国民皆兵とドイツ帝国
一般兵役義務と軍事言説 1871~1914
著:中島 浩貴
内容紹介
ドイツ帝国創成の軍事力を支えたものが、
一般兵役義務言説なのであった。
一般兵役義務については、軍国主義、軍事史研究の対象として
多くの論考がなされているが、
本書では、この一般兵役義務を、これに伴う社会的な繋がりに
よって形成された様々な言説とドイツ帝国内における国民皆兵の
位置づけとその変化から検討することで、当時における
その意義を見い出して行った。
第一部では、プロイセン・ドイツ軍の制度、軍事文化、
一般兵役義務の優位性に関する議会と軍の認識の
共通性と差異を検討し、軍事組織内言説の論理の正当化
とその自律性を保持しようとした姿を詳らかにする。
第二部では、戦争への実戦的な関心へ向かう軍内部の自らの
言説の論理立てが状況の変化にどう対応し、いかなる言説の
変化をもたらしたかを具体的に検証する。
目次
序 章 ドイツ第二帝政期における一般兵役義務言説
第一部 ドイツ統一戦争直後の一般兵役義務言説
第一章 義務・平等・安定
――ドイツ統一戦争直後の帝国議会での一般兵役義務言説
第二章 比較のなかの軍隊
――独仏戦争後の一般兵役義務とその正当化
第二部 軍事テクノクラートの思考様式と軍事言説の急進化
第三章 軍事テクノクラートの世界内における
フォルクスクリークと兵力動員
――クラウゼヴィッツ『戦争論』を手掛かりに
第四章 「外敵」への対応と戦史叙述の政治化
――コルマール・フォン・デア・ゴルツを中心に
第五章 「国内の敵」と「外敵」に対する二正面戦略
── 一般兵役義務をめぐる言説の転換と
軍事雑誌上の言説の急進化
第六章 「外敵」に対する生存競争の道具としての精神
――フリードリヒ・フォン・ベルンハルディを中心に
補 論 軍事的オリエンタリズム
――ドイツ帝国における一般兵役義務と東洋言説
終 章
あとがき
参考文献
註
索 引
ISBN:9784779125881
。出版社:彩流社
。判型:A5
。ページ数:270ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2019年05月
。発売日:2019年05月16日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JWK。