法心理学への応用社会心理学アプローチ
著:若林 宏輔
内容紹介
日本の裁判員裁判に対して心理学に可能な貢献とは何か。心理学の視点から制度に付随する問題の理解を促し、新制度への提言を行う。
目次
第I部 法心理学領域の再構築と本書を通底する2つの視座
第1章 モード論に依拠する法心理学と情報的正義
1―1 法文化と心理学の乖離
1―2 法学と心理学の学“融”的視点:モード論と学融の視点
1―3 市民へ与えられる情報の正義:情報的正義の視点
1―4 裁判員制度の開始と司法への市民参加の意義
1―5 裁判員制度の制度手続き
1―6 裁判員裁判の現状
1―7 ま と め
第2章 世界の法心理学の歴史と展開
2―1 法心理学史というアプローチ
2―2 20世紀初頭の心理学,法学,法心理学
2―3 司法と心理学の乖離
2―4 各心理学領域における法心理学研究の展開
2―5 法心理学の世界史:モード論からの再構築
第3章 日本の法心理学の歴史と展開
3―1 日本の法心理学史の黎明期
3―2 犯罪心理学から法心理学研究へ
3―3 法心理学黎明期の現在における意義
3―4 日本の法心理学の近現代史:寺田以降から裁判員制度施行前の法心理学
第II部 犯罪の発生から事件捜査における法心理学的問題:情報的正義の実現に向けて
第4章 捜査過程の情報収集としての目撃証言の取り扱いの問題
4―1 目撃証言研究の社会性の考慮の問題
4―2 実験1:同一の出来事を異なる角度から見た場合の証言の同調
4―3 実験2:証言の同調を引き起こす要因の検討
4―4 総合考察
第5章 公判以前の事件報道と規制の問題
5―1 裁判員における予断・偏見の問題
5―2 実験1:公判前報道に対する裁判官説示の効果
5―3 実験2:報道機関独自の表現方法の効果
5―4 総合考察
第6章 被疑者逮捕後の取調べ室の可視化と自白の任意性の問題
6―1 取調べの密室性と自白の問題
6―2 心理学から見る取調べの可視化
6―3 実験:日本の取調べ可視化手法におけるCPB の検討
6―4 実験結果
6―5 実験の考察
6―6 総合考察
第III部 公判開始から判決までの法心理学的問題:評議構造分析
第7章 裁判員裁判・評議過程の発話構造と内容分析
7―1 陪審制度と参審制度
7―2 目的:テキストマイニングと多変量解析を組み合わせた評議分析
7―3 方 法
7―4 結 果
7―5 考 察
7―6 総合考察:評議研究とモードⅡ知識生産
第8章 陪審制度の評議構造と内容分析
8―1 法廷に提出される科学的証拠の対立が市民に与える影響
8―2 目 的
8―3 方 法
8―4 結 果
8―5 考 察
8―6 ま と め
第9章 陪審制度と参審制度の評議構造の比較
9―1 裁判官とともに議論する評議の意義
9―2 目的:参審制と陪審制の比較
9―3 方 法
9―4 結果:2つの人数比の異なる評議体の比較
9―5 考察1:異なる人数比の2 つの評議の比較
9―6 考察2:参審制評議と陪審制評議の構造比較
9―7 まとめ:陪審制と参審制という二項対立を越えて
第IV部 法心理学研究から見る裁判員制度への提案
終 章 総合考察:裁判員制度への応用社会心理学的アプローチ
10―1 総合考察1:本書各部からの考察
10―2 総合考察2:法心理学領域とモード論
10―3 総合考察3:情報的正義について
10―4 展望:市民参加に関する認識変革の必要性
ISBN:9784779510366
。出版社:ナカニシヤ出版
。判型:A5
。ページ数:288ページ
。定価:6800円(本体)
。発行年月日:2016年03月
。発売日:2016年03月15日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LA。