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ジョージ・エリオット全集

ミドルマーチ(上)

著:ジョージ・エリオット
訳:福永 信哲

紙版

内容紹介

十九世紀後半、イギリス地方都市を舞台に展開する人間模様、キリスト教と科学がせめぎあう時代相を凝視する女流作家の魂の軌跡!エリオットの文体が成熟期に達したと言われる作品、上巻。

●結婚生活で夫と妻がお互いの要求を認め合い、折り合う妥協点をいかに見出してゆくか、それがいかに困難な挑戦なのか、読者は読んでゆくうちに、身につまされる。
「人間はみな道徳的に愚鈍に生まれついていて、この世界はこのうえなく貴重な自己という存在を養ってくれる乳房だと考える。ドロシアは、そのような愚かさから早く抜け出し始めていたが、それでも、どのようにしたら夫に献身的に仕えることができるか、夫の力と知恵とを頼りに、どれほど自分が賢く、強い人間になれるか、を想像することはできても、夫も自分と同じように自己という譲れない一線があって、そこから出る光と陰は常に自分のものとは違っているということを、単なる反省ではなく、感情――触れれば手応えのある物体のように、感覚にまで磨きあげられたアイデア――をもって明らかに感じとるのは容易なことではなかった。」(本文21章より)

著者略歴

著:ジョージ・エリオット
1819年生、1880年没。筆名は男性だが、本名はメアリ・アン・エヴァンズという女性作家。英国小説史におけるもっとも傑出した知性、リアリズムの作家と評される。彩流社からの邦訳に『牧師たちの物語』(ジョージ・エリオット全集1、2014年)、『フロス河畔の水車場』(ジョージ・エリオット全集3、2022年)、『サイラス・マーナー』(ジョージ・エリオット全集4、2019年)、『ロモラ』(ジョージ・エリオット全集5、2014年)、『急進主義者 フィーリクス・ホルト』(ジョージ・エリオット全集6、2011年)、『ダニエル・デロンダ 上・下』(ジョージ・エリオット全集8、2021年)、『スペインのジプシー』(ジョージ・エリオット全集9、2014年)、『詩集』(ジョージ・エリオット全集10、2014年)、『テオフラストス・サッチの印象』(2012年)などがある。
訳:福永 信哲
ふくなが しんてつ 1949年生まれ。1978年、広島大学文学研究科博士課程後期満期単位取得退学。岡山大学名誉教授(大学院教育学研究科)。日本ジョージ・エリオット協会会長(2018~21年度)を経て、現在理事。著書に『絆と断絶 ジョージ・エリオットとイングランドの伝統』(松籟社、1995年)、『ジョージ・エリオットの後期小説を読む̶キリスト教と科学の葛藤̶』(英宝社、2016年)他、共著、論文多数。

ISBN:9784779117473
出版社:彩流社
判型:A5
ページ数:600ページ
定価:8000円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB