かわさき市民アカデミー双書 6
社会のためのデモクラシー
ヨーロッパの社会民主主義と福祉国家
編著:小川 有美
他著:宮本 太郎
他著:水島 治郎
内容紹介
篠原一先生指導の
認定NPO法人かわさき市民アカデミーで開講された
政治・社会講座、連続講義の書籍版!
ワーク・ライフ・バランスの進んだオランダ、
性別や障害による不平等を作らない北欧、
経済だけでなく生活の質や環境の先進国でもあるドイツ。
そのようなイメージを持つこれらのヨーロッパ諸国に共通に
みられるのは、社会民主主義の政治の存在感です。
ところが戦後のヨーロッパ福祉国家をリードした社会民主主義は、
今日のグローバル化の中で国際競争、財政危機、
資本と人の移動(移民)によって大きく揺さぶられています。
それでも社会民主主義政党は依然として、多くのヨーロッパ諸国の
二大政党の一角として責任を担っています。
このヨーロッパの経験――そこには理想的なサクセスストーリー
だけではなく、難題やジレンマがあることでしょう――から
日本が学べることは何でしょうか。――(「まえがき」より)
目次
まえがき …………………………………………… 小川 有美
第1章 ヨーロッパの社会民主主義……………… 小川 有美
――福祉国家の資産からグローバル・リスク社会の試練へ
1 「社会」のための政治
2 戦後デモクラシーと福祉国家を支えた社会民主主義
3 グローバル・リスク社会と福祉国家のゆらぎ
4 社会民主主義の直面する試練
5 ポピュリズムと市民社会民主主義
第2章 スウェーデン福祉国家は日本のモデルか?… 宮本 太郎
――その歴史と現在
1 はじめに ――スウェーデン福祉国家をめぐるいくつかの「噂」
2 家族・雇用と社会保障
3 スウェーデン福祉国家の達成
4 直面する困難
第3章 オランダの雇用・福祉改革 ………………… 水島 治郎
――小国社会のイノベーション
1 はじめに
2 「先駆的」な小国、オランダ
3 オランダにおける福祉国家の発展と困難
4 ワセナール合意
5 雇用・福祉改革の展開――積極的労働市場政策
6 ワーク・ライフ・バランス政策の展開
7 パートタイム労働と女性の就労
8 オランダは男女平等か
9 おわりに――社会民主主義の「革新」の可能性
第4章 オランダ福祉国家の影…………………………水島 治郎
――移民と福祉・労働
1 はじめに オランダモデルの影 「包摂」と「排除」の同時進行
2 ポピュリズム政党の躍進と「寛容」であったオランダ社会
3 福祉国家再編プロセスでの移民排除の正当化
4 ポスト近代社会がもたらす「光と影」の反転
5 ポスト近代型社会における社会民主主義再定義の必要性
第5章 ドイツの社会民主主義政党と労働組合……… 網谷 龍介
――市場を飼い馴らす二つの道?
1 「社会民主主義的な政策」を実現する二つの回路
2 社会民主主義とは何か?
3 社会民主主義の二つの主体――政党と労働組合
4 ドイツの社会民主主義
第6章 ドイツの戦後レジーム………………………… 網谷 龍介
――何がどうかわってきたか
1 ドイツ政治の基本的な構図
2 ドイツモデルの政治経済
3 社会的協定(social pact)の実験
4 おわりに ――「政治主導」への転換とシュレーダー改革
補論 篠原政治学の目指したもの ……………………… 杉田 敦
1 はじめに
2 歴史認識 ――「歴史政治学」
3 政治認識 ――「政治過程」
4 政治方法論 ――「連合」と「討議」
5 まとめ
ISBN:9784779150715
。出版社:かわさき市民アカデミー
。判型:4-6
。ページ数:232ページ
。定価:1300円(本体)
。発行年月日:2019年10月
。発売日:2019年10月28日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB。