「病者」になることとやめること
米軍統治下沖縄におけるハンセン病療養所をめぐる人々
著:鈴木 陽子
紙版
内容紹介
貧困と排除と差別のなかで育ち、米軍統治下の施設に収容された沖縄のハンセン病者たち。しかしそこには「病者であること」すら乗り越える、命がけの生活があった。本書は、沖縄のハンセン病イメージを書き換える画期的研究である。
――――――――――――――――岸 政彦(社会学者)
沖縄でハンセン病を患い療養所に収容された人びと。
彼・彼女らはどのように暮らし、どのように生活の場と外の世界とのつながりを切り開いてきたのか。
国立療養所沖縄愛楽園で暮らした人たちの生活史。
●著者紹介
鈴木陽子(すずき ようこ)
早稲田大学社会科学部卒業。沖縄大学現代沖縄研究科修士課程沖縄・東アジア地域圏級専攻修了。立命館大学先端総合学術研究科修了。
2012年より沖縄のハンセン病回復者、家族等の方々から聞き取りを始めるとともに、沖縄愛楽園交流開館の展示・運営に関わる。編集『「隔離」を生きて――ハンセン病回復者の愛楽園ガイド』著者平良仁雄、監修山城紀子、沖縄タイムス社、2018年。
目次
はじめに 問いと問いの背景
第一章 先行研究の検討
第二章 集落の中の「病者」
第三章 共同体の排除の仕組みと隔離政策の重なりのなかで生きる――「病者」になった同郷の二人と米軍に収容された宝子
第四章 米軍統治下の愛楽園への入所
第五章 退所ブームの愛楽園で生きる――「僕は二回強制収用されているの」
第六章 共同体の排除の慣わしと導入された政策との結びつき
第七章 米軍統治下沖縄の入所者と家族のつながりの仕組み
第八章 愛楽園を離れるために戸籍を取得する入所者
第九章 園内で暮らし続ける入所者の戸籍取得
第十章 病者に「なること」と病者を「やめること」
おわりに