序 章「海洋の歴史」研究への新視点 (太田 出/川島 真/森口(土屋) 由香/奈良岡 聰智)
1 「海洋の歴史」という発想
2 「海洋の歴史」研究で取り上げられる課題
3 本書出版の意義
第1章 近代中国の領海主権と漁業博覧会 (太田 出)
――張謇による「海権」の実践
はじめに――問題の所在
1 張孝若『南通張季直先生伝記』に見る父・張謇の「海権」論とその実践
2 沈同芳『中国漁業歴史』と領海主権
3 ミラノ漁業博覧会参加の意義と張謇の「海権」論
おわりに――張謇と「海権」論
第2章 一九二〇年代における漁場監視と日中関係 (佐藤 良聖)
――竜口・海州のマダイ漁場を事例として
はじめに
1 マダイの生態と利用
2 マダイ漁の形態
3 マダイがもたらす対立
4 マダイ漁業の退潮と漁場監視の転調
おわりに
第3章 カナダ日本人移民による塩鰊のアジアへの輸出 (河原 典史)
――戦間期における塩干魚類の移動
はじめに
1 ニシン巾着網漁業と塩鰊製造業
2 塩鰊製造業の展開
3 太平洋をめぐるニシン
おわりに
第4章 生態学的地図作成の試み (伊藤 孝治)
――戦間期の北太平洋における鮭鱒漁業の変容と水産海洋学的アプローチの台頭
はじめに――問題の所在
1 極東ロシア沿岸における日本の鮭Ṵ漁業の発展
2 水産海洋学の発展と鮭Ṵの生態解明をめぐる日ソ関係
3 鮭鱒の生態の科学的知識をめぐる抗争としてのブリストル湾事件とその歴史的遺産
おわりに――戦間期の北太平洋における日本・ソ連・米国の生態学的地図作成をめぐる競争
第5章 遠洋練習航海論 (奈良岡 聰智)
――大日本帝国海軍・海上自衛隊を例として
はじめに
1 明治前期の遠洋練習航海
2 明治後期の遠洋練習航海
3 大正期の遠洋練習航海
4 昭和戦前期の遠洋練習航海
5 第二次世界大戦後の遠洋練習航海
おわりに
第6章 一九三〇年代後半の日ソ漁業交渉 (神長 英輔)
はじめに
1 日ソ国交樹立から一九三〇年代半ばまでの日ソ漁業交渉
2 一九三六年から一九三八年半ばまでの日ソ漁業交渉
3 一九三八年半ばから一九三九年末までの日ソ漁業交渉
おわりに
第7章 日米漁業摩擦の渦中における知の生産と翻訳 (森口(土屋) 由香)
はじめに
1 終戦と日本漁業の復興
2 アメリカ大使館漁業アタッシェの任命
3 水産海洋学の翻訳者ウィルヴァン・ヴァン・キャンペン
4 宇田道隆と水産海洋学における国際学術交流
おわりに
第8章 中華民国海軍敦睦艦隊と日華中関係 (太田 出)
――一九七二年の訪日をめぐって
はじめに
1 敦睦艦隊とは?
2 敦睦艦隊の佐世保訪問
3 敦睦艦隊の呉訪問
おわりに
第9章 一九七〇年代中国の渤海・南黄海汚染問題 (川島 真)
はじめに
1 一九七〇年代の環境問題と渤海・黄海汚染問題
2 「防止渤海、南黄海汚染座談会」後の取り組み
おわりに
第10章 台湾の捕鯨「外交」 (林 淑美)
――一九八一年の捕鯨停止宣言前後を中心に
はじめに――台湾からの鯨肉密輸事件
1 台湾における「捕鯨禁止」公布以前の捕鯨事業の発展
2 捕鯨停止宣言前夜の台・日・米間の交渉
3 捕鯨停止宣言後における鯨肉の対日輸出問題
4 交渉失敗と鯨肉密輸
おわりに