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第5版 基礎物理学Web動画付

著:原 康夫

紙版

内容紹介

 物理学の有効性と豊かさを実感できるよう努めた『第5版 基礎物理学』に演示実験動画をリンクして,さらに学びやすくした. 
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 物理学は自然科学の中でもっとも基礎的な学問のひとつであり,広い範囲の関連分野に物理学の成果や手法が応用されている.したがって,大学で理科系の専攻分野を学ぶ際には,物理学の基礎を十分に理解しておく必要がある.
 また,日常生活などで経験する現象には,物理学の基礎知識を身につけていれば定性的に簡単に理解できるものが多くある.読者のみなさんが物理学の基礎知識を身につけ,このような理解ができるようになるのを念願しつつ,平易な記述を心掛けて執筆したのが本書である.内容は大学の理科系学部での基礎教育としての物理学である.
 本書の執筆に際しては,高校で物理学を学習しなかったり,十分に学習しなかった読者も十分に理解できるように,初等的な事項から出発し,論理面でも数式面でもできるかぎりわかりやすく表現するよう努めた.また,説明は具体的な現象と結びつけて行い,物理学の有効性と豊かさを実感できるよう努めた.
 物理学は観測事実に拠りどころを求めながら自然法則を追求する学問である.そこで動画制作者が『第5版 基礎物理学』のために作製した「ポイントとなる法則や現象を示す実験」の動画とリンクした『第5版 基礎物理学Web動画付』をお届けすることになった.
 本文中の▶マークが付けられた約80 の事項について,その内容に関連した実験動画が,そばのQRコードから閲覧できるようになっている.これらの動画の中には,本文の記述を定性的に実際の現象で示すものや,法則やそこから計算で導かれる結果を,定量的な計測によって示しているものなどがある.センサを使用したPC 計測による実験も含まれている.物理現象を概念的に理解するには,様々に思いをめぐらす必要があり,その節目に確証を与えてくれるのが実験である.またそこから新たな疑問がわくこともある.これらの実験動画が物理学の学習をより興味深いものにすることの一助になればと期待している.

目次

第0章 はじめに
0.1 物理学とは――物理学の学び方
0.2 物理量の表し方
0.3 次元

第1章 力学の基本
1.1 力
1.2 運動の表し方
1.3 運動の法則
1.4 等速円運動5
   演習問題1

第2章 力と運動
2.1 放物運動
2.2 雨滴の落下
2.3 振動
2.4 仕事とエネルギー
2.5 運動量
2.6 慣性力(見かけの力)
   演習問題2

第3章 回転運動と剛体
3.1 質点の回転運動
3.2 万有引力の法則と惑星,衛星の運動
3.3 剛体のつり合い
3.4 重心
3.5 剛体の回転運動
3.6 ベクトル積で表した回転運動の法則
   演習問題3

第4章 波動
4.1 波の性質
4.2 音波
4.3 光波
   演習問題4

第5章 熱
5.1 熱と温度
5.2 熱の移動
5.3 気体の分子運動論
5.4 熱力学の第1法則
5.5 熱力学の第2法則
5.6 熱機関の効率とカルノーの原理
   演習問題5

第6章 電荷と電場
6.1 電荷と電荷保存則
6.2 クーロンの法則
6.3 電場
6.4 電場のガウスの法則
6.5 電位
6.6 キャパシター
6.7 誘電体と電場
   演習問題6

第7章 電流と磁場
7.1 電流と起電力
7.2 オームの法則
7.3 ジュール熱
7.4 電気抵抗の接続
7.5 直流回路
7.6 CR回路
7.7 磁石と磁場
7.8 電流のつくる磁場
7.9 電流に作用する磁気力
7.10 電流の間に作用する力
7.11 荷電粒子に作用する磁気力
7.12 磁性体がある場合の磁場
7.13 反磁性体,常磁性体,強磁性体
   演習問題7

第8章 振動する電磁場
8.1 電磁誘導
8.2 磁場の中で回転するコイルに生じる起電力
8.3 相互誘導と自己誘導
8.4 交流
8.5 マクスウェル方程式
8.6 光と電磁波
8.7 電場と磁場
   演習問題8

第9章 相対性理論
9.1 マイケルソン-モーリーの実験
9.2 アインシュタインの相対性理論
9.3 動いている時計の遅れと動いている棒の収縮
9.4 相対性理論と力学
9.5 電磁場とローレンツ変換
   演習問題9

第10章 原子物理学
10.1 原子の構造
10.2 光の粒子性
10.3 電子の波動性
10.4 不確定性原理
10.5 光の放射(線スペクトル)と原子の定常状態
10.6 レーザー
10.7 水素原子
10.8 原子,金属,半導体などの中の電子
10.9 半導体の応用
   演習問題10

第11章 原子核と素粒子
11.1 原子核の構成
11.2 核エネルギー
11.3 原子核の崩壊と放射能
11.4 素粒子
   演習問題11


コラム
 物理のための数学入門 変数と関数
 相似則
 フーコーの振り子
 ドップラー効果あれこれ
 津波
 熱と電気
 起電,充電,放電
 磁気鏡(磁気瓶)とは
 電磁調理器
 原子の配列を観察する―走査型トンネル顕微鏡
 高エネルギー物理学


付録 数学公式集
A.1 三角関数の性質
A.2 指数関数
A.3 不定積分と導関数
A.4 ベクトルの公式

問・演習問題の答
Credits
索 引

著者略歴

著:原 康夫
1957年 東京大学理学部物理学科卒業
1962年 東京大学大学院修了(理学博士)
1962年 東京教育大学理学部助手
1966年 東京教育大学理学部助教授
1975年 筑波大学物理学系教授
1997年 筑波大学名誉教授
1997年 帝京平成大学教授
2004年 工学院大学エクステンションセンター客員教授
この間,カリフォルニア工科大学研究員,シカゴ大学研究員,プリンストン高等研究所研究員.
1977年 仁科記念賞受賞

ISBN:9784780610420
出版社:学術図書出版社
判型:B5
ページ数:328ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2022年10月
発売日:2022年11月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PH