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音と芸術をめぐるブックガイド

編:金子 智太郎

紙版

内容紹介

音と芸術をめぐる新鮮な考えかた、語りかた、聞きかたを見つけるために――
音と芸術をめぐる本、40冊についての書評、気鋭の論者たちが80冊以上を紹介しながら、サウンド・スタディーズの現在を検討する座談会を収録。サウンド・スタディーズとサウンド・アート研究の動向、広がり、そして、その来し方、行く末を一望できる、音について考えたい人のための画期的なブックガイド

著者紹介(*は編者)

金子智太郎*
愛知県立芸術大学美術学部准教授。美学、聴覚文化論。

秋吉康晴
京都精華大学・関西学院大学・関西大学等非常勤講師。メディア論、音響文化論。

阿部万里江
カリフォルニア大学バークレー校音楽科准教授。エスノミュージコロジー、文化人類学、人文地理学。

imdkm(いみぢくも)
フリーライター。

大西穣
翻訳家、音楽批評。

葛西周
京都芸術大学芸術学部専任講師。音楽学。

後藤護
暗黒批評。

佐久間義貴
編集者。音楽・音響論。

千葉乙彦
出版社勤務。映画/ポピュラー音楽批評。

辻本香子
国立民族学博物館外来研究員、大阪芸術大学・大阪公立大学等非常勤講師。民族音楽学、文化人類学、サウンドスケープ研究。

dj sniff
ターンテーブリスト、キュレーター。

長門洋平
立教大学現代心理学部助教。映画研究、聴覚文化論。

中村将武
東京大学大学院博士課程在籍。美学、聴覚文化論、ポピュラー音楽研究。

西村紗知
批評家。

原塁
京都芸術大学非常勤講師。専門は歴史的音楽学、表象文化論。

日高良祐
京都女子大学現代社会学部講師。専門はメディア研究、ポピュラー音楽研究。

檜山真有
キュレーター。

北條知子
アーティスト。

細田成嗣
ライター/音楽批評。

マーティン・デヴィッド・スミス
シェフィールド大学東アジア研究所准教授。東アジア現代文化論。

松房子
TAKU FURUKAWA ARCHIVE運営。

柳沢英輔
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究科特任助教。音文化研究、音響民族誌。

山内文登
国立台湾大学音楽学研究所教授。東アジア近代音楽史、帝国・植民地研究(朝鮮・台湾)、聴覚文化論。

目次

はじめに――この本の成り立ち

座談会 音の本とサウンド・スタディーズ――音による思考と音をめぐる思考【前編】

第1章  アーティキュレイション
なぜこの音があるのか、聴く私はいかに成立するのか

01 近藤譲『線の音楽』
02 サロメ・フォーゲリン『ノイズと沈黙を聴く――サウンド・アートの哲学に向けて』
03 フランソワ・ボネ『言葉と音――音響の群島』
04 ゲイリー・トムリンソン『音楽の百万年――人類の現代性の創発』
05 バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる――サウンドスケープ生態学と音楽の起源』

第2章 口と手と諸感覚
身体の豊かな技法

06 細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか――アニメーションの表現史』
07 ブランドン・ラベル『口の用語辞典――声と口唇幻想の詩学と政治学』
08 ロバート・スコット『ムーンドッグ――6番街のバイキング』
09 キャロル・パッデン、トム・ハンフリーズ『新版「ろう文化」案内』

第3章 フォノグラフィ
音をいかに表現するか

10 アナ・マリア・オチョア・ゴティエ『聴覚性――19世紀コロンビアにおける聴取と知識』
11 キャシー・レーン、アンガス・カーライル『イン・ザ・フィールド――フィールド・レコーディングの芸術』
12 ジョナサン・スターン編『サウンド・スタディーズ・リーダー』
13 浜田淳編『音盤時代の音楽の本の本』

第4章 音響修辞学
音によって物語る

14 渡辺裕『感性文化論――〈終わり〉と〈はじまり〉の戦後昭和史』
15 アンドリュー・シャルトマン『「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命――近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景』
16 『ピピロッティ・リスト――Your Eye Is My Island―あなたの眼はわたしの島―』
17 マシュー・ハーバート『音楽――音による小説』
18 ジェームズ・ブラクストン・ピーターソン『ヒップホップ・アンダーグラウンドとアフリカ系アメリカ文化――表層の下へ』

第5章 電気になった声の世界
ボーカロイドのオラリティとは

19 柴那典『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』
20 増野亜子『声の世界を旅する』
21 ケリム・ヤサール『電気になった声――電話、蓄音機、ラジオがいかに近代日本をかたちづくったのか 1868–1945』
22 ジェイス・クレイトン『アップルート――21世紀の音楽とデジタル文化をめぐる旅』

第6章 螺旋状の視聴覚論
「視聴覚連禱」以後

23 平倉圭『かたちは思考する――芸術制作の分析』
24 長門洋平『映画音響論――溝口健二映画を聴く』
25 ホリー・ロジャース『ギャラリーを鳴り響かせる――ヴィデオとアート–ミュージックの誕生』
26 ジャネット・クレイナック『反復されたナウマン』
27 大友良英『音楽と美術のあいだ』
28 川崎弘二、岡本隆子、小杉武久編『小杉武久 音楽のピクニック』

第7章 音の生政治学
音による管理と解放

29 ティモシー・D・テイラー『資本主義の音――広告、音楽、文化の征服』
30 マイケル・カーワン『ヴァルター・ルットマンと多様性の映画――前衛–広告–近代性』
31 スティーヴ・グッドマン『音の戦争――サウンド、情動、そして恐怖のエコロジー』
32 若尾裕『サステナブル・ミュージック――これからの持続可能な音楽のあり方』

第8章 蒐集と驚異
多種多様な思考の目録

33 ラニ・シン編『ハリー・スミスは語る――音楽/映画/人類学/魔術』
34 スティーヴ・ロデン『…私の痕跡をかき消す風を聴く――ヴァナキュラー・フォノグラフの音楽 1880–1955』
35 裵淵亨『韓国蓄音機レコード文化史』
36 デヴィッド・バーン『音楽のはたらき』

第9章 自由の雑音
実験の政治経済学

37 何東洪、鄭恵華、羅悅全編『造音翻土――戦後台湾のサウンドカルチャーの探究』
38 アンドレイ・スミルノフ『サウンド・イン・Z――20世紀初頭のロシアにおける音の実験と電子音楽』
39 アースラ・ブロック、ミハエル・グラスマイアー編『ブロークン・ミュージック(ファクシミリ版)』
40 ポール・デマリニス『ノイズに埋もれて』

座談会 音の本とサウンド・スタディーズ――音による思考と音をめぐる思考【後編】

結びに代えて――音によって歴史を書き直す

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初出一覧

事項索引
人名索引

著者略歴

編:金子 智太郎
愛知県立芸術大学美術学部准教授。美学、聴覚文化論。
主著に「1970年代の日本美術における音」『あいだ』(2022年)、“Arrangements of sounds from daily life: Amateur sound-recording contests and audio culture in Japan in the 1960s and 1970s,” in Asian Sound Cultures: Voice, Noice, Sound, Technology (Routledge, 2022) など。

ISBN:9784779517969
出版社:ナカニシヤ出版
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月29日