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気分障害のハード・コア

「うつ」と「マニー」のゆくえ

著:内海 健

紙版

内容紹介

今や「うつ病」は,すり減った貨幣のごとく,ありきたりのものとして世間に流通し,それが医療の現場に還流され,臨床概念を侵食してきている――軽症化と操作的診断により,安易な了解を拒む「病」を補足する臨床知は散逸し,患者の鬱滞した苦悩は「罪悪感」から「空虚感」へと出口を失いつつある。

気分障害をめぐる精神医学の静かな危機のなかで,主体の成立に刻印された空虚を追跡し,その核心構図を再度豊かな言葉で描き出す精神病理学論集。

目次

I うつ病の臨床―さりげない営みの舞台裏
第1章 うつ病の臨床診断について
第2章 バイプロダクトとしての精神療法
第3章 精神病理からみたうつ病の治療構造論―ことさらに精神療法をしないために

Ⅱ マニーの精神病理―生のはずみ
第4章 マニーの精神病理―生命論的考察
第5章 ヒポマニーの精神病理―四つのスペクトラムによる変奏
第6章 双極性障害と創造性

Ⅲ 「うつ」の精神病理―ハード・コアへの三つの旅
第7章 存在の耐えがたき空虚―ポスト・メランコリー型の精神病理
第8章 「うつ」の構造変動―超越論的審級の衰弱とメタサイコロジー
第9章 楕円幻想―うつ病のナルシシズム試論

Ⅳ うつ病と現在性―「第三者の審級」なき主体化の行方
内海健×大澤真幸

ISBN:9784772417891
出版社:金剛出版
判型:4-6
ページ数:372ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2020年12月
発売日:2020年12月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ