強迫症を克服する
当事者と家族のための認知行動療法
著:矢野 宏之
内容紹介
強迫症は本人の生活に支障をきたし、また、そのことを自分で責めたりしてしまうことも多く、とても苦しい病気である。家族や近くにいる人も、そのことで巻き込まれてしまうケースが多い。
本書では、「洗浄強迫」「確認強迫」「整理整頓型強迫」「想像型強迫」……などさまざまなタイプを提示しているので、いま困っている方は自分に合ったケースを見つけることができるだろう。
また、治療についても「ひたすら我慢する」「嫌なことをする」といった誤解のない理解を目指し、曝露に関して「どうして,普通の人がしないようなことまでするのですか?」「曝露と強迫観念に耐えることは違うのですか?」など臨床現場でよく聞かれるQ&Aも盛り込みながら解説する。
家族対応についても、知っておきたいことや家族の役割・心得などを詳細に記載している。
強迫症を理解するために有用な一書。
目次
はじめに
第1章 強迫症を理解する
1 手洗い・洗浄を繰り返す「洗浄強迫」
2 確認がやめられない「確認強迫」
3 納得がいかないともやもやする「整理整頓型強迫」
4 縁起的なものを気にして行動する「縁起強迫(繰り返し強迫)」
5 嫌な想像が頭から離れない「想像型強迫」
6 強迫症の症状はどうして悪化してしまうのか?
7 強迫行為を頭の中でやってしまうこともある
8 同じような考えがぐるぐるまわる(反芻)
9 安心できる材料を探し求める(再保証を求める行動)
10 家族を巻き込んでしまう
11 強迫症の考え方の癖
12 強迫症によって日常生活の何が苦しくなるのか?
第2章 強迫症を治療する
1 強迫症を維持する仕組み
2 強迫症を治療する方法:曝露療法
3 不安階層表を作ろう
4 曝露の課題を選ぼう
5 どんな曝露をするかを計画する
6 曝露をすると何が起こるか予測してみる
7 曝露の効果を弱めるものを書き出す
8 曝露のコツ
9 曝露に関するよくある質問
10 もう一つの認知行動療法:行動実験
11 洗浄強迫に対する曝露療法
12 確認強迫に対する曝露療法
13 整理整頓強迫に対する曝露療法
14 想像型強迫に対する曝露療法
15 曝露を通して学ぶ二つのこと
16 普通はどうするのか?ではなく生活に便利かどうかで考える
17 強迫観念が頭から離れない場合の対処法
18 強迫症が治ってくるとどういう感覚になるか?
19 曝露がどうしても怖い,嫌だというとき
20 曝露をしたが,うまくいかない場合
21 身体感覚を落ち着かせることで感情調節を行う
22 強迫症らしい生活スタイルから抜け出す
第3章 強迫症と関連が深い病気
1 日常の生活動作に時間がかかる「強迫性緩慢」
2 ものが捨てられない「ためこみ症」
3 ためこみ症がものをためこむ理由
4 ためこみ症への認知行動療法
5 自分の顔が醜いと信じ込む「醜形恐怖症」
6 醜形恐怖症への認知行動療法
7 自分の臭いが気になる「自己臭恐怖症」
8 強迫症と神経発達症
9 ADHDを持つ方への工夫
10 自閉スペクトラム症を持つ方への工夫
11 トラウマとの関連
第4章 家族の対応
1 強迫症について家族が知っておきたいこと
2 家族の役割
3 患者本人がどのような段階にあるのかを考える
4 家族の心得
5 治療への動機付けを高める関わり方
6 指示のテクニック
7 批判に対処する
8 選択的強化を使う
9 強迫症の心理教育の方法
10 手洗い・確認を強要してくる場合の対処法
11 曝露への誘い方
12 強迫症と引きこもり
13 曝露以外での生活の工夫
第5章 Q&A
ISBN:9784772419376
。出版社:金剛出版
。判型:A5
。ページ数:208ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2022年11月
。発売日:2022年11月04日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ。