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アメリカのフェミニズム運動史

女性参政権から平等憲法修正条項へ

著:栗原 涼子

紙版

内容紹介

アメリカの憲法では、
いまだに、男女平等が明記されていない、
って知っていますか?

1920年に女性参政権を獲得した後、
アメリカの「フェミニズム運動」は、
どのように展開されたのか──

全米女性参政権協会(NAWSA)、
全国女性党(NWP)、
全国女性有権者同盟(NLWV)の組織の膨大な一次資料をもとに、
1910年代の女性参政権運動、
1920年代半ばにかけてのNWP内における
平等憲法修正条項(ERA)を作成するまでの過程と
NLWVの母性保護を基軸とした社会福祉法制定過程に焦点を当てる。


さらに、「第一波フェミニズム」の思想と実践の成果は、
「第二波フェミニズム」にどのように継承されたのか、
ニューヨークのラディカル・フェミニズムの組織をとおして考察する。

目次

序章
 1 研究史
  (1)女性参政権運動研究史
  (2)全米女性参政権協会(NAWSA)と全国女性党(NWP)に関する研究
  (3)1920年代のフェミニズム研究
  (4)第二波フェミニズム運動に関する研究動向──多文化主義からのまなざし
 2 本書の構成・概要と意義


第1章 女性参政権運動
   ──全国女性党(NWP)の全米女性参政権協会(NAWSA)からの分離 1913─1916年
 はじめに
 1 1913年のワシントン・パレードの歴史的意義──人種をめぐるポリティクス
 2 議会同盟(CU)のNAWSAからの独立──州権論をめぐる確執
 3 CUのNAWSAからの決別──NWP設立を中心に
  (1)CUとNAWSAとの対立
  (2)CUの戦術──連邦レベルの女性参政権へ
  (3)NWP結成
  (4)NAWSAの戦略──第一次世界大戦参戦に向けて
 4 海外膨張政策と帝国をめぐる論争
 おわりに


第2章 第一次世界大戦期から女性参政権成立までの運動
   ──1917─1919年
 はじめに
 1 第一次世界大戦参戦と女性参政権運動
  (1)全米女性参政権協会(NAWSA)内部における戦争協力の論理形成過程
  (2)NAWSAの1917年大会決議
  (3)全国女性党(NWP)の反戦平和策と闘争の急進化
 2 連邦議会における女性参政権に関する論議
  (1)1918年の連邦議会公聴会
  (2)1918年の連邦議会での論議
 3 NAWSA、全国女性有権者同盟(NLWV)、NWPの戦術
   ──執行委員会・大会決議から 1918─1919年
  (1)NAWSAの活動 1918年
  (2)NAWSA大会──参加の論理形成 1919年
  (3)NLWV全国委員会 1919年
  (4)NWPP執行委員会 1918─1919年
 おわりに


第3章 女性参政権成立とフェミニズム運動
   ──平等憲法修正条項(ERA)成立過程を中心に 1920─1923年
 はじめに
 1 全米女性参政権協会(NAWSA)ならびに全国女性有権者同盟(NLWV)の戦術
   ──執行委員会・大会決議から 1920─1923年
  (1)NAWSA・NLWV大会 1920年
  (2)NLWV──母性保護への尽力 1921年
 2 全国女性党(NWP)の再出発 1920─1923年
  (1)NWP執行委員会ならびに評議会
   ──女性参政権獲得後の組織の方針をめぐって 1920─1921年
  (2)NWP大会ならびに執行委員会 1921年
  (3)NWPの政策──ERA成立過程における母性保護をめぐる葛藤 1921─1922年
  (4)ERA成立までの過程 1922─1923年
 おわりに


第4章 1920年代のアメリカのフェミニズム運動
   ──平等憲法修正条項(ERA)、社会福祉法制をめぐる論争を中心に 1919─1925年  はじめに
 1 ケーブル法をめぐる論争
  (1)ケーブル法成立の経緯
  (2)ケーブル法成立と移民の「アメリカ化」
 2 シェパード・タウナー法をめぐる論争
  (1)全国女性有権者同盟(NLWV)とシェパード・タウナー法案 1920─1921年
  (2)シェパード・タウナー法と移民政策
  (3)保守派による母性主義フェミニズム批判
 3 ERAをめぐる論争
  (1)保護か平等かをめぐる論争再考
  (2)全国女性党(NWP)とERA 1923年
  (3)NLWVのERA批判 1921─1925年
 おわりに


第5章 ニューヨークの女性解放運動とラディカル・フェミニズムの理論形成
   ──1963─1972年
 はじめに
 1 女性解放運動の原点としてのニューヨーク・ラディカル・ウイメン
  (1)ラディカル・フェミニズムの起源
  (2)ニューヨーク・ラディカル・ウイメンの結成
  (3)ニューヨーク・ラディカル・ウイメンとヴェトナム反戦運動
  (4)フロリダペーパーとミス・アメリカ・コンテスト反対
  (5)プロウーマンラインの誕生とニューレフトからの決別
 2 レッドストッキングズとフェミニズム理論構築
  (1)レッドストッキングズ設立と中絶に関する公聴会
  (2)レッドストッキングズ宣言とフェミニズム理論構築
 3 ザ・フェミニスツ
  (1)ザ・フェミニスツの結成
  (2)ザ・フェミニスツの理論
  (3)ザ・フェミニスツの分裂と終焉
 4 ニューヨーク・ラディカル・フェミニスツ
 5 ラディカル・フェミニズムの越境
   ──家事労働有償化論争とレズビアン・フェミニズムに見る国境、人種の越境
  (1)家事労働有償化論争をめぐる越境
  (2)セクシュアリティをめぐる越境
   ──シスターフッドから「女性と同一視する女性」へ
 おわりに


最後に──女性平和運動への視座

著者略歴

著:栗原 涼子
くりはら・りょうこ
東海大学文学部アメリカ文明学科教授。
【著書】
『アメリカの女性参政権運動史』(武蔵野書房、1993年)、
『The Japanese woman suffrage movement in comparison
with the American movement(日米女性参政権運動史)』
(信山社、2001年)、
『アメリカの第一波フェミニズム運動史』ドメス出版、2009年)
ほか。

ISBN:9784779124716
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:264ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2018年04月
発売日:2018年04月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS