次世代創造に挑む宗教青年
地域振興と信仰継承をめぐって
編:川又 俊則
編:郭 育仁
内容紹介
いま宗教集団はいかに地域振興に関わり,
また次世代を育てているのか。
仏教,神道,キリスト教,新宗教など幅広い事例調査から探究し,
これからの地域活性化のキーファクターとして宗教集団を捉え直す。
●編者紹介
川又俊則(かわまた・としのり)
成城大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。社会学専攻。鈴鹿大学学長。『岐路に立つ仏教寺院』〔共編〕(法蔵館,2019年),『健康を科学する実践研究』〔共編〕(大学教育出版,2018年),『近現代日本の宗教変動』(ハーベスト社,2016年),他。
【担当】序章〔共著〕,第1章,あとがき〔共著〕
郭 育仁(かく・いくじん)
同志社大学大学院政策科学研究科博士後期課程修了。文化政策学・観光学専攻。博士(政策科学)。静岡英和学院大学人間社会学部准教授。「観光振興における文化政策の主体性についての史的考察――豊かな日常性の構築から紡ぎ出す観光と文化」(博士学位論文,同志社大学大学院総合政策科学研究科,2015年),「民際的紐帯の形成とその訪日観光振興」(『鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部紀要』6,2023年),「地域観光政策をめぐって,宗教行事と地域振興の狭間に関する一考察――木之本地蔵大縁日を中心に」(『国際文化政策』3,2012年),他。
【担当】序章〔共著〕,第4章,あとがき〔共著〕
目次
序章 人口減少時代における宗教集団と地方創生の可能性(川又俊則・郭育仁)
1 はじめに
2 地域社会で宗教集団から見出だせること
3 地方創生に宗教文化の果たす役割
4 おわりに
第Ⅰ部 伝統宗教の挑戦
第1章 地域仏教青年会のなかで成長する僧侶たち(川又俊則)
――次世代教化システムによる信仰継承の意義を考える――
1 「次世代教化システム」とは何か
2 歴史に見る仏教青年会
3 現代の仏教青年会
4 地域・仏教青年会
5 知のあり方の激変と仏教青年会の今後
コラム1 おうみ米一升運動(稲岡賢純)
第2章 講を引き継ぐ若手宗教者たち(小林奈央子)
1 講組織の現況
2 「横」の関係でつながり合う御嶽講
3 新しい試みへの挑戦
4 多方面にわたる「横」のつながりの有用性
5 おわりに
第3章 次世代への信仰継承を紡ぐ神道青年会の挑戦(冬月律)
1 はじめに
2 教化活動とは何か
3 神社界の教化活動の動向
――戦後から現在に至るまで――
4 神道青年会について
――活動実態調査の結果を中心に――
5 神道青年会の活動事例紹介
6 おわりに
コラム2 神社の護持を考える(川村忠伸)
第4章 宗教文化の社会的協育から育む地域と観光(郭育仁)
――地域社会で生きる宗教者、信者、そして普通の人びとに着目して――
1 宗教文化創造の視座
2 まちを結ぶ社・石浦神社
3 嵯峨嵐山に学ぶ観光の風土
4 観光と宗教文化の自律的創造
コラム3 ドイツにおける医療と観光を通したキリスト教文化伝承(山川淳生)
第Ⅱ部 移動と越境から宗教文化を見つめ直す
第5章 「場」をめぐる新宗教の模索(隈元正樹)
――サードプレイスとしての立正佼成会――
1 宗教における「場」
2 サードプレイスとしての新宗教・立正佼成会
3 立正佼成会におけるサードプレイス的活動
4 宗教・コロナ禍・サードプレイス
第6章 コロナ禍における移動と宗教(李賢京)
―社会的空間の再構成と「動く」信者に注目して――
1 移動と宗教
2 コロナ禍における宗教のデジタル転換とハイブリッド教会の創出
3 ハイブリッド教会の現状と可能性を考える
――四事例から捉える――
4 宗教のハイブリッド化と新たに「動く」信者
コラム4 函館ラ・サールミッション部の挑戦(韓徳)
第7章 一つの信仰、三つの言語(藤野陽平)
――多元社会台湾における世代交代の際の言語、信仰、エスニック・アイデンティ――
1 はじめに
――言語とエスニック・アイデンティティ――
2 重層的な植民経験を有する台湾社会における言語とエスニック・アイデンティティ
3 台湾で日本語を継承する
4 台湾アイデンティティの継承と言語の断絶と
5 民族主義から民主主義という普遍的な価値へ
6 おわりに
コラム5 宗教的「中間団体」の新しい可能性(アルベルトゥス=トーマス・モリ)
終章 宗教と文化政策の諸相(井口貢)
1 文化政策への注目
2 文化の両義性と文化政策の所在
3 ある寓話から……
4 信仰の自由と文化政策
5 小盆地宇宙と宗教
6 文芸社会学と宗教
あとがき
索引
ISBN:9784779517624
。出版社:ナカニシヤ出版
。判型:A5
。ページ数:196ページ
。定価:2700円(本体)
。発行年月日:2023年12月
。発売日:2023年12月15日。