出版社を探す

情景と詩的哀感

情趣としてのもの悲しさとは

著:牧野 圭子

紙版

内容紹介

わたしたちはどのようなメカニズムで「もの悲しさ」を感じているのか
情景を描写した和歌や能などの芸術作品を取り上げつつ、消費者行動研究における消費者美学の枠組みを基盤として、情景に対して感じられる「もの悲しさ」や「もの寂しさ」などの詩的哀感の生起について、普遍的な側面と文化固有の側面の両方からの説明を試みる。

目次

第1章 消費者美学を基盤とする詩的哀感研究
 1節 問題の背景
 2節 横断的な分野としての消費者美学
 3節 消費者美学の近年の動向と「もの悲しさ」の研究の欠如
 4節 本書の目的と性質

第2章 詩的哀感の概念(1)――もの悲しさとは何か
 1節 もの悲しさということば
 2節 古歌におけるもの悲しさと西洋の美
 3節 感情心理学における悲しみの研究ともの悲しさ
 4節 美学における美的質の研究ともの悲しさ
 5節 本書における「情趣」と「もの悲しさ」

第3章 詩的哀感の概念(2)――もの悲しさを巡る諸問題
 1節 悲劇論における負の感情のとらえ方
 2節 悲しさを感じさせる音楽
 3節 悲しさのメタファー
 4節 「もの悲しさ」の翻訳可能性

第4章 情趣の源泉としての情景
 1節 心理学における情景のとらえ方
 2節 美学における情景のとらえ方
 3節 日本古来の自然観と情景

第5章 もの悲しさの生起メカニズム――詩的哀感生起モデル
 1節 詩的哀感生起モデルの構築
 2節 詩的哀感生起モデルにおける主要領域

第6章 詩的哀感生起モデル内に位置づけられる促進要因
 1節 心理的距離の調整
 2節 脱文脈化の傾向
 3節 想像の付加

第7章 詩的哀感生起モデルの妥当性の検討(1)――研究方法と研究素材
 1節 研究方法としての人文学的解釈アプローチ
 2節 研究素材としての河原院の情景

第8章 詩的哀感生起モデルの妥当性の検討(2)――河原院の情景を素材として
 1節 人文学的解釈アプローチに基づく情景の研究1――河原院を詠んだ和歌の検討
 2節 人文学的解釈アプローチに基づく情景の研究2――河原院を舞台とした能の検討

著者略歴

著:牧野 圭子
東京生まれ。1990年、お茶の水女子大学家政学部児童学科卒業。京都大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程修了。同、博士後期課程学修退学。京都大学博士(経済学)。静岡県立大学経営情報学部助手、成城大学文芸学部講師、准教授等を経て、現在、成城大学文芸学部教授。
著書に、『「快楽消費」の追究』(2001年、白桃書房)、『〈快楽消費〉する社会』(2004年、中公新書)、『消費の美学』(2015年、勁草書房)、『日常生活の中の趣』(2019年、晃洋書房)。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

ISBN:9784771036581
出版社:晃洋書房
判型:A5
ページ数:284ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2022年11月
発売日:2022年11月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDTN