10C(TRMT10C)
5 5-Methyl Cytosine(5mC)修飾酵素と疾患
 5.1 DNA(cytosine-5-)-Methyltransferase 2(DNMT2)
 5.2 NOP2/Sun RNA Methyltransferase 2(NSUN2)
6 N4-Acethyl Cytosine(ac4C)修飾酵素と疾患
7 Pseudo Uridine(ψ)修飾酵素と疾患
8 おわりに


【第Ⅱ編 miRNA検出・診断技術】

第1章 次世代シーケンサーによる細胞外miRNA測定
1 はじめに
2 細胞外解析サンプル
3 細胞外miRNA抽出及びクオリティーチェック
4 細胞外シーケンスライブラリー調整
5 細胞外miRNA-Seqのシーケンスデータ
6 おわりに

第2章 DNAチップによる血漿・血清中miRNA測定
1 はじめに
2 血中miRNAの測定技術の課題
3 血中miRNAの抽出精製技術
4 血中miRNAの測定技術
5 おわりに

第3章 ナノワイヤデバイスによる尿中miRNA測定
1 はじめに
2 リキッドバイオプシーの低侵襲性・簡便性
3 リキッドバイオプシーの網羅性
4 細胞外小胞
5 ナノワイヤの開発
6 ナノワイヤデバイスにより抽出した尿中miRNAの解析
7 ナノワイヤとAIによる尿中miRNA解析と脳腫瘍の早期検知
8 おわりに

第4章 ナノポアテクノロジーによるmiRNAおよびエクソソームの検出
1 はじめに
2 ナノポア技術を用いたmiRNAの直接検出
3 MinIONによるmiRNA検出
4 ナノポア技術によるエクソソームの検出
5 おわりに

第5章 ビーズ濃縮によるmiRNA定量技術
1 はじめに
2 バイオマーカーとしてのマイクロRNA
 2.1 マイクロRNAの分子生物学
 2.2 物理化学的性質をもとにした他バイオマーカーとの比較
3 測定技術基盤
4 まとめ

第6章 AIを用いたマイクロRNAと診断応用への実際と課題
1 はじめに
2 ゲノム分析からプロテオミックスなどを網羅的に分析するAIを用いたがん診断
3 深層学習の基本特徴
4 AIをがん診断に利用する際の問題点
5 実用化へ向けた転移学習の利用
6 深層学習による学習のプロトコールと実際

ISBN:9784781316673
出版社:シーエムシー出版
判型:B5
ページ数:276ページ
定価:66000円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PSB