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この本は大学初年度の微分積分学を初めて学ぶ方を対象とした入門的な教科書である．また，現代社会は数理資本主義のもとにあるともいわれ，社会に出てからも，数学，特に微分積分学が必要な場面に対した場合，適用できる参考書にもなることを期待している．

大学の入試方式・入試形式の多様化が進み，学生の高校時代の数学系科目の履修に関しても多様化している現状がある．それゆえ，微分積分学を学ぶために，高校数学の内，必要となると思われる内容を第１章と第２章にまとめた．これは，講義で使用されてもいいが，読者が必要に応じて振り返って自習したり，リファレンスとして使用したりすることができる．また，第２章５節「数学解析の基礎」で，高校数学で学んでいる実数，極限や連続性について，大学の数学として少し厳密にしている．定理の証明なども厳密と簡明を旨としたが，初学者には労多くして功少なしの面があり，章末に後置し，補足として付置した．定理の証明は厳密になされているから，じっくり読んで理解することも大事であるが，まず，何よりも定理，定義，公式，例，例題の内容をよく理解するように努められたい．この本では，微分積分学の内在する流れを重視しているので，まず，その考え方の流れを捕まえてもらいたい．

そのような意味で，高校数学の1 変数の微分積分学を見直しつつ，多変数の微分積分学へ続く内容ということで「高校数学のつづき」という副題をつけた．多変数の記述では一般のn 次元の場合もあるが，実際，2 次元，3 次元の場合を自分の手で計算する経験をしておくことが重要かつ必須であり，ぜひ実行されることを期待する．

「まえがき」より抜粋

第1章　いろいろな関数
　1.1　数と数直線
　1.2　関数と関数のグラフ
　1.3　合成関数
　1.4　逆関数
　1.5　指数関数・対数関数
　1.6　逆三角関数
　1.7　公式集（指数関数，対数関数，三角関数，双曲線関数）
第2章　数列の極限と関数の極限
　2.1　数列の極限
　2.2　関数の極限と連続関数
　2.3　連続関数の性質
　2.4　重要な極限
　2.5　数学解析の基礎
第3章　微分とその応用
　3.1　微分係数と導関数
　3.2　導関数の計算
　3.3　平均値の定理と応用
　3.4　テイラーの定理と応用
　3.5　平面曲線と平面運動
第4章　積分とその応用
　4.1　積分の定義と微積分の基本公式
　4.2　さまざまな積分の計算
　4.3　広義積分
　4.4　積分の応用
　4.5　数値積分
第5章　偏微分とその応用
　5.1　平面と空間の領域
　5.2　多変数関数とグラフ
　5.3　多変数関数の極限と連続性
　5.4　偏微分係数と微分可能性
　5.5　鎖法則・合成関数の微分
　5.6　陰関数定理と逆関数定理
　5.7　テイラーの定理とその応用：極値問題
　5.8　完全微分式の計算
　5.9　n変数関数の極値問題
　5.10　多変数関数の極限の定義と諸定理の証明
第6章　重積分とその応用
　6.1　重積分と立体の体積
　6.2　重積分の計算と累次積分
　6.3　重積分の変数変換
　6.4　広義重積分
　6.5　線積分・面積分とガウス・グリーンの定理
　6.6　重積分の変数変換公式の証明
第7章　無限級数
　7.1　級数
　7.2　関数列と関数項級数
　7.3　べき級数

他著：浅倉　史興
元大阪電気通信大学工学部

他著：浦部　治一郎
元同志社大学文化情報学部

他著：川崎　廣吉
元同志社大学文化情報学部