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マリア・クロス

現代カトリック系作家の想像力作用のパターン

著:ドナト・オドンネル
訳:山形 和美

紙版

内容紹介

アイルランドの優れた批評家ドナト・オドンネルの文学批評の名著の初訳!
 ドナト・オドンネル(本名ドナト・オブライエン)は、歴史家であり、随想家であり、ジャーナリスト的政治評論家であり、学者であり、政治家であり、本職は外交官で、閣僚(ほとんど四年間)も経験し、その他多くの役職に就いた人物である。そして同世代の多くのアイルランド人と同じように、フランスの文化に深く影響された知識人であった。
 本書に収録した「フランソワ・モーリヤック秘密の扉」で文学批評家として認知され、1940年代のネオ・カトリック系の小説家たちについての批評を展開した。
 本書では、各作家にカトリシズムの浸透によって精彩に富む想像力の作用が如何に表出されたかの実例を抽出し、最終章「マリア・クロス」では、これらの個々の様態の共通項を展開し、キリスト教作家の内面構造の比較を試みる傑作。

目次

Ⅰ フランソワ・モーリヤック――秘密の扉
  1 太陽と雨
  2 女性と少年たち
  3 カトリック教徒と小説家
Ⅱ ジョルジュ・ベルナノスのファウスト
Ⅲ グレアム・グリーン――憐れみの詳細綿密な分析
Ⅳ ショーン・オフェイロンのアイルランド自治政策
Ⅴ イーヴリン・ウォーの敬神
Ⅵ 記憶の聖霊の宮――シャルル・ペギー
Ⅶ ポール・クローデルのラインの黄金
  1 黄金
  2 水
  3 水と黄金
Ⅷ レオン・ブロアのパラダイス
Ⅸ マリア・クロス
訳者解説——あとがきに代えて

参考文献
索引

著者略歴

著:ドナト・オドンネル
Donat O’Donnell 本名はドナト・オブライエン。アイルランドの文芸批評家。
1917年 ダブリンで生まれ。2008年 91歳で死亡。
本職は外交官だが、閣僚も経験した政治家であり、同時に歴史家、随想家、
政治評論家、学者としての多面的な顔を持った才人である。
主な著書に
観点が独立的であるのが特徴的なイスラエルに関する著作 『包囲』
エドマンド・バークの伝記である 『大いなるメロディー』
学問的な歴史家として評価されている 『パーネルとその党派』
妻との共著で有益な要約調査で何版かを重ねている『要約アイルランド史』
イェーツの生誕百年を祝って書かれた長いイェーツ論『巧妙と受難』 など。
訳:山形 和美
1934年生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。文学博士(筑波大学)。
筑波大学名誉教授。
主な著書・訳書『グレアム・グリーンの文学世界』(研究社出版)
『言語空間の崇高性──ロゴスへの意志』(彩流社)
『日本文学の形相──ロゴスとポイエマ』(同)
『G・K・チェスタトン』(清水書院)
『グレアム・グリーン入門』(彩流社)
『差異と同一化──ポストコロニアル文学論』(研究社出版、編著)
スーザン・ハンデルマン『誰がモーセを殺したか──現代文学理論におけるラビ的発想の出現』(翻訳、法政大学出版局)
エドワード・サイード『世界・テクスト・批評家』(同)
ノースロップ・フライ『力に満ちた言葉』(法政大学出版局)
スティーヴン・マークス『シェイクスピアと聖書』(日本キリスト教団出版局)
アーサー・シモンズ『象徴主義の文学運動』(平凡社ライブラリー)
T・R・ライト『神学と文学』(聖学院大学出版会)
ウイリアム・キャ…

ISBN:9784779116995
出版社:彩流社
判型:4-6
ページ数:410ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2011年12月
発売日:2011年12月16日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DS