序 章 国籍法と統治法による植民地住民の法的地位
対象および問題の設定
先行研究の概要
各章の紹介
第1章 オランダ国籍法の制定と植民地住民
1.国民国家の形成と国籍概念の導入
2.トルベッケによる国民規定
3.アイデンティティとしての国籍――国籍の喪失と帰化をめぐる議論から
4.排除の基準としての国籍
第2章 植民地統治と住民の法的区分
─―統治法109 条による「ヨーロッパ人」と「原住民」の創出
1.1854年統治法109条による住民区分の意義
2.統治法の制定過程─ 法の支配と植民地統治原則
3.統治法による住民区分の概観
4.109条以前の住民区分─―キリスト教徒と一般規定による住民区分
5.原住民キリスト教徒をめぐって─―1852年の法案97 条に関する委員会報告
6.宗教基準と賦役─―1853 年の法案105条に関する政府見解と委員会報告
7.誰が「ヨーロッパ人/原住民」か─―1854年の法案112条をめぐる第二院審議
8.地位の移行の可能性
第3章 東インド婚姻規定と住民の法的地位の移行
1.連邦共和国の婚姻規定
2.東インド会社時代の婚姻規定
3.「異宗派婚」の展開
4.オランダ本国及びオランダ領東インドにおける婚姻規定の変化
5.「異法婚」規則の制定とヨーロッパ人女性の保護
6.内縁関係の一側面
7.オランダ人男性と「原住民」女性との「異法婚」の事例─―ワルラーフェンとイティ
8.オランダ人女性と華人(外来東洋人)男性との「異法婚」の事例─―エイダとホク
第4章 「日本人」は「ヨーロッパ人」か
─―「日本人法」の成立と「文明」をめぐる議論
1.「日本人法」前史
2.「日本人法」成立以前のオランダ領東インドにおける日本人の地位と法的制約
3.「日本人法」法案審議
4.文明化をめぐって
5.台湾籍民をめぐる問題─―台湾人は「日本人」か
6.「日本人法」をめぐる反応
第5章 「包摂」と「排除」の新たな展開
―─1892年国籍法と1910年臣民籍法
1.1892年国籍法制定の背景
2.国籍取得の原則をめぐって─ 生地主義と血統主義
3.植民地住民のオランダ国籍をめぐって─ レフィスソーン・ノーマン修正の衝撃
4.1910年臣民籍法の沿革
5.「臣民籍」法案の議会審議─―「臣民」とは誰か
第6章 世紀転換期の東インド華人をめぐる状況
1.「華人問題」の登場
2.東インドにおける華人の社会的状況
3.統治法における華人の法的地位と法適用の変遷
4.オランダ人に「なる」こと─―帰化によるオランダ国籍の取得
5.日本人法の余波
6.清国籍法と臣民籍
7.華人の法的地位をめぐって─―異なる見解
第7章 法的住民区分の改正と挫折
1.統治法109条の改正─―1906年改正と新たな基準の導入
2.東インド統治の転換─―カルペンティエール・アルティング委員会
3.さらなる改正─―1919年と1925年
4.家族法原則とヨーロッパ人─―国際環境の変化
終 章 インドネシア国籍法の制定
―─「原住民」から「インドネシア人」へ
1.1949年主権移譲と分割協定─―インドネシア国民の定義
2.分割協定の境界線上に位置する人々
3.インドネシア国籍法の沿革─―1958年国籍法制定まで
4.インドネシア独立にともなう華人の国籍問題
5.「包摂」と「排除」の一世紀を振り返る