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いじめはなぜなくならないのか

監:竹田 敏彦

紙版

内容紹介

いじめの「傍観者」を「仲裁者」に変えるためのカギとは? フィンランドKiVaプログラムなど世界の最新研究に学び、日本に合わせたいじめ防止プログラムを提示する。現場の教員から、これから教員を目指す学生まで必読の書!


●著者紹介
【監修・編著者紹介】
竹田 敏彦 安田女子大学心理学部現代心理学科教授 [はじめに,第7章,第9章,おわりに

【編著者紹介】
植田 和也 香川大学大学院教育学研究科(教職大学院)教授 [第1章]
上村  崇 福山平成大学福祉健康学部教授 [第2章]
船津 守久 安田女子大学心理学部現代心理学科教授 [第3章]
藤沢 敏幸 安田女子大学心理学部現代心理学科教授 [第5章]
衛藤 吉則 広島大学大学院文学研究科教授 [第16章]
中島 正明 安田女子大学教育学部児童教育学科教授 [第19章]

【執筆者紹介】
寺井 朋子 武庫川女子大学共通教育部准教授 [第4章]
山本 文枝 安田女子大学心理学部現代心理学科准教授 [第6章]
奥田 秀巳 富山国際大学子ども育成学部講師 [第8章]
堀江 信之 広島工業大学非常勤講師,安田女子大学特別講師 [第10章]
湯浅 るみ 広島県三次市立八幡小学校校長 [第11章(共著)]
大濱 磨彦 広島県三次市立吉舎小学校校長 [第11章(共著)]
山田 行高 広島県三次市立吉舎中学校校長 [第11章(共著)]
蔵石 佳代 大阪桐蔭中学校高等学校教諭,英語科主任,学年主任 [第12章]
田中 敬子 スクールソーシャルワーカー [第13章]
金綱 知征 香川大学大学院教育学研究科(教職大学院)准教授 [第14章]
小野藤 訓 広島県江田島市教育委員会教育長 [第15章]
野崎 祐子 安田女子大学心理学部ビジネス心理学科准教授 [第17章]
先坊 幸子 安田女子大学文学部日本文学科専門員 [第18章]

目次

はじめに

第1章 いじめの実態

 1 日本の実態
 2 いじめ問題に関する対策
 3 学校教育における取組

第2章 いじめの4層構造といじめの病理

 1 はじめに
 2 いじめを捉える視座
 3 いじめの4層構造
 4 いじめの4層構造と規範意識
 5 いじめの病理
 6 社会にまかり通る排除の論理

第3章 障害のある子どものいじめと支援

 1 障害のある子どものいじめの実態
 2 教師による障害のある子どもへの支援
 3 現代における親子,家族関係
 4 発達格差の中の子どもたち

第4章 心理学から考える「現代の」いじめ問題
 
 1 いじめに関する論文数の変化
 2 「現代のいじめ」の特徴を考える
 3 いじめに対する心理学的アプローチ
 
第5章 いじめの心理

 1 被害者の心理
 2 加害者の心理
 3 観衆の心理
 4 傍観者の心理

第6章 いじめ問題を克服する「心の育ち」

 1 人と関わる心の教育
 2 心を理解する「心の育ち」
 3 自己理解と他者理解
 4 いじめ問題と「心の育ち」

第7章 いじめの定義の変遷と問題点

 1 いじめの定義の変遷
 2 いじめの定義の変遷といじめの認知(発生)件数の相関関係
 3 いじめの定義の問題点と課題
 4 いじめの定義の構築

第8章 「いじめ問題」から学ぶ教訓と課題 

 1 いじめ社会問題化の「三つの波」
 2 いじめ社会問題化の「第4の波」
 3 事例から考える
    ――いじめを認知することの難しさ――

第9章 いじめ予防といじめ対応

 1 KiVaプログラムに学ぶ
 2 KiVaプログラムを応用する
 3 傍観者を仲裁者に
 4 いじめ阻止プログラム案

第10章 いじめの未然防止と道徳教育・道徳科

 1 道徳性の発達段階を意図した授業展開
 2 道徳的葛藤の場面での教師の役割
 3 「いじめの未然防止」に対する道徳科教材の開発
    ――『卒業文集最後の二行』を例として――
 4 「いじめの未然防止」に対応するための道徳科学習指導案の開発

第11章 いじめの未然防止に対応する道徳教育の創造
     ――平成31年度文部科学省委託「『道徳教育改善・充実』総合対策事業【メニュー2】」に係る三次市立吉舎中学校区(吉舎中学校・吉舎小学校・八幡小学校)の実践

 1 はじめに
 2 吉舎中学校区の取組
 3 吉舎中学校区の取組の分析
 4 八幡小学校の取組
 5 八幡小学校の取組の分析
 6 吉舎小学校の取組
 7 吉舎中学校の取組
 8 吉舎中学校の取組の分析
 9 おわりに

第12章 いじめを許さない学級づくり

 1 いじめを許さない学級づくりの方法
 2 いじめ予防と道徳教育・道徳科
 3 いじめ予防と特別活動
 4 いじめを許さない学級づくりの実際
    ――学級通信から――

第13章 スクールソーシャルワーカーの役割と実際
       
 1 スクールソーシャルワーカーって何?
 2 スクールソーシャルワーカーを活用するために
 3 様々な問題にどう対応したのか
 4 いじめ問題にいかに対応すべきか

第14章 欧州のいじめ防止対策

 1 欧州におけるいじめの研究史
 2 ノルウェーの実践
    ――ベルゲン・プロジェクト――
 3 イギリスの実践
    ――シェフィールド・プロジェクト――
 4 オーストリアの実践
    ――ヴィスク・プログラム――
 5 日本のいじめ対策への応用可能性

第15章 いじめ防止対策推進法に基づく教育実践
       
 1 いじめ防止対策推進法の成立の背景
 2 いじめ防止対策推進法の趣旨と特色
 3 いじめ防止対策推進法の内容のポイント
 4 校内研修と教育実践

第16章 いじめと倫理学

 1 いじめをめぐる教育状況と倫理学
 2 いじめる子の〈心の歪み〉
    ――「よい子」が抱える問題――
 3 傍観者の増加と現代メディアとの関係
 4 思考・感情・意志・身体・道徳をつなぐ発達論
    ――「生きる力」の回復に向けて――
 5 おわりに

第17章 いじめに関する実証研究の到達点
     ―いじめ加害の深層を考える―

 1 いじめ防止プログラムに関する研究の到達点と理論
 2 いじめ加害に着目して
 3 HBSCスコットランドデータを用いた実証研究
 4 エビデンスに基づく政策提言

第18章 いじめの未然防止と漢文教育
     ――『論語』からいじめの根幹について考える

 1 国語科教材としての『論語』
 2 『論語』の中の道徳性
 3 他者を傷つけない心の教育      

第19章 いじめの輪郭
     ――その誕生から今日までの変容を雑誌記事の内容分析から描く

 1 文献上のいじめの起源とその後の推移
 2 どの分野のだれが,いじめに関わっているのか?
 3 いじめは,どこで発生しているのか?
 4 記述の内容は何に力点が置かれているのか?
 5 まとめ
    ――読後に心から消えない語句――

おわりに

著者略歴

監:竹田 敏彦
同志社大学法学部法律学科卒業[法学士],兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了[教育学修士],広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了[博士(文学)]/広島県公立中学校教諭,広島大学附属三原中学校教諭,広島県立教育センター指導主事・企画部長・副所長,広島県教育委員会事務局教育事務所長,広島県公立中学校長,広島大学附属学校再編計画室長,尾道市立大学非常勤講師,広島大学大学院教育学研究科非常勤講師,広島国際大学心理科学部教職主任・教授,安田女子大学心理学部教授(現職)/日本道徳性発達実践学会常任理事,SAME(学校と道徳教育)研究会代表,日本道徳教育方法学会会員,日本倫理学会会員,日本教材学会会員,日本教師教育学会会員。
なぜ学校での体罰はなくならないのか――教育倫理学的アプローチで体罰概念を質す』〔編著〕(ミネルヴァ書房,2016年),『心に響く道徳教育の創造:道徳教育が学校を変えた』〔共同監修〕(三省堂,2010年),『モラルジレンマ教材でする白熱討論の道徳授業(中学校・高等学校編)』〔共著〕(明治図書,2013年),他多数。

ISBN:9784779514401
出版社:ナカニシヤ出版
判型:A5
ページ数:262ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA