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アラビアのマリア・テレジア銀貨

外国通貨の流れから見たアラビア半島の近代史

著:山﨑 祐輔

紙版

内容紹介

本書は、マリア・テレジア女帝とヴィクトリア女王を戴いた通貨の流通
という視点からみた、日本ではあまり馴染みのないアラビア半島の近代史
かつ国際関係史である。
貿易通貨のマリア・テレジア銀貨が内陸部、法貨のインド・ルピーが英国の
勢力圏で流通したのは国際政治の反映であった。「偶像禁止」のイスラム教義
に反するマリア・テレジア銀貨がなぜアラブ人に選好されたのか、
また、統治者がイスラム君主の条件を満たさずに外国の君主の肖像入り通貨を
認めるという、通常では考えられない現象の理由が何であったかを解き明かす。
「イスラムの教えの理解なくして中東は理解できない」との主張に反し、
外国の元首であるマリア・テレジアを戴く銀貨を使い続けたアラブ人が、
イスラム以前からの銀の純度と重さを重視する慣習に従っていたこと、及び、
インド洋とペルシャ湾での覇権を求めた英国とフランスの外交戦が与えた、
アラブ人の英仏に対する感情の違いから、反英感情の裏返しとしての
マリア・テレジア銀貨への「リヤル・ファランシ(仏リヤル)」呼称使用が
生まれたことなどを、当時のアラビアで活躍した欧州商人、インド商人の
具体的な活動と共に描いていく。

【目次】(第1章)マリア・テレジア銀貨(第2章)レヴァント(東地中海) 貿易
(第3章)モカコーヒー(第4章)「リヤル・ファランシ(仏リヤル)」の呼称
(第5章)インド洋経済圏のオマーン(第6章)独立尚武の国イエメン
(第7章)マリア・テレジア銀貨の廃止(第8章)英領インドの「飛び地」アデン
(第9章)英国の湾岸進出とネジド(サウド家) への関与
(第10章)法貨でない通貨の流通理由
(第11章)イエメンとオマーンにマリア・テレジア銀貨が残った理由

目次

第1章  マリア・テレジア銀貨
第2章  レヴァント(東地中海) 貿易
第3章  モカコーヒー
第4章  「リヤル・ファランシ(仏リヤル)」の呼称
第5章  インド洋経済圏のオマーン
第6章  独立尚武の国イエメン
第7章  マリア・テレジア銀貨の廃止
第8章  英領インドの「飛び地」アデン
第9章  英国の湾岸進出とネジド(サウド家) への関与
第10章 法貨でない通貨の流通理由
第11章 イエメンとオマーンにマリア・テレジア銀貨が残った理由

著者略歴

著:山﨑 祐輔
やまさき・ゆうすけ
1952年福岡県生まれ。1975年愛知県立大学スペイン学科卒業。
同年、外務省入省。エジプト( アラビア語研修)、イエメン、イラン、シリア、
ドバイ及びスーダンに勤務。会計検査院国際業務室長、外交記録審査官、
情報分析官を務める。2015年定年退官。現在はアラビア史愛好家。
主な著作に『日本人とアラビア』(中央公論事業出版、2021年)、
共著に中東調査会編「シリア内政のカギとなるムスリム同胞団」
所収『イスラム・パワー』(第三書館、1990年)、草間秀三郎・藤本博共編
「アメリカとアラブとの国際関係」所収『二一世紀の国際関係論』
(南窓社、2000年)、論文に「エジプトにおける宗教勢力の研究―
ムスリム同胞団を中心に」『外務省調査月報』VOL.XX NO.2(1979年)、
「エジプト・ムスリム同胞団の“黙認の復活”―過程とその軌跡―」
『国際大学中東研究所紀要』第1号、1985年がある。

ISBN:9784779128042
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:396ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年02月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FB