ライブハウスの人類学
音楽を介して「生きられる場」を築くこと
著:生井 達也
内容紹介
不可視化された実践に目をむけ、ライブハウスという場を再発見する
閉鎖的で非合理な「場」として語られるようになったライブハウス。社会の周縁へと押しだされながらも、その場へ集う人びとの実践を考察することで、協働的な「自分達にとっての価値」が生まれる道程を捉える。
目次
序 章 ライブハウスを問う/ライブハウスから問う
1 問題意識
2 現代社会の支配的イデオロギーとそれに抗する実践の議論
3 研究対象と方法
4 本書の構成
第1章 ライブハウスへの視点の変遷と音楽実践の変容
1 原点としてのジャズ喫茶と芸能界(1950~1960年代)
2 カウンター・カルチャー空間としての「ライブハウス」の誕生(1970~1980年代)
3 ビジネスとしてのライブハウス事業と小規模ライブハウスのシステム化(1980~1990年代)
4 音楽の場の脱場所化と合理化のなかのライブハウス(1990年代~現在)
第2章 「歩く者」から見る現在の小規模ライブハウス
――不可視化された実践への視座
1 ライブハウスの運営とシステム
2 ライブハウスに関わる人びと
3 「歩く者」から見るライブハウス
第3章 ライブハウスに根付くこと
――HOLと〈常連〉を事例として
1 HOLの概要
2 システム
3 ライブハウスに根付く人びと――〈常連〉という存在とイベントの創造
第4章 多義化するライブハウス
――〈常連〉によって再創造される場
1 〈常連〉と音楽イベント
2 〈常連〉を中心とした音楽以外のイベント
3 イベントの多義性が作り出すHOLというローカリティ
第5章 内閉性の力学
――市場原理と贈与交換のブリコラージュ
1 〈常連〉同士の互酬的なやりとり
2 「お金を払う」こと
3 市場原理と贈与交換のブリコラージュ
第6章 ライブ・パフォーマンスから立ち上がる〈その場〉
――反復のなかの差異の生成を支えるもの
1 ライブ・パフォーマンスから立ち上がる場
2 〈常連〉達のライブ・パフォーマンスをめぐる盛り上がりの「揺らぎ」と音楽的評価の在り方
3 それぞれのアクターが作り出す差異
4 〈その場〉の生成とモラリティ
終 章 「生きられる場」としてのライブハウス