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都市を終わらせる

「人新世」時代の精神、社会、自然

著:村澤 真保呂

紙版

内容紹介

都市の裁きと訣別せよ――
感染症の危機や資源の収奪を終わらせ、新たな時代に向かうための、著者初の評論集。

「現在のような都市生活のあり方が続くわけもなく、また続けるべきでないことは、多くのデータが示しているとおりである。そうであれば都市を延命させるだけでなく、都市の時代に続く新たな時代を、つまり人類が都市に代わって新たに向かうべき旅路を考えるべきであろう」(「はじめに」より)



■著者紹介
村澤真保呂(むらさわ まほろ)
1968年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。現在,龍谷大学社会学部教授。著作にSatoyama Studies: Socio-Ecological Considerations on Cultural Nature(編著, Union Press, 2020年)、『中井久夫との対話――生命、こころ、世界』(共著, 河出書房新社, 2018年)、『里山学講義』(共編著, 晃洋書房, 2015年),『ポストモラトリアム時代の若者たち――社会的排除を超えて』(共著, 世界思想社, 2012年)等。翻訳にヴォルフガング・シュトレーク『資本主義はどう終わるのか』(共訳, 河出書房新社, 2017年),マリー=モニク・ロバン『モンサント』(共訳, 作品社, 2015年),ガブリエル・タルド『社会法則/モナド論と社会学』(共訳, 河出書房新社, 2008年)等。

目次

はじめに

序 章 「人新世」時代の環境、社会、人間――脱都市化に向けて
 1 都市をめぐる問題
 2 環境問題と一九世紀思想
 3 「脱都市」の可能性


第一部  「人新世」と都市

第一章 狐、外来生物、ウィルス――感染症と人新世
 1 B子(仮名)の独白
 2 新興感染症と「二次的自然」
 3 「人新世」と感染症――自然環境・社会・精神の病理との関連
 4 憑依をめぐる考察――近代世界と自然環境
 5 「カミ」の復活とパンデミック
 6 おわりに――ふたたびB子(仮名)との対話

第二章 都市からの逃走――五輪とグローバルシティ
 1 オリンピックから遠く離れて
 2 東京への一極集中
 3 グローバルシティと非物質性
 4 都市の呪縛から抜け出すために

第三章 都市を終わらせる――資本主義、文化、ミトコンドリア
 1 都市の基本要素
 2 都市と大地
 3 自由と都市文化
 4 二一世紀のアントワネット
 5 ミトコンドリアと超人


第二部  ポピュリズムの政治、社会、精神

第四章 ポピュリズムの深層分析――「橋下現象」をめぐって
 1 ポピュリズム政党としての「維新の会」
 2 なにわっ子気質はどこへ?――大阪と「大阪人」の変容
 3 サイレント・マジョリティと新たな政治意識
 4 「橋下現象」からの脱却の可能性

第五章 「橋下現象」の心理=政治学――ポピュリズム時代の記号的政治について
 1 「橋下批判」批判――シミュラークルとしての「橋下徹」
 2 「橋下現象」の特徴――メディア社会の心理=政治学
 3 「橋下現象」と訣別するために

第六章 「新しい公共経営」と官僚制――これからの地域市民運動のために
 1 はじめに
 2 近年の地方自治体における政治的変化
 3 第三世界化する地方自治体
 4 新自由主義型市民社会の登場
 5 おわりに――地域住民運動の可能性


第三部  「脱都市」と大学/文化

第七章 スラム化する大学
 1 都市の夢/都市の悪夢
 2 都市化とスラムの拡大
 3 スラム化する大学
 4 抵抗運動と大学の未来

第八章 ネオリベラル・アーツ化する大学教育と「教養」の未来
 1 ネオリベラル・アーツへの道――「学士力」と「新しい教養」
 2 潜在的な領域としての大学――もうひとつの「新しい教養」
 3 未来の「教養」の在処――大学院生の問題との関連

第九章 青年期、大学、都市――ポストモラトリアム時代の大学
 1 モラトリアムと大学教育
 2 自然状態と社会状態――「エミール」と「社会契約論」のあいだ
 3 都市、青年期、大学  
 4 自然/社会の二元論を超えて  
 5 おわりに――新たなモラトリアムと大学

第十章 グローバルシティのサブカルチャー、思想、政治――〈内なる新自由主義〉に抗するために
 1 サブカルチャー化する社会、サブカルチャー化する思想
 2 サブカルチャーの変容
 3 サブカルチャー化する思想
 4 新自由主義的ライフスタイルとその出口


終 章 中世の復活?――自然共生型社会のための次世代パラダイムについての試論
 1 近代的自然観の背景
 2 実在論の復活と新しい自然観  
 3 自然共生型社会への移行のために


おわりに――都市の裁きと訣別するために 


事項索引
人名索引

著者略歴

著:村澤 真保呂
龍谷大学社会学部教授。著書に『都市を終わらせる――「人新世」時代の精神、社会、自然』(ナカニシヤ出版、2021年)、訳書にヴォルフガング・シュトレーク『資本主義はどう終わるのか』(共訳、河出書房新社、 2017年)など。

ISBN:9784779515941
出版社:ナカニシヤ出版
判型:4-6
ページ数:306ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2021年07月
発売日:2021年07月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB