は じ め に
第Ⅰ部 「住宅の社会性」を重視する社会とそうでない社会
第1章 近世~現代日本の住宅保障史 木下光生
第1節 住まいの保障に冷たい現代日本社会
第2節 「普通の家」と近世の住宅保障
第3節 「自助・市場・小屋」の伝統を受け継ぐ近現代の住宅保障
第2章 比較理論からみた「日本型」住宅政策 平山洋介
第1節 福祉国家の「ふらつく柱」
第2節 福祉レジームと住宅
第3節 デュアリズムとその「修正」
第4節 イースト/ウエスト
第5節 広域化する新自由主義
第6節 分岐と収束
第3章 貧困救済の担い手と住宅問題 飯田直樹
──一九一〇~二〇年代の大阪府方面委員の活動──
第1節 大阪府方面委員制度とは
第2節 方面委員手帳に記された田中半治郎の活動
第3節 部落事務員小寺正吉による「住宅改善」
第4節 方面委員の役割──救済機関の調査・講究
第4章 第二次大戦後の難民の統合から今日のソーシャル・ワーカー雇用まで マンフレッド・クラウゼ(永山のどか 訳)
──ドイツ・ゾーリンゲン貯蓄建設組合の活動── [講演会記録]
第1節 住宅供給組織と難民の統合
第2節 高齢社会における住宅供給組織の役割
第5章 一九世紀アーヘンの住宅建設運動とキリスト教理念 平松英人
第1節 一九世紀前半のドイツ都市
第2節 一九世紀前半の都市アーヘン
第3節 「社会問題」とキリスト教理念
第4節 カリタスと市民的連帯
第Ⅱ部 地域社会形成における住宅の役割の強さ・弱さ
第6章 都市の公共住宅計画の総合性と地域社会概念 黒石いずみ
──関東大震災後から第二次大戦後まで──
第1節 一元化テーゼと都市計画・住宅計画の歴史的分離
第2節 同潤会と中村寛
第3節 伊部貞吉の土地区画整理論
第4節 営団と西山夘三の計画論と地域の位置づけ
第5節 戦 後から一九六〇年代にかけての住宅政策と日本住宅公団の展開
第6節 一元化テーゼをめぐる計画思想の歴史が意味するもの
第7章 三井三池炭鉱における社宅と主婦会 チェルシー・センディ・シーダー
──労働と暮らしと地域のコミュニティ──
第1節 労働の暮らし、暮らしの労働
第2節 男性鉱山労働力の形成と社宅の誕生
第3節 戦後労働のジェンダー構造と主婦会の誕生
第4節 社宅と主婦ぐるみ闘争としての一九六〇年三池争議
第5節 三井三池CO裁判をケア・ワークの承認要求として
第6節 労働と暮らしと地域の遺産としての三池社宅
第8章 第二次大戦後の民間賃貸住宅の零細家主と借家関係の変容 佐藤和宏
──地域と関連づけて──
第1節 民間貸家への期待
第2節 くいつぶし型経営
第3節 木賃アパートの居住文化
第4節 くいつぶし型経営の諸機能
第5節 居住を通した地域社会への包摂は可能か
第9章 「不法居住」地での地域社会形成 本岡拓哉
──戦後京都における橋下住民──
第1節 「拙宅は賀茂の大橋」
第2節 橋の下に住まう人々の生成
第3節 橋の下に住まう人々のコミュニティ形成
第4節 橋の下住まいを覆い被せるベール、それをめくりあげる
第10章 ホームレス状態にある人々への居住支援と地域社会形成 後藤広史
第1節 「ホームレス問題」を捉える視点
第2節 ホームレス状態にある人々に対する支援の文脈からみた「居住支援」
第3節 住宅を確保したあとの「居住支援」
第4節 他領域における「居住支援」への示唆
第11章 市営住宅団地と地域社会の形成 永山のどか
──二〇世紀後半西ドイツ・シュツットガルト市の場合──
第1節 「社会的ゲットー」と呼ばれるシュツットガルト・ハルシュラーク市営住宅団地
第2節 ハルシュラーク市営団地の住民構成の変遷──一九五〇年代~七〇年代
第3節 市の旧共同洗濯室活用案に対するハルシュラーク団地住民の反発
第4節 旧共同洗濯室活用運動からみえてくる団地をベースにした人々のつながり
第5節 市営住宅と地域社会
おわりに
──居住を通して「社会的な何か」が生み出される契機──