ことばの浮世絵師
井原西鶴と日本語の世界
著:杉本 つとむ
紙版
内容紹介
西鶴の言語宇宙を社会言語学的視点から考察し、西鶴文学の本質に迫る!!
西鶴は、世界で一番偉い作家である。西欧の諸秀才も遠く及ばぬ。(太宰)
西鶴の語彙は、まさに現代語の源泉であり、近代日本語史上、貴重な生活語の宝庫であることを論証する。また芭蕉に先駆けた俳諧師として、当時の民俗的歳時記と一般的言業(ことわざ)を巧みに取り入れ、近代日本人の生活と思想、精神世界を見事に捉えた言語宇宙を確立したことを明らかにする。西鶴を社会言語学的視点で解明し、新たな研究方法を提示する著者畢生の西鶴論。
目次
Ⅰ西鶴を考察する視座 1西鶴の描いた十七世紀の人と社会 2西鶴と戯作執筆の意図 3西鶴と伊藤仁斎と遊女
Ⅱ西鶴、新文章の創始と方法 ○創作の秘訣 ○語り・咄しの文態 ○心の声と文態 ○ことばの美意識
Ⅲ西鶴とその言語宇宙 1近代語の創始者 2民俗の記録者 3言業(誓喩・俚諺・格言など)の達人
Ⅳ西鶴の心のうちを語る<掌中小説> 男地獄 白か黒か 武士の娘は 男と女の仲 紫の褌の価値 など12話
余論 江戸俗字の解読と検証