出版書誌データベース

思いもよらない新たな観光のアイデアを生み出すためのオリジナルな問いを見出せるようになるために、観光人類学の重要概念、基本概念を本書で学んで、しっかりと理解しよう

執筆者紹介（*は編者）

市野澤 潤平（イチノサワ ジュンペイ）
宮城学院女子大学 現代ビジネス学部 教授
担当：序章・コラム1・2・4・5

小野 真由美（オノ マユミ）
ノートルダム清心女子大学 文学部 英語英文学科 准教授
担当：第1章

吉田 竹也（ヨシダ タケヤ）
南山大学 人文学部 教授
担当：第2章

川崎 和也（カワサキ カズヤ）
静岡大学 地域創造教育センター 特任教授
担当：第3章

奈良 雅史（ナラ マサシ）
国立民族学博物館 超域フィールド科学研究部
准教授
担当：第4章

福井 栄二郎（フクイ エイジロウ）
島根大学 法文学部 准教授
担当：第5章

須永 和博（スナガ カズヒロ）
獨協大学 外国語学部 教授
担当：第6章

門田 岳久（カドタ タケヒサ）
立教大学 観光学部 交流文化学科 准教授
担当：第7章

土井 清美（ドイ キヨミ）
中央学院大学 現代教養学部 現代教養学科 講師
担当：第8章

古川 不可知（フルカワ フカチ）
九州大学 大学院比較社会文化研究院 講師
担当：コラム2

八巻 惠子（ヤマキ ケイコ）
就実大学 経営学部 教授
担当：第9章

渡部 瑞希（ワタナベ ミズキ）
帝京大学 経済学部 観光経営学科 講師
担当：第10章

田中 孝枝（タナカ タカエ）
多摩大学 グローバルスタディーズ学部 准教授
担当：第11章

岩原 紘伊（イワハラ ヒロイ）
聖心女子大学 現代教養学部 専任講師
担当：第12章

序　章　観光人類学への招待
　〈観光×文化人類学〉の成り立ちと現在　市野澤潤平

1　本書の目的：文化人類学と観光人類学
2　観光人類学の対象1：観光／ツーリズム
3　観光人類学の対象2：近代（以降）の観光
4　本書の射程：〈観光人類学3.0〉に向けて

第1章　観光を形作る二項対立およびその無化
　ライフスタイル移住にみる新たな観光のあり方　小野真由美

1　はじめに
2　観光の基本構造
3　ライフスタイル移住：旅するように暮らし，暮らすように旅すること
4　観光地に滞留する人びと
5　ロングステイツーリズム：非日常的な日常を生きるという意味世界
6　観光のもつ「観光らしくない・観光ではない」側面，反転するまなざし

コラム①　円環的時間と通過儀礼……市野澤潤平

第2章　ホスト／ゲスト，ツーリスト
　21世紀の液状化のなかで　吉田竹也

1　はじめに
2　基本概念と基本文献
3　ホストとゲストの非対称性
4　現代人のリキッド・ホーム
5　まとめと今後の展望


第3章　メディアとパフォーマンス
　メディアが媒介する観光地イメージおよび観光実践・経験　川崎和也

1　はじめに
2　観光とメディアをめぐる研究史
3　視覚からパフォーマンスへ
4　インターネット時代の観光とメディア
5　事例から読み解く観光とメディア
6　おわりに

第4章　真正性
　観光における本物らしさという価値　奈良雅史

1　はじめに：観光における本物らしさと観光文化
2　真正性とは
3　真正性に対するいくつかの見方
4　おわりに：真正性と真摯さ

第5章　伝統の創造
　本質主義と構築主義を巡るせめぎ合い　福井栄二郎

1　はじめに
2　伝統の創造
3　伝統文化を語る権利
4　文化の客体化
5　戦略的本質主義と文化の売春
6　まとめ

第6章　観光表象
　エスニック・ツーリズムにおける表象の政治学　須永和博

1　はじめに
2　観光表象の政治学：タイ北部のエスニック・ツーリズムの現場から
3　表象の政治学に抗って


第7章　観光経験
　旅がわたしに現れるとき　門田岳久

1　はじめに：主体にとっての観光
2　経験としての観光
3　中心と実存
4　観光を形づくる「枠」
5　おわりに

第8章　身　　体
　知覚の主体から感覚へ，そして世界との関わり方へ　土井清美

1　身体とは
2　身体感覚
3　身体化アプローチと生態学的アプローチ
4　旅行者の身体から捉えた景観：カミーノ・デ・サンティアゴを歩く
5　今後の課題：一つの倫理的実践として

コラム2　観光とインフラストラクチャー……古川不可知

第9章　接客サービスの高度化
　価値を共創するサービス・デザイン　八巻惠子

1　はじめに
2　観光サービスの大量生産
3　経験経済
4　接客サービスによる価値共創研究
5　接客サービスの高度化
6　おわりに

コラム3　消費と価値……市野澤潤平
コラム4　ジェンダーとセクシュアリティ……市野澤潤平


第10章　ホスピタリティとフレンドシップ
　観光ビジネスにおけるホスト／ゲスト関係の多様性と広がり　渡部瑞希

1　はじめに：観光地におけるインフォーマル・セクター
2　親密性，ホスピタリティ／フレンドシップ
3　観光産業の発展がもたらした変化
4　観光地での出会いとフレンドシップのありさま
5　おわりに


第11章　リスク／不確実性
　「不確かさ」とともにある観光のダイナミズム　田中孝枝

1　観光とリスク
2　リスク社会，リスク管理，リスク化
3　観光ビジネスによるリスクの資源化
4　旅行会社の現場からみるツアーの不確実性
5　リスクの多面性
6　危機からのレジリエンス
7　まとめ

コラム5　観光資源化……市野澤潤平

第12章　持続可能な観光
　環境に優しくあろうとする新たな観光の潮流　岩原紘伊

1　第二次世界大戦後の国際観光開発
2　オルタナティブ・ツーリズムをめぐる実践1：エコツーリズム
3　オルタナティブ・ツーリズムをめぐる実践2：コミュニティベースト・ツーリズム
4　おわりに


事項索引
人名索引

編：市野澤　潤平
宮城学院女子大学 現代ビジネス学部 教授。
Graduate School of Business, Assumption University（Master of Business Administration）, Thai Studies Center, Chulalongkorn University（Master of Arts in Thai Studies）を経て、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース博士課程単位取得退学。
専門は文化人類学、観光学。
著書に『ゴーゴーバーの経営人類学――バンコク中心部におけるセックスツーリズムに関する微視的研究』（めこん、2003年）、編著に『基本概念から学ぶ観光人類学』（ナカニシヤ出版、2022年）、共編著に『リスクの人類学――不確実な世界を生きる』（世界思想社、2014年）および『観光人類学のフィールドワーク――ツーリズム現場の質的調査入門』（ミネルヴァ書房、2021年）。共訳書にヴァレン・L・スミス編『ホスト・アンド・ゲスト――観光人類学とは何か』（ミネルヴァ書房、2018年）。