はじめに
第I部 出来事の記録/記録の出来事
第1章 〈全面的な忘却〉をめぐる哲学的覚え書き:フッサールとデリダから出発して(谷島貫太)
1 はじめに
2 フッサールにおける忘却の「危険」
3 デリダによる批判と物質的な「事故」
4 ま と め
第2章 東日本大震災とドキュメンタリー映画(門林岳史)
1 はじめに:東日本大震災とメディア
2 被災地で何を撮るべきか
3 方法論的洗練
4 その後のドキュメンタリー映画
第3章 テレビに封印された都市の記憶:NHK『特集 TOKYO』(1963)の視線(松山秀明)
1 はじめに:メディアから読みとく都市の記憶
2 本章のねらい
3 NHK『特集 TOKYO』(1963)の視線
4 おわりに:テレビと都市の相関
第II部 まなざしの記録/記録のまなざし
第4章 映像の誕生と空間の可視化:パテ・ベビーと日本の1930年代(水島久光)
1 はじめに:表象(representation)の歴史ではなく,装置(system)の歴史として
2 パテ・ベビーが提起する「小さな」問い
3 映像を介したロールプレイのアクチュアル化
4 発見された「地域」×「家族」=中間領域
5 ありえたかもしれない歴史を記述する:メディア史の大切な仕事
第5章 ( 暗室)箱の中の手:デイヴィッド・ホックニーの逆遠近法と鏡の投影(柿田秀樹)
1 はじめに
2 視覚的記憶としての光学技術
3 光学技術によって創られる逆遠近法的空間
4 CG の映像史における位置づけ
5 結びにかえて
第6章 超音波写真と胎児のイメージ:記録としての医学写真から記憶としての家族写真へ(塙 幸枝)
1 はじめに
2 写真と可視化
3 医学写真としての超音波写真
4 家族写真としての超音波写真
5 おわりに
第III部 場所の記録/記録の場所
第7章 メディアとしてのミュージアム,その可能性:「四日市公害と環境未来館」を起点として(池田理知子)
1 はじめに:メディアとしてのミュージアム
2 公害の歴史を伝える四日市のミュージアム
3 「環境未来館」という名が示すイメージ
4 環境問題を考えるためのもう一つの視点
5 「日常」のなかの公害と戦争
6 近代的な権力に対抗するための「戦術」
7 おわりに:記憶に残るミュージアム
第8章 郷土と記憶:喜多村進の移動と郷土認識(神田孝治)
1 はじめに
2 記憶のなかの他所としての郷土
3 住み良き生活の場としての郷土
4 歴史に注目した国家につながる郷土
第9章 「複数の状態」にひらかれたデジタル写真をどう認識するか:トリップアドバイザーの「トラベルタイムライン」を題材に(松本健太郎)
1 はじめに
2 「流れ(フロー)」のなかのデジタル写真
3 トリップアドバイザーにおける写真データの位置
4 結びにかえて:記録と予期の間隙で
第IV部 編集の記録/記録の編集
第10章 歴史的記憶のヴァーチャルな編集:ウィキペディアと歴史叙述の条件(宮本隆史)
1 はじめに:インターネットと歴史叙述
2 ウィキペディアにおける歴史叙述の制約条件
3 ウィキペディア上の歴史叙述
4 おわりに:歴史叙述の未来
第11章 書籍におけるスペクタクルイメージとコメモレーションの形成:100個のトランクをめぐる「モノ」と「コト」の記憶(研谷紀夫)
1 はじめに:概要
2 「スペクタクル」の概念
3 アナログ書籍の概要と内容
4 「スペクタクル」概念からみるアナログ書籍
5 電子書籍の構成と内容
6 電子書籍版に収録された関連映像
7 電子書籍のスペクタクル表象とコメモレーション
第12章 オーラルヒストリーの「作者」とは誰なのか:『ラディカル・オーラル・ヒストリー』を出発点に(小西卓三)
1 はじめに
2 オーラルヒストリーとメディア研究
3 オーラルヒストリーインタビューと記憶
4 オーラルヒストリーと作者
5 おわりに